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“MoshiMoshi”料理長の
ボルドーの厨房から もしもし
フランスの日本料理店シェフが、暮らしや
食について気ままに綴るフードエッセイ。
[2007.09.28]
Bio(自然食)
vol.004 優雅なイメージとちょっと違う…意外に男性的なお国柄
只今フランスではラグビーワールドカップが行なわれています。ボルドーも試合があってラグビー観戦にやってきたアイルランド人のおじさん達を多く見かけますが、やっぱり同じユーロ圏でも国が違うと風習も雰囲気も全く違って面白いものです。
しかもみんなラグビー観戦に来ただけあって体がでかくて四角い!!外国のアニメとかでよく見る「足だけもの凄く長い、上半身ガッチリの外人さん」は実在しているんだぁと納得。みんなでけぇ〜!!
どど〜んと豪快なフランスの料理
さて話は変わりますが皆さんはフランスという国にどんなイメージを持っていますか?
「優雅で気品漂う歴史ある国」「美食の宝庫」「最先端のファッション」「ワインの国」などが一般的なのかなと思いますがどれも良いイメージであることが多いと思います。
女性の憧れ的な要素がふんだんにあるのも事実なので一概には言えませんが、私が感じるフランスと言う国はどちらかと言えば「繊細で優雅」ではなく「ガサツで頑固」であると思います。女性的なイメージのフランスは、実はとっても男性的な国なのです。

私は料理人なのでやはり例を上げれば一番の違いは料理でしょう。日本でフランス料理と言えば細やかな細工の成された繊細でシンプルな美しさの料理だと思われていると思いますが、それはこちらでは高級店といわれるレストランの話です。「ブラッスリー」と言われる、日本で言う「カフェスタイルの店」では全く違っていて、その量の多さと大まかな味付けに驚かれる方も多いのではないかな?と思います。

かなり豪快にどど〜んとやってくるステーキにはマクドナルドのポテトLサイズ2個分のフライドポテトは当たり前。ちなみにステーキ一人前は大体300gが平均です。これがフランス人が当たり前に食べる主食なのは前回にも書きましたが事実です。
なお、これは子供が食べる「お子様ランチ」的なものでもあります。しかも大人と同じ量をペロッと食べていて「末恐ろしいなぁ」と思ってしまうのですが、ここは人種の違いで西洋人には普通なので子供がみんなおデブちゃんって事もありません。
日本人の子供に毎日こんなの食べさせたら高齢化社会問題より先に子供の死亡率問題に発展しかねないのではと思ってしまいます。

頑固な気質は料理でも……
そして「頑固」な部分は料理の事では「フランス料理以外は基本的にまずい」事です。「フランスで食べれば何でも美味しい」と思われている方も多いかもしれませんが、それはあり得ません。信じられないようなものが不味いんです。

代表的な物はパスタ、カレー、食パン、アジア料理全般と言った感じです。お隣の国イタリアでの主食のパスタは必ずと言っていいほど茹で過ぎでベロベロになってやってきます。インドカレー屋さんのカレーは決して辛くない「お子様カレー」。食パンは全く味がしない。アジア料理は日本料理も含めてそのほとんどがベトナム人のベトナム風中華料理(全部甘い)、ベトナム風韓国料理なんてキムチが無い状態・・・食えねぇって。

そしてこの全ての原因は「フランス人の好みに合わせた味にした」という事になります。
辛い物は好まれず、麺類は柔らかく、アジア人を受け入れる事はベトナム戦争の影響から来る難民で手一杯。パンはバゲット、クロワッサン、カンパーニュなど元からいっぱいあるからそれでいいのです。ちなみにこれに合わせず「本物の味」だけをやったとしてもそのお店は成功しません。出来ても流行りません。かなり厳しいですね。

私のお店でも日本料理では考えられないほど量を多く出してます。味は日本の物そのままが3分の2、フランス人に合わせたものが3分の1に振り分けてメニューを作っていて、そしてその3分の1の部分をお店の名前が上がって行っただけ減らして行っている所です。頑固なだけに認めてもらえれば変えられる所が狙い目なんですね。

ただこの頑固さは悪い事だけではありません。
これが無ければやはりこれだけ長く世界でフランス料理の確固たる地位を続けていく事は出来なかっただろうし、その他の分野、ファッションやワイン、芸術などでフランスの名前が残るかはこの頑固さと、それらを守っていく自信に掛かっていたのではと思います。そしてそれがきちんと残っている以上、認めざるを得ない力である事は間違いありませんが最近では少しずつ人々の考え方も変わってきているようです。
変化しつつある他文化の受け入れ方
料理、ファッション、芸術の観点から見て最近ではフランス国内の考え方が少しずつ変わってきています。フランスの伝統的なスタイルと考え方が今の世界の基準から少しずつ遅れてきて来ている事をようやく認め始めて「こだわりは捨てずに良い物を受け入れて行こう」という人々の考え方が少しずつ大きくなってきています。
昔は3つ星レストランでしか扱わなかった日本の懐石やアジアの食材などを取り入れるフレンチが増え始めていますし、興味だけではなくきちんとしたテクニックとしてその他の国々の料理の基本を学ぼうという人々が、ここボルドーでも多くなってきました。とってもいい事ですよね。

この「繊細で優雅」ではない「ガサツで頑固」な部分のフランスが、フランスの全てではありませんし、悪い事でもよい事でもなく現実だということが分かって頂けたでしょうか?
今回はラグビーワールドカップをバーで見ていた紳士のスポーツマン達が、酔っぱらって道で信号機を壊していたのを見て「フランス人って繊細じゃなくってガサツだなぁ」と思った所からこんなお話になりました。次回はもっと優雅なフランスのお話かきま〜す。

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名前:もしのゴールド
フランスのボルドーにある日本料理店「MoshiMoshi」の料理長。日本、ニュージーランドを経て現在フランス在住2年目。海外在住12年の変わり者の料理人。
日本料理店 『Moshi Moshi』
フランスレストラン審査機関「FOODING」国内レストラントップ200及びフランスジェトロ推薦優良日本料理店50に選ばれているボルドーの日本料理店。
住 所: 8 Place Fernand Laforgue Bordeaux France
E-mail: moshimoshi@hotmail.fr
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