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かな子と税金とこれからと
2004年8月〜2005年3月

オーストラリアで夢をかなえる!南半球で働く彼女

オーストラリアの広い空の下、夢をつかみ、活躍する女性たちへのインタビュー。
オーストラリア在住の小林智さんによる現地レポート!
vol.010 [2008.06.13]
オーストラリアで起業
勝亦宏二さん/緒方ゆか里さん
「得意な分野や特別なスキルがある」「キャリアを長く積んでいる」といった実力派から、「練り上げたアイディアやプランを一発ここで試してみたい」という挑戦派、「縦社会や女性軽視の体制はこりごり」「自由に生きられそうだから」という新天地追求派まで、起業を志す理由はさまざま。殊に、その舞台をオーストラリアでと考えた場合、どういったメリット・デメリットがあるのか。シドニーにある起業家ネットワーク支援のNPO代表と、そこに会員登録し、実際に起業家として活躍する女性にお話を伺った。

企業ネットワーク・インク代表
勝亦公認会計士事務所代表 勝亦宏二さん公認会計士
------- 企業ネットワーク・インクとはどういうものか、また活動内容を教えてください
シドニー在住の日本人とオーストラリア人の個人事業主、起業家、起業家予備軍、シニアマネージメントの有志が集まり、個人事業主や中小企業事業主のビジネス支援を行うことを目的に設立した会員制の非営利団体(NPO)です。起業や運営の体験といった会員による講演を含む異業種交流セミナーが年3回、またビジネスの現状や直面する問題などを意見交換するビジネス勉強会が年4回あります。サイトの会員専用ページではすべての会員のプロフィールが掲載されていて、それぞれのビジネスのアピールや会員同士の情報交換ができるようになっています。
------- オーストラリアでの起業を考えているものの、まだ日本で準備中という方もいると思います。そういった方が会員になることはできますか
基本的に会員登録(有料)はオーストラリア在住の方を対象にしています。起業に関する問い合わせが日本から来た場合、会員専用の掲示板に掲載し、会員が質問者へ直接回答するという形を取っていますが、会員以外の方からの無料相談の場所というわけではないのでご注意ください。
------- オーストラリアで起業するのに知っておくべき機関は
ASIC(オーストラリア証券投資委員会)*1)は日本で言うと法務局のようなもので、登記の仕方から段階を踏んで案内しています。また、ATO(オーストラリア国税庁)*2)では、税法に関する基本的な情報が手に入ります。それからこれは州ごとに違うのですが、たとえばシドニーで起業する場合、NSW Department of Fair Trading (NSW州公正取引省)*3)でビジネスに必要なライセンスを知ることができます。会社設立にあたって弁護士や会計士と相談する前に、あらかじめ自分で見ておくほうがいいでしょう。
------- オーストラリアで起業する女性は多いのでしょうか
統計的なものはないのですが、やはりまだ男性が多いでしょうね。起業ネットワーク・インクの異業種交流セミナーなどへ相談に来られるのは男女比で7:3くらいでしょうか。年齢で言えば、日本で学校を卒業し、社会経験を積んだ20代後半から30代前半の方が多いです。また、日本から来ていきなり起業するのではなく、日本での経験を活かし、オーストラリアでさらに学校なり実務なりでそのスキルを磨いてから起業に踏み切る方がほとんどですね。
------- どんな方が来ていますか
強い信念を持って来ているように思います。もちろん一概には言えないですが、オーストラリアに息抜きや癒しを求めてやってくるのはまず男性ですね。女性は仕事でもっと飛躍したいとやってくる人が目に付きます。というのは、日本の社会では、女性は年齢的・性別的にまだ根強い差別を受け、いろいろなものを犠牲にしているから。男女の平等が確保されているオーストラリアに飛び出したくなるんでしょうね。語学も総じて女性の方が早く習得している感じがします。頑張ってほしいですね。
------- 「こんなはずじゃなかった」という落とし穴があるとしたら
オーストラリアはイージーゴーイングな国というイメージがあるので、起業も楽そうに見えるんですよね。日本よりも競争率が低いんじゃないかとかね。でもイメージや思い込みほど危ないものはないです。現実的に、今は豪ドルが強いので物価はかなり割高です。不動産にしても日本よりも高いほどで、まず生活にすごくお金がかかりますよね。起業するにも、ターゲットを日本人に絞るとマーケットはグッと小さくなるし、大きいところで勝負しようとなると言葉の問題が出てきます。成功している人の話にもよくありますが、オーストラリアの起業は日本より厳しいくらいに思っている方がいいのでは。
------- 日本からオーストラリアに来るにあたって、心構えや大切なことは
とりあえずは実状を見に行く、くらいの気持ちで来られるのがよいのではないかと思います。1年くらいは食べていける資金があればなおよい。また、たとえ起業したい職種が日本人ターゲットに絞ったものであっても、やはりオーストラリアで起業する以上、英語ができるに越したことはありません。それからオーストラリアに来てからのネットワーク作りですね。異国ほど、日本人同士のつながりが大切になってきます。そのときには企業ネットワーク・インクを活用していただければと思います。
ASIC(オーストラリア証券投資委員会)*1)
http://www.asic.gov.au/asic/asic.nsf 参照のこと。

