ステップ

2020-02-05
(C)2020映画『ステップ』製作委員会

<主演・山田孝之×原作・重松 清×主題歌・秦 基博>
残されたものたちが、新たな一歩を踏み出す物語

健一はカレンダーに“再出発”と書き込んだ。始まったのは、2歳半になる娘・美紀の子育てと仕事の両立の生活だ。
結婚3年目、30歳という若さで突然妻を亡くした健一はトップセールスマンのプライドも捨て、時短勤務が許される部署へ異動。何もかも予定外の、うまくいかないことだらけの毎日が始まった。そんな姿を見て、義理の父母が娘を引き取ろうかと提案してくれたが、男手一つで育てることを決める。妻と夢見た幸せな家庭を、きっと天国から見ていてくれる妻と一緒に作っていきたいと心に誓い、前に進み始めるのだ。美紀の保育園から小学校卒業までの10年間。様々な壁にぶつかりながらも、前を向いてゆっくりと<家族>への階段を上る。泣いて笑って、少しずつ前へ。

主演は山田孝之。エキセントリックな役柄のイメージが広く浸透している中、久しぶりに等身大の男性を演じる。健一や娘の美紀を温かく見守る登場人物には、國村 隼、余 貴美子、広末涼子、伊藤沙莉、川栄李奈など豪華俳優陣が結集し、物語を彩る。
監督は、『虹色デイズ』『笑う招き猫』『大人ドロップ』などを手掛けた飯塚 健。原作は、「とんび」「流星ワゴン」など大切なものを失った家族が再生していく姿を描いてきた作家・重松 清。主題歌は、秦 基博が映画のために書き下ろした「在る」を提供。
不器用ながらも一歩一歩、ゆっくりと歩んでいく彼らの10年間の足跡を優しく描いた感動作。

4月3日(金)より全国ロードショー
公式サイト

キャスト

山田孝之、田中里念、白鳥玉季、中野翠咲、伊藤沙莉、川栄李奈、広末涼子、余貴美子、國村隼 ほか

スタッフ

監督・脚本・編集:飯塚健(『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』、『笑う招き猫』、『虹色デイズ』)
原作:重松清「ステップ」(中公文庫)
主題歌:秦 基博「在る」(AUGUSTA RECORDS/UNIVERSAL MUSIC LLC)
製作プロダクション:ダブ
配給:エイベックスピクチャーズ

レビュー

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定点観測映画

評価: ★★★★★ (5点) 投稿者:Shiron!2020-02-28

同じ道、同じ部屋で語られる、ある家族の10年の歴史。 変わっていく部分と変わらない部分。それに加えて“変わらなくても良い部分”も描いていたように感じました。 章に分かれているところや、モノローグが気になり「原作が小説だから、その感じを出しているのかな?」と思いながら見始めましたが… シングルファーザーで子育てに奮闘する姿や、仕事との両立の悩みも描かれているけれど、それに対しての強い問題提起があったり、一つの解決策が提示されるわけではなく…。 次の章でも、新たな問題に対して悩む姿が描かれますが、どうも問題がスッキリ解決したとは思えないし。そのアプローチが最良だったのかも疑問が残る。 何よりエピソードがひと段落したスッキリ感が今ひとつ得られないところにモヤモヤしていました。 でも…。繰り返し出てくる道や、繰り返し出てくる部屋の壁を見ているうちに、徐々に家族の変化が見えてきて、エピソードに対するFAQではなく、家族の時間の積み重ねを描いている映画に思えてきました。 →原作が小説だから章に分かれているのではなかった(^◇^;) 人生に答えなんて無い。 思いがけない事が起こって、計画通りにはいかないものだし、その時その時の問題に向き合っていくしかない。 でも、問題と真摯に向き合うなかで、周りの人との繋がりや、ふとした一言の中に自分なりの答えが見つかる事がある。 自分が出した答えが正解だったかどうかなんて誰にもわからないけど、自分が納得出来る方向に進むしかないし、間違ったと思ったらやり直せば良いと言ってくれている気がしました。 そして、いかにも重松清の原作らしい“試練と共に乗り越える道も備えてくださる”という聖書の教えに絡めて、人との繋がりの大切さを強く描いているようにも感じました。 辛い時に心を閉じてはいけない。孤立してはいけない。 人は人との繋がりで成長する。 この映画のタイトルである『ステップ』には 様々な意味が込められていて 歩んできた足跡(ステップ)であり 積み重ねた段階(ステップ)であり そして血の繋がらない義理の関係(ステップ)でもあり…。 特に3番目のステップが、物語を広く深くしていたと感じます。 直接的に助ける事が出来なくても、人と人はどこかで繋がって影響を与え合っている。 たとえそれが死んでしまった人間でも、繋がっている事は変わらないのではないかと思えました。(T-T) いろんな年代や立場によって心に響く部分が違う映画だと思いますが、個人的には國村さん演じる義父の目線に共感しました。 あそこまで気遣いの出来る舅と姑には、なかなかなれないと思いますが(^^;; 義理の兄夫婦も含めて、とても理想的な関係で憧れます。 でも、当初は美紀ちゃんを引き取りたいと思っていただろうし、主人公からすると油断ならない相手だった。 やはり、相手を尊重して、お互いの距離感を計りつつ、時間をかけて出来上がった関係なのだと思えました。 美紀ちゃんが可愛い!生意気な物言いも可愛い。 幼稚園のシーンでは自分の子供の卒園式とイメージが重なり… そういえば当時、子供を抱っこして寝かしつけているうちに、自分が子供を抱っこしているのか、子供に抱っこされているのかわからなくなる瞬間があった事を思い出しました。 癒しているようで癒されていたのだろうし、 今になって思うと、子供を育てているつもりで、実は人として子供に育てられていたのだなぁ。 子供の成長は本当に早い。 シングルファーザーの忙しさは尋常じゃないだろうし「母親が居ないから…」という悩みは尽きないでしょうが、両親が揃っていてれば問題が無いって訳でもないから厄介です。σ(^_^;) あっと言う間に過ぎていく時間のなかで、一緒に家事をする生活のシーンが心に残りました。 一緒に料理をした記憶とか、意外と覚えているものですね。 そんな風に実体験のいろんな記憶が蘇る映画でしたが、 逆に若い世代の方がこの映画を見たら、どんな印象を受けるのか、とても気になります。 あと、東京03のファンなので、角田さんの出演が嬉しかった! しかも、メニューを読むだけで感動を生み出す域の國村さんと、カメレオン俳優の山田さんと同等に並んでも、全く侵食ない演技が素晴らしかった。 むしろ一番好きなシーンかも。