レビュー
気楽
現代フランスの重くなりがちな社会的なテーマを明るくポップな色使いとミュージカル仕立てで軽く表現。赤い靴が良い。テーマの捉え方、主人公への共感、ラストには意見が分かれそう。
田舎町に住むジュリーは、就職難の末ようやく高級靴メーカーの工場で試験採用を手にする。そんな中、靴職人の女たちは迫る近代化の波でリストラされることを恐れ、抗議のためパリの本社に乗り込み騒動を起こす。巻き込まれたジュリーはあやうくクビになりかけるが、ほのかな恋の予感も…。
職人の意地とプライドをかけてアイデンティティを求める勇ましくたくましい女たちとともに靴工場閉鎖の危機を乗り越え、ジュリーは本当の幸せを手にすることができるのか?
【introduction】
歌って、踊って、戦って!がんばれ、ジュリー!
歌ありダンスありラブありの、ロマンチックなコメディ・ミュージカルが誕生!
ジャック・ドゥミ監督の『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』を彷彿させる、カラフルでポップで小粋なフレンチ・ミュージカルとなっている本作。
監督は、本作で長編デビューとなる、ポール・カロリとコスティア・テスチュ。2017年のパームスプリングス国際映画祭で新人監督賞にノミネートされ話題となった新鋭コンビ。現代女性の葛藤を抱える主人公ジュリーを『EDEN/エデン』のポーリーヌ・エチエンヌが好演。くるくると変わるキュートな丸い瞳は躍動感と生命力にあふれ、思わず共感してしまう主人公をみずみずしく演じた。
映画の舞台となったフランスのロマン市は、元米大統領夫人ミシェル・オバマ御用達のロベール・クレジュリーや、かつてはシャルル・ジョルダンの工場もあった、実際に高級靴の生産地として有名な地域として知られている。劇中で使われている靴や靴箱は、現地で作られたものを採用しているなど、歌や踊りだけでなく、細部にまでこだわりを感じさせる。
靴や洋服の計算され尽くした色や配置と本物のダンサーを起用したフランスらしいコケティッシュな踊りと歌に、いつのまにか魅了されてしまうこと間違いなしの楽しく心躍るフレンチ・コメディ・ミュージカルとなった。
ポーリーヌ・エチエンヌ、オリヴィエ・シャントロー、フランソワ・モレル 他
脚本・監督:ポール・カロリ、コスティア・テスチュ
提供:ギャガ、ロングライド
サウンド・トラック:ランブリング・レコーズ
配給:ロングライド
現代フランスの重くなりがちな社会的なテーマを明るくポップな色使いとミュージカル仕立てで軽く表現。赤い靴が良い。テーマの捉え方、主人公への共感、ラストには意見が分かれそう。