ある人質 生還までの398日

2021-01-13
(c)TOOLBOX FILM / FILM I VÄST / CINENIC FILM / HUMMELFILM 2019

ぼくは、生きて帰れるのか―?IS(イスラム国)の人質となった若き写真家と救出のために奔走した家族の感動の実話!

怪我のために体操選手の道を断念したダニエルは、ずっと夢だった写真家に転身。戦争の中の日常を撮影するため、シリアの非戦闘地域を訪れた。だが現地の情勢が変わり、ダニエルはISに誘拐され拷問を受ける。家族は巨額の身代金を用意するために奔走するが、犯人側は容赦なく追い討ちをかけ、過大な要求を突きつけてくる……。

監督は大ヒット作『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』で世界的に知られるデンマーク出身のニールス・アルデン・オプレヴ。共同監督は『幸せになるためのイタリア語講座』の俳優で本作にも人質救出の専門家という重要な役で出演しているアナス・W・ベアテルセン。ISの真実を人質の視点で初めて内側から本格的に描いた映画としても注目され、デンマーク・アカデミー賞(ロバート賞)ではダニエルを演じたエスベン・スメドが主演男優賞を受賞したほか、助演女優賞、観客賞、脚色賞を受賞し話題となった。

2021年2月19日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、角川シネマ有楽町にて公開!
公式サイト

キャスト

エスベン・スメド、トビー・ケベル、アナス・W・ベアテルセン、ソフィー・トルプ

スタッフ

監督:ニールス・アルデン・オプレヴ(『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』)、アナス・W・ベアテルセン
原作:プク・ダムスゴー「ISの人質 13カ月の拘束、そして生還」(光文社新書刊)
原題:SER DU MÅNEN, DANIEL
2019/デンマーク・スウェーデン・ノルウェー/デンマーク語・英語・アラビア語/138分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/日本語字幕:小路真由子
後援:デンマーク王国大使館
配給:ハピネット 配給協力:ギグリーボックス

レビュー

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命の値段

評価: ★★★★★ (5点) 投稿者:Shiron!2021-02-08

想像を絶する日々の、ほんの一部を垣間見ただけなのに、 その臨場感に引き込まれて、久しぶりに見るのがしんどい映画でした。 全ての権利を奪われて、常に死と隣り合わせのものすごいストレスから逃れられない。 死ぬ権利すら奪われて、気が狂いそうななか 「テロリスト達の憎悪に負けない」という言葉の重さを考えさせられました。 国籍って何だろう? 生まれた時点で決まっていて、自分で選んだわけではないのに、変更するのは一苦労。 親が国際結婚だと子供はどちらかの国を選べるらしいけど、それでも二社選択でしょ? 平和な日本では、憲法に従って納税の義務を果たせば、国が提供するサービスを受けることができて、国から守られるイメージでしたが、それぞれの国によってここまで対応が違うなんて!本当に驚きでした。 「テロに屈しない国家」という正義で力強いスローガンが意味するのは 「テロリスト達と交渉をしない国」「テロリストへ資金を流さない国」だということ。改めてその意味に気づかされました。 日本人の人質事件は人命優先なので、水面下では相当な金額の交渉があったのではなかろうか。 同じ部屋に監禁されていても、命の値段が違うこともショックでした。 家族側の心労も凄まじい。 人質救出の専門家の存在も初めて知りましたが、政府は一切関与してくれないうえに、テロリストに渡る資金を募金で集めるのも違法。 日本円で約2億5千万円の大金を、一般庶民が工面できる訳がない。 でも、諦めれば確実にダニエルは殺されてしまう。 家族もまた戦っていました。 アメリカ人のジェームスはどんな状況でも常に想像力とユーモアを持ち続けることで、テロリストに屈しなかった。 世界を変えたいと願うジャーナリストだった。 本作では小鳥のさえずりが印象的で、主人公が決断するキッカケになったり、希望の象徴として効果的に使われていました。 映画って本当に奥が深いです。 どの映画を観ても、新たな気づきや発見がありますが、とくにこの映画に関しては、同じ世界に生きる人間として、知っておかなければならないことが描かれている。 テロリストも人を殺すのは怖い。 人質に銃口を向ける手が震えるのを見た時、どうしてここで、お互いがこんな事になっているのか。。。上に立つ者の犠牲になるのは常に末端の者だと感じました。