楽園

2019-08-21
(C)2019「楽園」製作委員会

「悪人」「怒り」吉田修一の最高傑作が、瀬々敬久監督により遂に映画化!綾野 剛・杉咲 花・佐藤浩市で贈る、心えぐられる衝撃作―

ある地方都市で起きた幼女失踪事件。家族と周辺住民に深い影を落とした出来事をきっかけに知り合った孤独な青年・豪士と、失踪した少女の親友だった紡。不幸な生い立ち、過去に受けた心の傷、それぞれの不遇に共感しあうふたり。だが、事件から12年後に再び同じY字の分かれ道で少女が姿を消して、事態は急変する。
一方、その場所にほど近い集落で暮らす善次郎は、亡くした妻の忘れ形見である愛犬と穏やかな日々を過ごしていた。だが、ある行き違いから周辺住民といさかいとなり、孤立を深める。次第に正気は失われ、誰もが想像もつかなかった事件に発展する。
2つの事件、3つの運命、その陰に隠される真実とは―。“楽園”を求め、戻ることができない道を進んだ者の運命とは―。信じる心、疑う心 、3人の悲しき決断に必ずあなたは涙する。

「悪人」「怒り」など映像化が続くベストセラー作家・吉田修一。その最高傑作と評される「犯罪小説集」が、『64-ロクヨン-』を大ヒットさせた名匠・瀬々敬久によって、遂に映画化。
主演にはその実力と人気の高さから若手トップスターの座を築いた綾野 剛。確かな演技力で急成長をみせる杉咲 花が、緊張感溢れる本編に華を添える。
そして日本を代表する名優・佐藤浩市が、重厚なドラマを支えて作品世界を完成させた。 さらには、村上虹郎、片岡礼子、黒沢あすか、石橋静河、根岸季衣そして柄本明と日本映画界を支える錚々たる豪華キャスト陣が、感情剥き出しの演技で本作の重厚で複雑なドラマを見事に創り上げている。

10月18日(金) 全国公開
公式サイト

キャスト

綾野剛 / 杉咲花
村上虹郎 片岡礼子 黒沢あすか 石橋静河 根岸季衣 柄本明
佐藤浩市

スタッフ

原作:吉田修一「犯罪小説集」(KADOKAWA刊)
監督・脚本:瀬々敬久
配給:KADOKAWA

レビュー

この作品のレビューを投稿する
「みんなの映画レビュー」に投稿いただくには、アネモのメンバーになる必要があります。投稿いただいた内容は、一旦、編集部にて目を通した上で掲載させていただきます。詳しくは『みんなの映画レビュー利用規程』をご確認ください。

集団心理の恐ろしさ

評価: ★★★★★ (5点) 投稿者:ジョコーソ2019-10-07

吉田修一さんの「犯罪小説集」全5編の中から「青田Y字路」と「萬屋善次郎」の2編を映画化したもので2つの物語をつなぐ紡という女の子の12年後のドラマに新しいエピソードを加えて膨らませているのがうまいなと思いました。 よそ者を排除する閉ざされた場所に住む村人の怖さと狂気が生々しく伝わってきて集団心理の恐ろしさが私達が住んでいるリアルな世界とリンクしていてより強く印象に残りました。

二つの物語の対比

評価: ★★★★★ (5点) 投稿者:Shiron!2019-10-05

ファーストシーンの、美しく揃いすぎている水田から引き込まれました。(俯瞰の空撮から始まる映画が好きなので嬉しい) てっきりY字路の物語だと思っていたので、途中から善次郎が出てきて、なんだかテーマが分散したイメージでしたが、 エンドロールを見たら、二つの短編の映画化だったのですね。失礼しました。σ^_^; それを踏まえて見たほうが良いかもしれません。 あえて二つの短編を絡めたことで浮かび上がるのは、閉ざされたコミュニティ。 人々の距離が近くて、皆んなが知り合い。 そんな中で起きた未解決の事件は、誰だか得体の知れない者が村に入り込んだという恐怖で、村人達を疑心暗鬼にしてゆく… 村の顔役達は、面倒見が良くて頼れる存在だが、誰も彼らには逆らえない… 暴走してゆく村人達には集団の狂気を感じますが、 自然豊かな農村に限らず、都会でも学校や職場という閉ざされた社会の中では同じ事が起きているのではないでしょうか? 息苦しさから、若者たちが外へ出て行ってしまうのも分かる気がするし、一度狂った歯車から逃れられずに自滅してしまうよりは、新たな世界で一歩を踏み出す方が良い時もある。 ただ、私も故郷から離れた人間なので、すごく久子のセリフに共感出来るのですが 若い頃は嫌っていた筈の街並みが、気づくと自分の大切な場所になっていたりする。 それだけ歳を取ったという事なのでしょうが、故郷とはまったく厄介な場所です。 綾野剛が難しい役どころを演じきっていて、見応えがありました。 柄本明の村の世話役っぷりがイイ。 揉め事の仲裁も慣れたもんで、普段は何でも任せて安心な親分肌だろうに… 大人気なく紡を責め立てる言葉には、やり場のない怒りと悲しみを感じました。 ご本人には不本意かもしれませんが、根岸季衣さんとの夫婦のシーンが角替和枝さんとダブって、小さな呟きに胸が締めつけられました。 実は今まで、佐藤浩市さんの熱い演技が苦手だったのですが、今回は枯れた感じが相まってとても良かったです(T_T) 体を張った熱い演技に釘付けでした。 『楽園』はどこかにあるものではなく、自分で作るもの。 辛いながらもこれから楽園を作っていく者と、楽園に囚われた者の対比となっていて、この二作の短編をまとめた意味がわかった気がしました。

佐藤浩市さんの演技

評価: ★★★★★ (4点) 投稿者:チャオママ2019-10-03

Y字路で起こった未解決の少女失踪事件があった村でその12年後に少女が行方不明になり村の人々の人生が複雑に交錯していく様を映し出すサスペンス大作。 佐藤浩市さんの村八分になり村人たちから謂れの無いことを噂され孤立して壊れていく様は流石だと思いました。