「精神科医の診察能力・態度・コミュニケーション能力についての アンケート」に関して(その2)

夏苅先生のアンケートの挨拶文の中に 「たくさんある選択肢から精神科を選んだ心ある皆さんですので」と書かれているのを読み 色々考えていた。

まず想い出したエピソードは…

「あんたのせいで、こんな苦しい思いをしている!!なんてことしてくれたんだ!!」

母の希望で薬を調整した時に、体調が悪くなり(おそらく離脱症状)母が主治医に言ったという言葉。 母からこの話を聞いた際に「医師も大変だ。先生申し訳ない」と心底思った。

なぜなら、私も一緒に何回もプラス・マイナス色々な可能性があることについても しっかり説明を受け、母親が納得して治療に入ったからだ。 マイナス面を重視した私が「やめといたら?」と提案したとき、母は「それでも、やってみる」と自ら選んだ選択だった。

  「あんたのせいで」って、どの口がいうか!と娘として恥ずかしかった。 そして…苦しい時には、いろんな経緯も頭からふっとんで、相手を罵倒することもあるのだなぁと考えさせられた。 母はその後、体調が落ち着いた時に「八つ当たりのように、悪い事を言ってしまった」と医師に謝り、「不条理な文句を母が言ったそうで、本当に申し訳ないです」私も一緒に謝った。

「いいんですよ。わかってますから。気にしないでください。」と医師。

思わず目頭が熱くなったのは、申し訳なさと、感謝と自分自身を重ねて。

症状のせいで不信になり、突然罵倒されることを、家族として長年経験してきた。 わかっていても、シンドイと思うことがある。

精神科では患者が感情的に不安定だったり、受け止めかたに「歪み」が生じていたり 「幻聴」「妄想」から人間不信に陥っている場合など、様々なケースがあるため、対応には繊細さが求められ 不条理に批判される場合もある現場だ。仕事だからって割り切れない事も人間だからあると思う。

精神科は「医師の数が他診療科の3分の1で良い」「看護師については3分の2」といった「精神科特例」のせいで常に人手不足。 本来なら「脳」と一緒に「心」も治療する精神科は、ていねいに「人」が関わらねばならない分、人員は他診療科よりも多くしなければならないはずだけど。 制度的な不完全さが目立つ精神医療の現場は過酷だと感じる場面も多い。

「先生の身体が心配だ」 「倒れたりしないかしら」 「先生の様子が気になるから、今日は頑張って診察受けにきた」

過労気味の主治医を心配して、待合室で患者たちが話している場面に出くわしたことがある。 「患者さんたちと、良い関係を築いている医師なんだなぁ」と思いながら聞いていた。

「精神科医の診察能力・態度・コミュニケーション能力についての アンケート」  

前回のブログでは、医師にされて嫌だった想い出について触れたが、 アンケートには「こうされて嫌だった」「不安に思った」などのネガティブ視点だけでなく 「されて嬉しかったこと」などのポジティブ視点も回答できるといいと感じている。