天才作家の妻 -40年目の真実-

2018-12-13
(c)META FILM LONDON LIMITED 2017

第76回ゴールデン・クローブ賞 グレン・クローズ主演女優賞ノミネート!男女間の機微をリアルかつ残酷にあぶり出す心理サスペンス

現代文学の巨匠ジョゼフ(ジョナサン・プライス)と妻ジョーン(グレン・クローズ)のもとに、ノーベル文学賞受賞の吉報が届く。ふたりは息子を伴い授賞式が行われるストックホルムを訪れるが、ジョゼフの経歴に疑惑を持つ記者ナサニエル(クリスチャン・スレーター)から夫婦の“秘密”について問われたジョーンは動揺を隠せない。実は若い頃から豊かな文才に恵まれていたジョーンだったが、あることがきっかけで作家になる夢を諦めた過去があった。そしてジョゼフとの結婚後、ジョーンは彼の“影”として、世界的な作家の成功を支えてきたのだ。
ずっと心の奥底に押しとどめていたジョゼフへの不満や怒りがジョーンの中でわき起こり、長年共に歩んできた夫婦の関係は崩壊へと向かう。そして授賞式当日、彼女はこれまで通り慎ましく完璧な“天才作家の妻”を装うのか。それとも本当の人生を取り戻すために、衝撃的な“真実”を世に知らしめるのか……。

アカデミー賞(R)6度ノミネートの実績を誇る大女優グレン・クローズが、ノーベル文学賞を受賞した世界的作家の夫を慎ましく支える完璧な妻を演じた、夫婦の絆や人生の意味を問う深遠なドラマ。
偉大なる世界的な作家と、彼の創作を慎ましく支えてきた完璧な妻。誰の目にも理想的なおしどり夫婦に見えるふたりの関係は、夫がノーベル文学賞を受賞したことをきっかけに揺らめき、静かに壊れ始める……。
毎年スウェーデンのストックホルムで華やかに行われるノーベル賞授賞式を背景に、人生の晩年に差しかかった夫婦の危機を見つめる本作は、男女間の機微をリアルかつ残酷にあぶり出す心理サスペンス。夫婦が隠し続けてきた、重大な“秘密”とは何なのか。夫への愛と憎しみの狭間で引き裂かれた妻は、世界中の注目が集まる授賞式でいかなる“決断”を下すのか――。
ハリウッドの実力派キャストが集結し、夫婦の絆や人生の意味を問う深遠なドラマを体現。アカデミー賞(R)6度ノミネートの実績を誇る大女優、グレン・クローズの繊細にして凄みに満ちた演技には、既に本年度オスカー最有力との声が高まっている。

2019年1月26日(土)より、新宿ピカデリーほか全国公開
公式サイト

キャスト

グレン・クローズ、ジョナサン・プライス、クリスチャン・スレーター

スタッフ

監督:ビョルン・ルンゲ
原題:THE WIFE
2017年/スウェーデン、アメリカ、イギリス合作/英語/101分/シネスコ/カラー
日本語字幕:牧野琴子
後援:スウェーデン大使館
配給:松竹

レビュー

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妻の思いが爆発するとき

評価: ★★★★★ (4点) 投稿者:とえ2019-01-22

これはすごく面白い映画だった! 作家・ジョー(ジョナサン・プライス)はノーベル文学賞を受賞 授賞式に出席するため、妻のジョーン(グレン・クローズ)と息子を連れてスウェーデンのストックホルムへ向かう 現地でジョーンはノーベル賞作家の妻として歓迎されるが、彼女には誰にも明かしたことのない秘密があり… 私は結婚していないので、推測になってしまうけれど おそらく、どんな夫婦にも、40年も一緒に暮らしていれば、積もり積もった思いというのがあるはずだ なにも積もらせることなく、定期的に吐き出してスッキリさせておけば問題はないのだろうけど 吐き出さずに溜め込んでいると、ある日突然、それまでの思いが爆発してしまう この映画の主人公である作家の妻もそうだった 彼らは1950年代に結婚した夫婦である その頃はアメリカでも女性たちの社会進出が難しく、内助の功が美徳だった時代だ どんなに妻が夫のために尽くし、キャリアアップに貢献しても、評価されるのは夫の方 妻はそのことを「二人でがんばって築き上げたキャリアだから、それでいい」と思い、そんな夫の姿が誇らしかった時期もあったはずだ しかしある時、妻は「私のこれまでの人生はなんだったんだろう。このままでいいんだろうか…」と考えてしまう そこまでの話を読んで もしかしたら「あ、それは私のことだ」と思う人もいるかもしれない というのも、私は、そんな二人を自分の両親と重ね合わせて観ていたからだ 妻が夫にぶちまける文句は、私がいつも聞いている母の愚痴そのものだったし、母の言うことを全く理解できず、見当違いなことを言う夫の姿は父そのものだった その呆れてしまう感性の違いは、万国共通なんだなと思った そんな私の話にピンと来た人は、ぜひ、この映画を観て欲しい きっと妻の姿に共感できるはずだ この映画を観て、これまで溜めてきたものを全部吐き出して欲しい 先日のゴールデン・グローブ賞では、この映画で妻を演じたグレン・クローズと「アリー」のレディ・ガガが主演女優賞を受賞した 恐らく、アカデミー賞では、その二人の一騎打ちになると見られている 私は、その二人が演じた役には共通点があると思った この映画の妻も、アリーも、才能ある女性たちであり 彼女たちは夫からの嫉妬に苦しめられ、足を引っ張られた女性たちなのだ そんな二人を演じた彼女たちが主演女優賞を争うのは、決して偶然ではない 男性たちが才能ある女性に向かって「家庭に入って俺のことを支えて欲しい」なんて言う時代は終わり 今、女性たちが自分の才能だけで生きていける時代がやって来たのだ 世の殿方たちは、いつまでも、誰かが世話してくれると思ったら、大間違いなのだ 良い時代がやってきたと思う

グレン・クローズはただものではない

評価: ★★★★★ (4点) 投稿者:jupimar2018-12-24

結婚して40年目の貞淑な妻を演じるグレン・クローズが主人公です。腹に一物、両手に荷物を持つ因縁深い内省を表情ひとつ、眼力ふたつで表現する上手さに唸ります。 男性が恐れ慄く圧倒的な演技です。 男性は妻には勝てません。