寝ても覚めても

2018-08-02
2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÈMAS

第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品
芥川賞作家・柴崎友香の原作から生まれた、大人の恋愛映画の傑作

東京。サラリーマンの亮平は、会社にコーヒーを届けに来た朝子と出会う。真っ直ぐに想いを伝える亮平に、戸惑いながらも惹かれていく朝子。ふたりは仲を深めていくが、朝子には亮平に告げられない秘密があった。亮平は、かつて朝子が運命的な恋に落ちた恋人・麦に顔がそっくりだったのだ――。

初の世界三大映画祭出品でカンヌ国際映画祭コンペティション部門選出の快挙!
世界を驚かせ続ける“若き巨匠”濱口竜介、鮮烈な商業映画デビュー作

東京藝術大学大学院修了制作『PASSION』(08)でサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスで高い評価を得て以来、地域やジャンルを越えた創作活動を重ね、演技経験のない4人の女性を主役に迎えた前作『ハッピーアワー』(15)でロカルノ、ナント、シンガポールはじめ数々の国際映画祭で主要賞を受賞しその名を世界に轟かせた気鋭・濱口竜介。 「荒唐無稽さと緻密な生活描写を併せ持つ原作の面白さ」に惹かれた濱口が、自ら映画化を熱望した『寝ても覚めても』で満を持して商業映画デビューを果たす。本作で、濱口監督は、初の世界三大映画祭出品にしてカンヌ国際映画祭コンペティション部門選出という快挙を成し遂げ、「近年稀に見る新たな才能の出現!」と海外メディアからも絶賛された。

ミステリアスな自由人である麦と、実直なサラリーマンの亮平という全く違う性格の二人を演じるのは、主演・東出昌大。近年ますます演技の幅を広げている東出が、初の一人二役で役者として新たな境地を見せる。麦と亮平の間で揺れ動く朝子に“新星”唐田えりか。本作で本格演技デビューを果たした唐田は、苦悩と覚悟を繰り返しながら成長していく朝子と共にスクリーンの中で成長し、その瑞々しさで観るものを魅了する。
脇を固めるのは、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、渡辺大知、仲本工事、田中美佐子の豪華キャスト。時と共に変わっていくもの、変わらないものを体現しながら、物語に深みを与える。tofubeats が初の映画音楽に挑戦。映画の情感に寄り添う劇伴、映画のラストに流れる書き下ろしの主題歌は、切なくも爽やかな余韻を残す。

9月1日(土)、テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、 渋谷シネクイントほか全国公開!
公式サイト

キャスト

東出昌大、唐田えりか、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、渡辺大知(黒猫チェルシー)/仲本工事/田中美佐子

スタッフ

監督: 濱口竜介
脚本:田中幸子、濱口竜介
原作:「寝ても覚めても」柴崎友香(河出書房新社刊)
音楽:tofubeats
主題歌:tofubeats「RIVER」(unBORDE/ワーナーミュージック・ジャパン)
英題: ASAKO I&II
2018/119分/カラー/日本=フランス/5.1ch/ヨーロピアンビスタ
製作:『寝ても覚めても』製作委員会/ COMME DES CINÉMAS
製作幹事:メ〜テレ、ビターズ・エンド
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
配給:ビターズ・エンド、エレファントハウス

レビュー

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震災の日を境にに変わってしまったこと

評価: ★★★★★ (4点) 投稿者:とえ2018-09-11

面白かったなぁ 自分のこれまでの人生を振り返りながら観て、見終わった後には、いろいろと考えさせられた作品だった 大阪で暮らす大学生の朝子(唐田えりか)は、同じ大学の麦(東出昌大)と付き合っているが、ある日、その麦が出て行ったっきり帰ってこなくなってしまう それから2年が経ち、東京で働く朝子は、麦とウリ二つの亮平(東出昌大(二役))と出会う そして、まもなく、東日本大震災が起き… この映画を観ていて、すごく考えてしまったのは、東日本大震災を境にして、私の中で、どう価値観が変わっただろうかということだった 大震災の日、私も亮平や朝子と同じように帰宅困難者だった そして、テレビやネットで、たくさんの物や人が、波にさらわれ、失われていくのをリアルタイムで目撃し、永遠に続くものなどないことに気づいてしまった 永遠に続くものなどないと気づいてしまったあの日以来、私は「今」を大切に生きるようになったと思う で、朝子だ 朝子は震災を境にして、二人の男性、麦と亮平と出会う 見た目は同じでも、中身は正反対の二人 その二人に対する心の移り変わりに、朝子の価値観の変化が出ているように思った もちろん、そこには、20代という、最も精神的に成長する時の価値観の差というものもあるけれど、7年前と今との間には震災があって、そこから、明らかに違う人間になってしまったのだ 一番大きな変化は、これから、もしものことがあった時に、誰と一緒にいたいかということだと思う 私たちは、夢だけでは食べていけないし、「もしもの時はこの人と一緒にいたい」という安心感が、より大切になったのだ そのことを朝子に気づかせた仙台だったんだと思う この映画で良いなと思ったのは、朝子自身が、その心の変化に気づき、キチンと向き合おうとしたこと 周りの友人たちは、みんな7年前とは違うのに、自分だけは何も変わっていない そのことも、朝子を目覚めさせた原因だっただろう 私たちは、何も変わらない日常を過ごしているようで、少しずつ変化しているのだ だからこそ、過去でもなく、未来でもなく「今」を大切にすべきなのだと思う