ラフィキ:ふたりの夢

2019-10-11
(C)Big World Cinema.

カンヌ国際映画祭史上初のケニア作品出品(ある視点部門)
自由な恋愛と幸せな未来を夢見るふたりを描く感動作!

看護師になるのが目標のケナは、古いしきたりにとらわれた周囲の人たちに満たされない想いを抱えていた。両親は離婚し、ナイロビで母と暮らしていたが、国会議員に立候補した父のことは応援している。そんな時、父の対立候補の娘で自由奔放なジキと出会う。互いに強く惹かれたふたりは、「私たちは本物になろう」と誓い合う。だが、友情から愛情が芽生え始めた時、ふたりはこの恋は命がけだと知る──。

本作は、2018年にカンヌ国際映画祭史上初のケニアからの出品(ある視点部門)という快挙を成し遂げると共に、100以上もの映画祭に出品され、世界から熱く支持されたにもかかわらず、ふたりの女性が恋に落ちる物語であることから、いまだ同性愛が違法とされ、禁固刑に処されることもあるケニアで上映禁止となった。のちに、米アカデミー賞(R)外国語映画賞へのエントリーの条件を満たすために、ナイロビのある映画館で2018年9月23日から9月30日の1週間だけ上映が決定。「長蛇の列」「チケットを求める電話が殺到」というニュースがSNSを飛び交った話題作だ。
監督は、長編映画監督デビュー作でアフリカのアカデミー賞を獲得、その後の作品でも数々の賞の栄誉を受け、今最も輝く才能と絶賛されているワヌリ・カヒウ。
ケナを演じるのは、ミュージシャンで本作が映画初出演となるサマンサ・ムガシア。まじめで責任感が強くリーダーシップがとれるが、実は繊細な魂を抱えたケナを細やかな表情のうつろいで演じた。ジキには、監督業にも進出したシェイラ・ムニヴァ。まるでケニアの太陽のように明るく、エネルギーに満ち溢れたジキを生き生きと演じた。
音楽、ダンス、ファッション、アート──ポップでカラフルなアフリカンカルチャーにのせて、国境もジェンダーも肌の色も、すべてのボーダーを超えて、人生を豊かにする人と人との出会いと絆を描く感動作。

11月9日(土)、 シアター・イメージフォーラム他全国順次公開
公式サイト

キャスト

ケナ・・・サマンサ・ムガシア
ジキ・・・シェイラ・ムニヴァ
ジョン・ワウラ・・・ジミ・ガツ
メルシー・・・ニニ・ワシェラ
ペーター・オケミ・・・デニス・ムショカ
ローズ・オケミ・・・パトリシア・アミラ
ブラックスタ・・・ネヴィル・ミサティ
ママ・アティム・・・ムトニ・ガテカ
ンデュータ・・・ナイス・ギティンジ
ワイレリ・・・チェリ・カルミ
トム・・・ヴィタリス・ワエル
エリザベス・・・ヘレン・アウラ
ファスター・・・ギタエ・ンジョグ

スタッフ

監督/脚本:ワヌリ・カヒウ
2018年 / ケニア・南アフリカ・フランス・レバノン・ノルウェー・オランダ・ドイツ / 英語、スワヒリ語 / カラー / 82分 / 日本語字幕:今井祥子 スワヒリ語監修:チェプクオニ・ジャスタス
原題:RAFIKI
配給:サンリス

レビュー

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人を好きになるって美しい

評価: ★★★★★ (5点) 投稿者:Shiron!2019-11-03

ロミオとジュリエットのような運命的な出会いから、お互いの気持ちを確かめ合うまでのもどかしさにキュンキュンしました。 人を好きになるって、こんなにも美しいことだったのか。 好きな人に触れるって、こんなにも心が震えることだったのか。 二人の秘密の花園はとても小さくて、寄り添うだけで精一杯だけど、手作りの愛に満ちていて、お互いを思い合う気持ちがとても神聖に映りました。 教会や町の人々はそんな二人を認めないけれど、ソドムとゴモラ級に乱れない限り、純粋に人を愛するという行為を神様が禁じるとは思えない…。そんな気持ちが芽生える程、素晴らしいシーンでした。 『ムーンライト』が青なら『ラフィキ』はピンク。 とても素敵な色あいが印象に残る映画で、ポップでキュートなオープニングに続き、まず目に飛び込んできたのはピンク色のビル! カラフルな街並みに驚かされます。 灰色だらけの日本と違って、こんな色彩豊かな街で育ったケニアの人々は、どんなにか豊かな心と感性を持っていることだろう!! と思いましたが…意外ととっても保守的。 教会に通って神の教えを守り、女は家を守るもの。 離婚したシングルマザーも非難の目で見られるようでした。 トークゲストのブルボンヌさんのお話しによると、2019年5月にケニアの高裁は改めて、同性愛行為は犯罪だとの判断を下したそうです。 ちなみにスーダンでは死刑(゚д゚lll) そんなケニアで女性の監督によって撮られた本作は、国内では上映禁止。 海外の映画祭へ出品する条件を満たす為に、かろうじて1週間の特別上映が許されたそうです。 ケニア映画として初めてカンヌ国際映画祭ある視点部門へ出品。ベネチア国際映画祭でもチッタ・デ・ベネチア賞を受賞。 その他の映画祭でも数々の賞に輝いているので、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされるかもしれませんね。 宗教や文化の問題でもあるので、他国の価値観を押し付ける事は出来ませんが、それでも暴力を受けたり命を脅かす現状にはNOと言いたい。(T-T) この映画をきっかけに、海外からの声が少しでも届いて欲しいと祈ります。 私の場合やっぱり親目線で見てしまうところがあり…。 父親は選挙戦のライバル同士ですが、生活レベルも違えば、娘に対するスタンスもとても対照的に描かれていました。 そして、女親の勘が鋭い! 娘の変化にいち早く気づきます。 私はかなり鈍感な親なので気づかないかもしれませんが(^-^; 確かにケナには、隠しきれない幸せオーラが滲み出ていて、そんな姿が可愛くて可愛くて。思わず私もニヤついていました。 そんな娘の初恋を応援してあげたい気持ちはあるけれど、愛を取るか?身の安全を守るか?の選択に迫られるなんて…。 それに噂話がすぐに広まるような狭いコミュニティで、シングルマザーの教師として世間の目に苦労しているケナの母親の立場なら、ヒステリックにならざるを得ないのかもしれない…。 様々な思いがよぎる映画でした。