英国総督 最後の家

2018-08-06
PATHE PRODUCTIONS LIMITED, RELIANCE BIG ENTERTAINMENT(US) INC., BRITISH BROADCASTING CORPORATION, THE BRITISH FILM INSTITUTE AND BEND IT FILMS LIMITED, 2016

1947年独立前夜、混迷を深める激動のインドを鮮やかに描き出す、監督自身のファミリーヒストリーが重なる感動の人間ドラマ

1947年の6か月間、ルイス・マウントバッテンは、英国領だったインドを返還する為に、最後の総督の役職を引き受けた。彼は妻と娘と共に2階に、下の階には500人のヒンドゥー教徒、イスラム教徒、シク教徒の使用人が住んでいた。2階では政治のエリートたちが、インド独立の論議を行い衝突、世界に多大な影響を与える歴史的な決断がなされようとしていた。彼らはインド植民地をインドとパキスタンという二つの国家として分離独立させ、人類史上もっとも大きく急激な民族大移動を引き起こした。

二つの国が生まれる時―英国領インド最後の6か月、真実の物語
マウントバッテン卿には『パディントン』シリーズ、人気テレビドラマ「ダウントン・アビー」のヒュー・ボネヴィルが威厳を湛えながら心優しく誠実な総督を演じ、その妻でインドへの深い愛情を示すエドウィナ役のジリアン・アンダーソンと共に、自身の祖父母が分離独立の際に大移動してきたことを知ったグリンダ・チャーダ監督が、「私自身の映画を作りたい!」という強い思いを叶えた感動のドラマ。

8月11日(土)、新宿武蔵野館他全国順次ロードショー
公式サイト  

キャスト

ヒュー・ボネヴィル、ジリアン・アンダーソン、マニシュ・ダヤル、フマー・クレイシー、マイケル・ガンボン

スタッフ

監督・脚本:グリンダ・チャ―ダ
2017年/イギリス/カラー(一部モノクロ)/2.39:1/106分/5.1ch/英語、パンジャビ語、ヒンディー語/日本語字幕:チオキ真理/
原題:Viceroy’s House
配給:キノフィルムズ

レビュー

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イギリスのしたたかさに振り回されるインド

評価: ★★★★★ (4点) 投稿者:とえ2018-09-11

正直、映画を見る前は、ポスターの暖色系の感じからして、もっとのほほんとした映画かと思った 観始めたら、とんでもない しっかり社会派の映画だった 人間って、どうして仲良くできないんだろう… と思いつつ、最後にはボロボロ泣いてしまった 1947年 インド独立の年、最後の英国総督として、マウントバッテン卿が赴任 マウントバッテン卿は、インドを平和な状態で引き渡すために、イスラム教とヒンズー教の指導者と話し合いの場を持つが、宗教間の対立は激化するばかりで… 時代的には、チャーチルが首相で、現エリザベス女王のお父さんのジョージ6世(「英国王のスピーチ」の王様)の頃なので、映画好きな人には、割と観やすい時代かと思った それまでインドを統治していたイギリスの総督 マウントバッテン卿は、平和な状態でインドを解放しようとするが 既に、国はイスラム教、ヒンズー教、シーク教で分裂状態だった そのため、イギリスはイスラム教の人たちが暮らす国、パキスタンを作る提案をする パキスタンという国は、こうして作られたのか! という、私にとっては、学びの映画だった しかし、その裏には イギリスが、利益を生み出すためのしたたかな試算があって そのために、宗教間の対立を放置していたという告発をした映画でもある その結果、多くの人々が、信仰する宗教によって住む場所を制限され、強制的に移住させられることになった もしも、お互いの人種や宗教を尊重していれば 失わなくてもいい命がたくさんあったかと思うと、それだけで泣けてしまう ここで描かれている1組のカップルは、その運命に巻き込まれてしまう 彼らは、その時、引き裂かれた人々の象徴である それは、明らかにイギリスの黒歴史であって この時のパキスタン建国の経緯を思うと、「パキスタン人はイギリスに入国禁止」なんて言えないじゃないかと思ってしまった けれど、こういう黒歴史をそのまま映画化するところに、イギリスの懐の深さがあるのかもしれない ちなみに、マウントバッテン卿の奥さんは、X?ファイルのスカリーなんだけど、エンドロールで名前観るまで気付かなかった!!