ATO(オーストラリア国税庁)*2)
http://www.ato.gov.au/ 参照のこと。

NSW Department of Fair Trading (NSW州公正取引省)*3)
http://www.fairtrading.nsw.gov.au/ 参照のこと。
取材にご協力いただいたのは:
企業ネットワーク・インク  http://www.kigyonetwork.com/
緒方ゆか里さん
デパートやさまざまなショップが立ち並ぶ、最も賑やかなシドニーシティ中心部で、オパールをはじめとする宝石店「Opal Bliss(オパール・ブリス)」を97年から経営。今年の10月で在豪丸21年。「企業ネットワーク・インク」理事。
------- オーストラリアに来られた当初から起業を計画されていたのですか
いいえ、まったく(笑)。ワーキング・ホリデー・ビザで来て、はじめは3ヶ月の語学研修と、オーストラリア周遊で帰ろうと思ってたくらい。滞在を延ばそうと気が変わり、生活費を稼ぐために求人募集を見て面接を受けたのが、この宝石店の前のオーナーだったんです。
------- それまで仕事で宝石に携わる経験はあったのですか
宝石に関してまったくの素人でしたが、そのオーストラリア人のオーナーが娘のようにかわいがってくれて、販売だけではなく、経理から宝石の仕入れまで一からすべて教えてくれました。気がついたら働いて10年。でも結局その年月は大きかったと思います。
潜在意識を高めるため、
中村天風氏の心身統一論書を
毎日のように読むという
------- そこから独り立ちして起業を
実はオーナーが店を譲りたいと言ってくれていたんです。はじめはとんでもない、オーナーしかも宝石店なんて、と及び腰でしたが、ふと「やってみよう」と思ったときがあって。そこからは早かったですよ、法的な手続きを踏んで、1ヵ月半後くらいには新しいオーナーになってました。店舗の購入資金は今までの貯金でなんとか。
はじめは前オーナーや私を信用してくれていた問屋の何軒かが宝石をたくさん「貸して」くれていたので、売れたら代金を支払うということにしてもらってたんです。それから自分自身でも、少しずつ新しい宝石を買い足していきました。
店を持つとなると、オーストラリアでは特に現地での経験で信用を得ることがすごく大切に思います。オーナーになる前の10年の勤務のおかげで、取引先や仕入先にも顔を覚えてもらっていたし、その辺はスムーズでしたね。
本はゆか里さんがつけた
折り目でいっぱい
------- 実際に経営を始められて難しいと思ったことは
店内のことよりも渉外折衝ですかね。たとえば以前、ビルのマネジメント方針が変わったために、2階(日本では3階にあたる)にあった店舗を立ち退けと言われて。別の場所を探していたら、グラウンドフロアが空いてるからどうかと言われたんです。往来の多いグラウンドフロアはリース賃もいちばん高いんです。いきなり3倍ですよ。払いきれないので、その店舗区画の半分だけ借りたいと申し出ました。当然、そこでお互い自分に少しでも有利なように折衝があるわけですね。
でもこういうことを通して思ったのは、最後はやはり「人」なんだなということ。相手の懐に入るというか、うまく話し合いを持っていくために、相手の出方を読むとか、どこまで主張できるか考えるとか。経営って、人間関係がとても重要だと思います。
人間関係といえば、企業ネットワーク・インクへの参加は、人脈を増やしたり、同じような経験を話し合うことができるので貴重ですね。
------- オーストラリアでビジネスをする上で、日本と違うと感じることはありますか
