私は、マリア・カラス

2018-10-22
(C)2017 -Eléphant Doc -Petit Dragon -Unbeldi Productions -France 3 Cinéma

むき出しの魂でうたい、愛した世紀の歌姫の<告白>。紐解かれる未完の自叙伝、封印された手紙、秘蔵映像・音源の数々――。

むき出しの魂で歌い、愛した世紀の歌姫マリア・カラス。没後40年、未完の自叙伝や封印された手紙、映像・音源の数々が紐解かれる――。マリア・カラス本人の「歌」と「言葉」だけで綴られる“真実の告白”。そこには、プロフェッショナルとしての信念と、ひとりの女性としての幸せに揺れる姿があった。

音楽史に永遠に輝く才能と絶賛されたオペラ歌手、マリア・カラス―。いちど聴けば忘れられない世界にひとつの歌声と、高度なテクニックを自在に操る歌唱力、役柄とひとつになる女優魂、さらにエキゾティックな美貌と圧倒的なカリスマ性で、聴衆をとりこにした不世出のディーヴァ。没後40年にして初めて紐解かれる彼女の人生を綴った本作。
監督のトム・ヴォルフは3年に渡る〈真のマリア・カラスを探す旅〉で、彼女の未完の自叙伝やこれまで封印されてきたプライベートな手紙、秘蔵映像や音源を入手。自宅でリラックスする素顔や友人たちと豪華クルーズを楽しむ姿を収めた8ミリや16ミリのプライベートフィルム、熱狂的なファンが無許可で撮影したパフォーマンス、放映ではお蔵入りとなったTVインタビューなど、劇中の実に50%以上が“初公開”素材となる。これまではモノクロでしか見られなかった映像も写真を基にカラー化し、世紀の歌姫が鮮やかに蘇える。

12/21(金)よりTOHOシネマズシャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国順次ロードショー
公式サイト

キャスト

 

スタッフ

監督:トム・ヴォルフ
朗読:ファニー・アルダン(『永遠のマリア・カラス』)
配給:ギャガ

レビュー

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オペラの世界に生きた歌姫

評価: ★★★★★ (5点) 投稿者:Shiron!2019-01-20

情熱的で波瀾万丈な彼女の人生は、そのままオペラの題材になりそう。 歌の映像もふんだんにあり、普段あまりオペラを観ないド素人の私ですら、彼女のドラマティックな表現に感動しました。(T_T) 一曲聴くだけで魅了される歌声は、複雑で繊細な心の機微の表現が素晴らしく 愛する喜びを歌いあげるなかには、愛するがゆえの不安があり、愛するがゆえの嫉妬や怒り、愛するがゆえの狂気が垣間見える。 これは病みつきになります。 子供の頃、厳しい母親から歌の英才教育を受け、「反抗するなんて恐ろしい事は出来なかった。」とご本人が語っていましたが、 年齢を偽り、若くして入学した音楽学校の恩師のインタビューでは、誰よりも早く学校に来て、誰よりも遅くまで残っていた、努力家の姿が浮かびあがります。 頭が良く勘どころも良い彼女は、指摘されたところを翌日には完璧にマスターしてくる優等生。 貪欲にオペラを吸収していく彼女は、リアルな人生経験を積む前に、オペラを通して愛を知り、オペラを通して悲しみを知り、オペラを通して人生の喜怒哀楽を知ったのではないでしょうか? だから彼女の人生は、オペラの主人公のように情熱的でドラマティック!そんな風に思えました。 オペラのような激しい生き方は、得るものが多いぶんだけ失うものも多く… けれども彼女が感じた喜びと悲しみ全てが、また歌へと還元され、私達の心を震わせる。 不幸で幸せなスパイラル。 古今東西、歌姫と呼ばれる人達は皆、歌の女神のスパイラルにハマった生贄のように思えてなりません。 高みを目指して歌っていた若い頃の歌声も素晴らしいですが、 年を取ってからの“観客からの愛を感じて、歌で愛を返していく”ステージが素晴らしかった。 オペラと共に生きた人生で、彼女が欲していた愛は得られなかったかもしれないけれど、彼女は世界中の人々から愛された。 確実に愛し愛される人生だったと思えました。 そして、時代を超えて彼女の歌は生き続け、アジアに住む私なんかの心まで震わせています。

人生を込められた歌に人々は共感する

評価: ★★★★★ (4点) 投稿者:とえ2018-11-22

感動のドキュメンタリー映画だった これまで、誰かが演じたカラスは観たことがあったものの、カラス本人の歌声を聴くということがなかったので、それだけでも感動ものだった 私にとって、カラスは生まれる前の人で、亡くなってから40年以上も経っている にもかかわらず、私も彼女のことを知っているし、こうして映画まで作られている それはなぜなのか この映画を観て、その理由がわかった気がした 彼女自身がオペラそのものであり、「蝶々夫人」であり、「椿姫」だからだ 恋に人生の全てを捧げ、愛と幸せの日々を夢見るも、愛した男に裏切られ、夢に見た日々は、もろくも崩れ去る そして、彼女は、その悲しみを全身全霊で歌に込め、人々は彼女のその声に共感する もしも、彼女が幸せで恵まれた生活をしていたら、マリア・カラスという人は生まれてこなかっただろう いつの時代の人々も、マリア・カラスという、悲劇の歌姫の歌声に、心を奪われ、つかまれ、揺さぶられるのだ そんな風に、彼女が歌に人生を捧げたからこそ、私たちは、彼女の歌から幸せをもらえたけれど 彼女自身は、彼女の思い描く幸せを手にすることができないというのは、なんとも皮肉な話だ しかし、だからこそ、彼女はオペラ歌手になるべく生まれてきた人なんだなぁと思った こんなにじっくりと、マリア・カラスの歌を聴いたのは初めてだけど オペラをよく知らない私でさえ、聴いていて涙がこぼれるぐらい、圧倒的な説得力のある歌声だった オペラファンの人も、そうでない人も、ぜひ、この映画を観て、彼女の人生を感じ、歌声を聴いて欲しい これからも、聴き継がれていくべき歌声がそこにはある