レビュー
笑いながらブスリと刺す
東京国際映画祭にて鑑賞 マイケル・ムーアによるトランプ大統領ダメ出し映画 政治に詳しくない人にもわかりやすくdis ってて、バラエティ番組を観てる気分で笑いながら楽しめた また、今回disっているのは、トランプ大統領だけにとどまらず、ヒラリー・クリントンや、オバマ元大統領に対しても容赦なくdisる リベラル派のマイケル・ムーアにとって、現在の右傾化するアメリカは悪夢のような状態 では、なぜ、そんなことになってしまったのかを、トランプ大統領誕生の裏側を描きながら考えさせるのが、この作品 問題は、政権を握る共和党のみならず、民主党にもあって、多くの政治家が市民の声に耳を傾けずに、大口の政治献金をする企業の方を向いていることが、今のアメリカをダメにしているという 中には「えぇ?あのオバマ大統領にも、そんな一面があるの??」と思わずガッカリしてしまう場面も出てくる このままでは、アメリカの政治は政治献金の多い大企業を優遇する社会が続き、 その結果、銃所有者が増え、貧しい人たちは医療保険に入れずに、医療行為を受けられないまま亡くなっていく社会になる トランプ大統領が企業やマスコミを操る姿は、ヒトラーが生まれた時の社会の動きとそっくりだと危惧する しかし、そんな絶望的な状況だけでなく希望も描いているのも救いだった マイケル・ムーアは、次世代に社会を担う若い世代のムーブメントを積極的に取材する 代表的なのは、銃規制を求めるデモだ 銃乱射事件で同級生を亡くした彼らにとって、それは最も身近な問題で、涙ながらに訴えるようすはとても感動的だった トランプ大統領が誕生して2年が経ち、この11月に中間選挙が行われるため 有権者たちに、選挙に行くことを促す目的で作られたと思われるこのドキュメンタリー映画 観ていると、アメリカの政治も相当腐ってるなー と思うことが、かなりの部分であるけど、そうやって恥部を全世界にさらけ出し「フ○ック トランプ」って言えちゃうアメリカは、まだまだ健全な国なのかもと思った 日本だったら、こんな映画を作ることすらできないんじゃないかと思う
911から119へ
『華氏911』でアメリカ同時多発テロを巡る騒動を描いてから10年以上が経過。その間に数多くの事件が起き、そして政治家としての経験が全くない大統領トランプが誕生する。 タイトルや宣伝等から、トランプ政権誕生についてを扱ったドキュメンタリーかと思っていたが、話はそれだけに留まらず……。それもあって話はあちらこちらに転々と飛ぶようにも見えてしまうのだけど、本作は『華氏911』のみならず『ボウリング・フォー・コロンバイン』の続編、と呼んでも過言ではない作品であった。かつてムーア監督がこの2作で扱ってきたテーマの現在の姿がこの『華氏119』の中にある。 どうも先行きが不透明で明るい未来が見える気がしない時代ではあるが、その中でSNSという新しい武器を使いこなす若い世代の姿は未来を切り開く一筋の光のようにも感じられた。