日本だと、女性は社会的に制約されるところがありますよね。たとえば年齢によって周りの目が厳しくなったり。女性が入ること自体を業界が許さないことだってありますし、徒弟制のような上下関係が当然、みたいなところもある。私は宝石の仕入れを早いうちから経験させてもらいましたが、これは日本だったら難しいことでしょう。そういう意味で、日本よりもチャンスはあるでしょうね。
逆に日本の“情”みたいなものがこちらにはなく、仕事の進め方はすごくドライとも言えます。また、ひとつのことを長く続けていくのではなく、たとえもしダメだったら、あるいはそこで充分と考えたら、次へと進む見切りが早いのも特徴ではないでしょうか。転職もよくありますし。
------- ご自身の心がけていることやモットーなどがあったら教えてください
苦労をいとわない、ということかな。つらいな、休みたいなと思っても自分がやらなくてはいけないし、仕事とプライベートが一緒になったようなものなので時間を選べなかったりもします。でも好きで始めたことだからやっていける。やる気と健康がいちばんで、精神力、胆力を鍛えることがその次。胆力というのは、あらゆる刺激に過敏に反応するのではなく、冷静に、かつ前向きに泰然と構えていられる強さのことです。ビジネスセンス的なものや資金、知識などは人間性を大事にしていけばおのずとついてくると私は思います。
日本から来てオーストラリアでビジネスをしている女性はたいてい枠に収まりたくなくて来るわけで、みんな生命力があるし、持久力もあります。自分の人生を楽しんで生き生きしていますよ。
ON の日の過ごし方
緒方ゆか里さん スケジュール
8:15 起床
メールチェック&ネットやテレビでニュースをチェック
10:15 家を出る
11:00 開店
(就業時間は11:00から19:00〜22:00)
19:30 閉店
外出しない時は、閉店後 ネット販売の仕事
22:30 帰宅
ネット販売のお客様とのメールのやり取りなど仕事
日本の映画・テレビ番組などのDVD鑑賞など
2:00 就寝
OFF の日の過ごし方
(週休1日/日曜)
10:00 起床
掃除・洗濯
14:00 テニス
19:30 外食・もしくは、家でゆっくり食事&リラックス
ネット販売の仕事も少し
2:00 就寝
Opal Bliss(オパール・ブリス):http://www.opalbliss.com/
日本のサイトでインターネットショッピングやオークションも手がけている
http://www.bidders.co.jp/user/6422938

Writer:
小林 智  Satoi KOBAYASHI
早稲田大学国語国文科で日本語学を専攻。海外で日本語教師もいいなと思っていた矢先、リクルートスーツで就職活動しなくてもよかったからという理由で受けたアナウンサー試験で採用が決まり、地方民放テレビ局でバラエティからスポーツ、報道までひと通り経験する。2000年、シドニーオリンピックで半年だけ渡豪していた際に出会ったオージーの彼と、紆余曲折を経て2003年に結婚、移住。現在は、現地ラジオ局日本語放送リポーターやフリーライターの仕事をしながらふたりの子供の育児に追われる日々。

FM NACK5【Music Tavigation】(毎週土曜日27:00〜28:00)
シドニーライフをリポート&コラム連載中
http://www.nack5.co.jp/hithit.com/wle/

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