統合失調症の母と子どもの私

本日夜9時から放映される日本テレビの「ザ!世界仰天ニュース」で、私と母の体験談が再現ドラマとして紹介されます。番組サイトの予告を見ると、コミックエッセイとは違って実際の映像は生々しくて、子どもの頃の記憶がよみがえってきました。

4歳までの私はとてもワガママで我が強く、6人もの子育てをした母方の祖母からは「育てにくい子」と言われていたそうです

そんな私は母が統合失調症を発症した後は、母に対しては、もの凄く聞き分けのよい「良い子ちゃん」に変身したとのこと

お母さん大好きっ娘でした

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母と一緒に写っている幼少の頃の写真はいつも笑顔です

そんな大好きな母が、ある朝起きてみると居なくなっていました・・・。
「コロス!」という幻聴に怯えて母が近所のお宅に土足で上がり込んだ後、
父と祖父母は母だけを実家に帰してしまい、私は置いて行かれたのです・・・。

寂しがる私を可哀相に思った親戚のお兄ちゃんが、遊びに来て撮ってくれた一枚です。

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大人になってこの写真を久しぶりに見返して・・・
「あぁ、母が居ない時、こんなに沈んだ表情をしていたんだ」と驚きました

その後「みんながお母ちゃんを苛める!!」といって、家中のガラスをすべて割って、母のベットにぬいぐるみを集めてバリケードを作り、その中に籠城してご飯を一切食べなくなってしまったそうです

父たちは困り果て、最終的に私は母の実家に送られることになりました。

実家で静養中の母と再会し・・・

・・・幻聴に従って裸足で街中を母娘で歩いた後に母は入院。
その後、病気が少し落ち着いて、一緒に大阪に戻って来た後の一枚が↓

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長く幼稚園を休園することになったので、別の幼稚園に変わる事になっちゃいましたが・・・

子どもにとって病気であっても大好きな親に変わりないのだと、幼少の頃の自分の表情をみると実感させられます

・・・でも、病気について知らされないことで、私は思春期以降、母が自分の人生に陰を落とす存在のように感じられ、大切だと思う反面、疎ましくも思うようになりました。母親を疎ましく思うのは、とても辛いことです。

大人になって、統合失調症の知識を得た現在・・・「統合失調症について、子どもの頃から知っておきたかった」 そう強く思っています

「統合失調症がもっとメジャーになればいいのに・・・。芸能人で広報してくれる人がいたらいいなぁ」。

母が病歴30周年をむかえたある夜。そんな事を呟いた私に、「あなたはマンガを描くのだから、自分でやったらいいじゃない?」と主人。

「自分の経験を、それが失敗談だったにせよ、ひとりだけのものにしておくのは勿体ないよ。誰でも発症する可能性のある病気の知識がないことは怖いことだから、自分は知りたいと思う」そう言ってくれたタキさんと、「私もユキちゃんとお母さんの話を知りたい。病気の知識を知っておくのは大切だと思う。」と背中を押してくれたアネモの村岡さんの言葉がキッカケで統合失調症と母との人生を描く決意をして・・・

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原稿を持ちこんだのは8年と6ヶ月前。当時マイナーな精神疾患の企画を通すために何回も企画書を作り直して奮闘してくれた担当編集者の綿谷さんや新宿フレンズ家族会など色々な方たちの力をお借りして生まれた本が「わが家の母はビョーキです」です。

今日は番組を夫婦で楽しみにしています。番組を見たみなさんが、統合失調症に関心をもってくださると嬉しいです。