月別アーカイブ: 2月 2015

雑草に雑想/タキ

【タキ】:もろもろ作業の合間、ちょっと手(と頭)を休めに、ぷらっと畑に出ます。

気温の上昇とともに芽吹き始めた野菜たち。その成長ぶりに一喜一憂、春の恵み(収穫)を夢想し、気づけばなんだかニヤけているタキ。花の香りや土の感触、水路の水音には、どこか人を無防備にさせる「原始のちから」があるようです。

水ぬるむ陽射しは、同時に「雑草」にも活力を与えます。どの発芽より早く、広く、力強く勢力を拡大し始める雑草たち。にわかに緑騒がしくなる畝(うね)。やっと芽が出たー!と思ったら……雑草 気づいた瞬間草むしりの始まりです。

むしりっ むしりっ むしりっ む…ぶちっ(←根が切れた)   ……むしりっ むしりっ

無我。無心。雑草抜きの作業は、煮詰まった頭をカラッポにしてくれる極上の気分転換。一心不乱にむしり続けます。時に勢い余って本命の苗を引っこ抜き悲鳴を上げるタキ。

土が酸性だろうがアルカリだろうが踏まれようが切れようが獣が掘ろうが鳥がついばもうが雪に埋もれようが病気が虫が除草剤がetc、生え育つ野草。

土づくりや温度、虫、病気、受粉の管理までされて、人が欲しがる見た目の美しさと(過度の)実りを強要される現代の青果。

人の意を介さない野生に於いては、はたしてどちらが「雑」草とされるのか。

……などと哲学?めいた想いが浮かんでは消え、気づけばあっという間に2時間くらい経ってたり

空き家の間荒れ放題だった畑を、本の知識のみで「雑草の根を取らねば!」と躍起に耕していたタキに向けご近所さん。

「そんなもん土かぶせて埋めちゃえばええんじゃ。どうせすぐ生えてくるわ」

……はい、おっしゃる通りでした。家庭菜園のわずかなスペースですら野草を追い散らすことなど不可能デス。

本当の圧倒的な(生命)力の前では「人のちから」など及ぶべくもないことを身をもって知る草むしりの午後。春はもうすぐそこです。

あいさつの在り処/タキ

【タキ】:霧と霜にかすむ朝、陽が傾きかけた午後、玄関先の旧道を近所の小学生たちが集団で登校・下校していきます。全校生徒30人足らず……運動会ほか行事では父兄(祖父母)+中高生(卒業生)が大活躍する……そんな集落。

畑仕事のタキに「おはようございまーす」、「こんにちはー」と、元気に声をかけてくれる子ども達。思わずこちらも笑顔であいさつです。自分が子供の頃にはあたりまえだった情景……もはやよく想い出せませんが……

先日まで暮らしていた人口密集地では、道を譲られて会釈くらいはありますが、知らない人にいきなりあいさつなど論外。こちらから声をかけようものなら即不審者認定……そんな空気と距離感。それはそれである意味気楽ではありました。

人の少ないいなかに引っ越して、けれど街中(人口100倍以上)の時よりはるかに人と会い言葉を交わし助けられているこの不思議。「賑やかさ」・「便利さ」と「豊かさ(特に心の)」は別物なのだと、今さらながら実感です。もちろんそこには「不便さ」や「不用心さ」、時には「煩わしさ」がセットであり、合う合わないもあるのでどちらがどうとは言えませんが……幸いユキタキにはとても馴染む、恵まれた環境に身を置くことが出来ています。

運動会(ユキタキも選手で数種目出ました!)で子ども達に優しい眼差しを向けながら、「20年後の集落が心配」と呟いたおばあさん。5年に一度まわってくる神社の御役を終え、「この次は生きてるか分からんからな」とカラカラ笑ったおじいさん。

いろいろ考えさせられる、集落の日常です。