レビュー
命の値段
想像を絶する日々の、ほんの一部を垣間見ただけなのに、 その臨場感に引き込まれて、久しぶりに見るのがしんどい映画でした。 全ての権利を奪われて、常に死と隣り合わせのものすごいストレスから逃れられない。 死ぬ権利すら奪われて、気が狂いそうななか 「テロリスト達の憎悪に負けない」という言葉の重さを考えさせられました。 国籍って何だろう? 生まれた時点で決まっていて、自分で選んだわけではないのに、変更するのは一苦労。 親が国際結婚だと子供はどちらかの国を選べるらしいけど、それでも二社選択でしょ? 平和な日本では、憲法に従って納税の義務を果たせば、国が提供するサービスを受けることができて、国から守られるイメージでしたが、それぞれの国によってここまで対応が違うなんて!本当に驚きでした。 「テロに屈しない国家」という正義で力強いスローガンが意味するのは 「テロリスト達と交渉をしない国」「テロリストへ資金を流さない国」だということ。改めてその意味に気づかされました。 日本人の人質事件は人命優先なので、水面下では相当な金額の交渉があったのではなかろうか。 同じ部屋に監禁されていても、命の値段が違うこともショックでした。 家族側の心労も凄まじい。 人質救出の専門家の存在も初めて知りましたが、政府は一切関与してくれないうえに、テロリストに渡る資金を募金で集めるのも違法。 日本円で約2億5千万円の大金を、一般庶民が工面できる訳がない。 でも、諦めれば確実にダニエルは殺されてしまう。 家族もまた戦っていました。 アメリカ人のジェームスはどんな状況でも常に想像力とユーモアを持ち続けることで、テロリストに屈しなかった。 世界を変えたいと願うジャーナリストだった。 本作では小鳥のさえずりが印象的で、主人公が決断するキッカケになったり、希望の象徴として効果的に使われていました。 映画って本当に奥が深いです。 どの映画を観ても、新たな気づきや発見がありますが、とくにこの映画に関しては、同じ世界に生きる人間として、知っておかなければならないことが描かれている。 テロリストも人を殺すのは怖い。 人質に銃口を向ける手が震えるのを見た時、どうしてここで、お互いがこんな事になっているのか。。。上に立つ者の犠牲になるのは常に末端の者だと感じました。