レビュー
在日と呼ばれた移民家族の歴史
第二次大戦以降のアジア現代史を映画で初めて知る。 戦争に翻弄され済州島からの移民一家の苦難の歴史が生き生きと描かれる。 人間の表裏を描ききった鄭義信の脚本は息を呑む凄さ。舞台も見たくなった。
万国博覧会が催された1970(昭和45)年。高度経済成長に浮かれる時代の片隅。関西の地方都市の一角で、ちいさな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む亭主・龍吉と妻・英順は、静花(真木よう子)、梨花(井上真央)、美花(桜庭ななみ)の三姉妹と一人息子・時生の6人暮らし。失くした故郷、戦争で奪われた左腕・・・。つらい過去は決して消えないけれど、“たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる―”それが龍吉のいつもの口癖だ。
そして店の中は、静花の幼馴染・哲男(大泉洋)など騒がしい常連客たちでいつも賑わい、ささいなことで泣いたり、笑ったりー。そんな何が起きても強い絆で結ばれた「焼肉ドラゴン」にも、次第に時代の波が押し寄せてくるのだった。
【introduction】
紀伊國屋演劇賞・個人賞、朝日舞台芸術賞・グランプリ、読売演劇大賞・最優秀作品賞・・・
演劇界を代表する劇作家・鄭義信が、演劇賞を総なめにした自身の舞台を映画化
鄭義信作・演出による舞台『焼肉ドラゴン』は朝日舞台芸術グランプリ、読売演劇大賞および最優秀作品賞など数々の演劇賞を受賞。初日の幕が明けた後、瞬く間に口コミが広がりチケットは争奪戦になり、2011年、2016年と再演を重ね、多くのファンを魅了した。そんな演劇界では一流の演出家であり、映画界では『月はどっちに出ている』、『愛を乞うひと』、『血と骨』(この3作品すべてで、キネマ旬報ベストテン脚本賞を受賞)で脚本家としても名高い鄭義信が、本作では初監督に挑む。
生涯胸に留めておきたいと絶賛された名シーン、名台詞の数々を映像の世界でいかに描くのか―記念すべき第一作目に注目が集まる。そして長女・静花役に真木よう子、次女・梨花役に井上真央、三女・美花役に桜庭ななみと美人三姉妹が揃い、静花への思いを秘めたまま梨花と結婚する男性・哲男に大泉洋など日本を代表する豪華キャストが集結した。
真木よう子 井上真央 大泉 洋
桜庭ななみ 大谷亮平 ハン・ドンギュ イム・ヒチョル 大江晋平 宇野祥平 根岸季衣 イ・ジョンウン キム・サンホ
脚本・監督:鄭 義信
原作:戯曲「焼肉ドラゴン」(作:鄭 義信)
製作:「焼肉ドラゴン」製作委員会
配給:KADOKAWA ファントム・フィルム
第二次大戦以降のアジア現代史を映画で初めて知る。 戦争に翻弄され済州島からの移民一家の苦難の歴史が生き生きと描かれる。 人間の表裏を描ききった鄭義信の脚本は息を呑む凄さ。舞台も見たくなった。