レビュー
原作が読みたくなる
長編ですが、冒頭から不思議な音楽使いと斬新な映像に引き込まれて楽しめました。30年代の建物やファッションも素敵。劇中の詩や朗読も印象的で、ケストナーの原作を読んでみたくなりました!
時代は1931年のベルリン。狂躁と類廃の20年代から出口のない不況へ、人々の心に生まれた空虚な隙間に入り込むように、ひたひたとナチズムの足音が聞こえてくる。どこか現代にも重なる時代、作家を志してベルリンにやってきたファビアンはどこへ行くべきか惑い、立ち尽くす。コルネリアとの恋。ただ一人の「親友」ラブーデの破滅。コルネリアは女優を目指しファビアンの元を離れるが……。
原作は、「飛ぶ教室」「ふたりのロッテ」などで知られる児童文学の大家エーリヒ・ケストナーが書いた唯一の大人向け長編小説にして最高傑作と謳われる「ファビアン あるモラリストの物語」。本作が日本初登場となるドイツの名匠、ドミニク・グラフ監督が、ドイツ映画界のトップスターとなったトム・シリングを主演に、刺激的にカリカチュアされた映像を縦横無尽に駆使して、90年前の小説を「今、この世界の映画」として完成させた。
トム・シリング(『コーヒーをめぐる冒険』『ピエロがお前を嘲笑う』『ある画家の数奇な運命』)、ザスキア・ローゼンダール(『さよなら、アドルフ』『ある画家の数奇な運命』)
監督:ドミニク・グラフ
英題:Fabian - Going to the Dogs
原作:エーリヒ・ケストナー「ファビアン あるモラリストの物語」(みすず書房)
字幕:吉川美奈子
2021年|ドイツ|178分|スタンダード|PG12
配給:ムヴィオラ
長編ですが、冒頭から不思議な音楽使いと斬新な映像に引き込まれて楽しめました。30年代の建物やファッションも素敵。劇中の詩や朗読も印象的で、ケストナーの原作を読んでみたくなりました!