レビュー
スタイリッシュな映像と人間の苦悩
原題は「You Were Never Really Here」(君は本当んいここにはいなかったんだ)。 逃避したくなるような厳しい現実。子供時代に受けた傷はいつまでも癒えることなくフラッシュバックする。そんなときでも「お天気が良いから外に出ない?」と言えるって逞しい少女。ニーナ役のエカテリーナ・サムソノフの将来を見守りたい。
孤独な男と全てを失った少女。その日、壊れた2つの心が動きだす―
元軍人のジョーは行方不明の捜索を請け負うスペシャリスト。ある時、彼の元に舞い込んできた依頼はいつもと何かが違っていた。依頼主は州上院議員。愛用のハンマーを使い、ある組織に囚われた議員の娘・ニーナを救い出すが、彼女はあらゆる感情が欠落しているかのように無反応なままだ。そして二人はニュースで、依頼主である父親が飛び降り自殺したことを知る―
カンヌ国際映画祭で男優賞、脚本賞の2冠を達成!
ホアキン・フェニックス×リン・ラムジー監督、
米英の傑出したふたつの才能がスパークする衝撃作
アカデミー賞に3度ノミネートされた確かな演技力の持ち主であり、ポール・トーマス・アンダーソン、スパイク・ジョーンズ、ウディ・アレンらとのタッグで類い希な個性を発揮してきたホアキン・フェニックス。1999年に『ボクと空と麦畑』で鮮烈なデビューを飾り、恋人の死に接した若き女性の彷徨を描いた青春映画『モーヴァン』(02)、美しき母子の歪んだ関係性に迫った心理サスペンス『少年は残酷な弓を射る』(11)でセンセーションを巻き起こしてきたリン・ラムジー監督。この米英の傑出した才能のコラボレーションが実現した『ビューティフル・デイ』は、ハードボイルド調のクライム・スリラーというべき物語を、唯一無二の感性が息づく演出、演技で映像化し、観る者にジャンルの枠をはるかに超えたアーティスティックな映画体験をもたらす衝撃作である。2017年の第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にてワールドプレミア上映されるや絶賛を博し、フェニックスが男優賞、ラムジーが脚本賞を受賞するという2冠の快挙を達成した。
ホアキン・フェニックス(『her/世界でひとつの彼女』)
ジュディス・ロバーツ、エカテリーナ・サムソノフ、ジョン・ドーマン、
アレックス・マネット、アレッサンドロ・ニヴォラ(『ココ・アヴァン・シャネル』)
監督・脚本:リン・ラムジー(『少年は残酷な弓を射る』『モーヴァン』)
音楽:ジョニー・グリーンウッド(レディオヘッド)
原作:ジョナサン・エイムズ「You Were Never Really Here」
2017 年/イギリス/英語/カラー/シネマスコープ/DCP5.1ch/90 分 【PG-12】
提供:クロックワークス、アスミック・エース
配給:クロックワークス
原題は「You Were Never Really Here」(君は本当んいここにはいなかったんだ)。 逃避したくなるような厳しい現実。子供時代に受けた傷はいつまでも癒えることなくフラッシュバックする。そんなときでも「お天気が良いから外に出ない?」と言えるって逞しい少女。ニーナ役のエカテリーナ・サムソノフの将来を見守りたい。