【レポート】『パパは奮闘中!』来日中のロマン・デュリスがセネズ監督への信頼を明かす!「これはやるしかないと思った」

第71回カンヌ国際映画祭批評家週間で絶賛され、ベルギー版アカデミー賞、マグリット賞でも作品賞・監督賞含む5部門を受賞するなど、高い評価を受けた本作。妻がある日突然行方不明になり、仕事や育児をひとりでこなさなければならなくなった主人公と子供たちの奮闘の日々、愛と絆を描く感動作『パパは奮闘中!』が4月27日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開となる。

このたび、本作の日本公開を記念して、主演のロマン・デュリス、監督のギヨーム・セネズ登壇の舞台挨拶付き試写会が実施された。また、子育てについての第一人者でもある、子育てパパを支援するNPO法人の代表ファーザーリング・ジャパン安藤哲也氏も登壇。いち早く映画を鑑賞したご招待客を前に、映画や撮影について、実際にイクメンでもある3人が日本とフランス、ベルギーとの子育て事情や違いなどについてなどを語った。

『パパは奮闘中!』舞台挨拶付き試写会 概要
■日時:3月19(火)20:15~20:45
■場所:ユーロライブ(渋谷区円山町1-5 KINOHAUS2F)
■登壇者(敬称略)ロマン・デュリス、監督ギヨーム・セネズ、安藤哲也(ファーザーリング・ジャパン代表)

愛する妻がある日突然行方不明になり、仕事や育児をひとりでこなさなければならなくなったオリヴィエと子供たちの、奮闘の日々、愛と絆を描き、第71回カンヌ国際映画祭批評家週間で絶賛され、フランスで2018年の注目作となった。本作で、仕事一筋でダメなところもあるけれど心優しい父親をフランスを代表する俳優ロマン・デュリスが熱演している。

主演のロマン・デュリスが「日本の観客の皆さんがどういう風に映画を受け止めてくださるかとても興味があります。そして皆さんが日本で初めての観客です」と挨拶すると約8割が女性で埋まった会場から大きな拍手が起こった。

自らも3人の子供がいる安藤氏が、「いろいろと思い当たる節がありました」と共感する部分が多かったことを監督に伝えると、「フランスでは批評家や一般の観客から非常に高い評価を貰いました。カンヌ映画祭で上映されたというのは非常にありがたい。そして日本でも上映されるということで、この作品がユニバーサルな題材の作品だと思っています」と監督。
「フランスの批評家はかなり厳しい評価をしますが、それでもこの作品は称賛の声が多かったです。表立ってこの作品が好きだと言ってくださる方が多かったです」とロマン・デュリスがフランスでの高評価を明かした。

この作品を作るきっかけについて監督は「自分にとって普段考えていること、そこから発展させていくことがとても多い。僕もプライベートでパートナーと別れることになったが、子育てはそれぞれ分担して行っていた。でももしそうできない場合、仕事と子育てを両立できるのか、監督として父親としてやっていけるのだろうか?と考えました。そこがこの映画の出発点でした」と説明。

監督からこの映画のお話を貰った時についてロマン・デュリスは「監督の前作を見て、俳優たちの自然な演技など、とても気に入っていて、いつか仕事をしたいと思っていました。そして今回のこの作品が僕も大好きな『クレイマー、クレイマー』のようになると聞いて、まだ脚本なども見てなかったけど、これはやるしかないと思ったんです」と二つ返事で出演を決めたことを明かした。

台本無しで撮影を行った理由について監督は、「実はセリフは決めていて、俳優に渡さなかっただけで僕自身持っていたんです。ただ俳優に寄り添う、そうすることでとても自発的な自然さが生まれる。自発的な部分はとても大切にしていて、すごくリアルなやり取りが生まれて、信ぴょう性が出てくる。そうすることで観客が信じてくれる、信じてくれれば共感してくれる、共感してくれれば感動してくれる。僕一人で考えるよりもチームとして即興的にジャズのように撮影を進めていく方がより一層いいものができる」とその狙いを熱く語った。

そんな演出方法にデュリスは「最初は少し心配だったが、成功したのは監督の性格のよさのおかげです。子役の意見も大人の意見や提案も好意的に受け止め、ポジティブな対応をしてくれた。だから撮影が豊かになり、より高いレベルに到達したんだと思う」と監督を絶賛。

オススメのシーンについてロマン・デュリスは主人公については、実生活でも父親だから「子供たちとの日常的なシーンでは特に共感できたよ」
「シングルファザーが主人公だけど、脚本を進めていくうえで、子供を置き去りにする女性への世間の目の厳しさが想像以上のものであると気付いた」と明かし、続けて「タブーは掘り下げるべきだと考えた。だから子供を置き去りにした母親を罰する描き方はせず、女性が子育てしていくうえで受けるプレッシャーや女性の自由についても描いた作品になっている」と女性の描き方に強い信念を持って臨んだことが窺えた。
さらに「フランスの人々は『男女平等』と謳っているけれど、それが実践されているかと言うとまだまだだね。あと3世代はかかるんじゃないかな」と実情を吐露した。

監督は映画のエンディングについて会場の観客に質問を投げかけると帰ってきた反応に「フランスとは違う!」と驚いた様子で、安藤氏も「日本人は楽観的なのかな」と話した。
最後にロマン・デュリスが日本の観客に向けて「せっかく子供がいるんだから楽しまなきゃ」とメッセージを送り大盛況の舞台挨拶は幕を閉じた。

ストーリー
ある日突然、愛する妻が姿を消した。ふたりの子供たちとともに残されたオリヴィエは、オンライン販売の倉庫でリーダーとして働きながら、慣れない子供たちの世話に追われる。なぜ妻は家を出たのか。混乱しながらも妻を探し続けるオリヴィエのもとに、北部のヴィッサンから一通のハガキが届く…。

作品タイトル:『パパは奮闘中!』
出演:ロマン・デュリス『タイピスト!』『モリエール 恋こそ喜劇』、レティシア・ドッシュ『若い女』、ロール・カラミー『バツイチは恋のはじまり』、バジル・グランバーガー、レナ・ジェラルド・ボス、ルーシー・ドゥベイ
監督・脚本:ギヨーム・セネズ
共同脚本:ラファエル・デプレシャン
協賛:ベルギー王国フランス語共同体政府国際交流振興庁(WBI)
後援:ベルギー大使館
ベルギー・フランス/2018年/99分/フランス語/字幕:丸山垂穂
配給・宣伝:セテラ・インターナショナル

公式サイト:http://www.cetera.co.jp/funto/
コピーライト:(C)2018 Iota Production / LFP – Les Films Pelléas / RTBF / Auvergne-Rhöne-Alpes Cinéma

4月27日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開

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