この世界の片隅に

2016-10-12
こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

どこにでもある 毎日の くらし。昭和20年、広島・呉。わたしは ここで 生きている。

すずは、広島市江波で生まれた絵が得意な少女。昭和19(1944)年、20キロ離れた町・呉に嫁ぎ18歳で一家の主婦となったすずは、あらゆるものが欠乏していく中で、日々の食卓を作り出すために工夫を凝らす。 だが、戦争は進み、日本海軍の根拠地だった呉は、何度もの空襲に襲われる。庭先から毎日眺めていた軍艦たちが炎を上げ、市街が灰燼に帰してゆく。すずが大事に思っていた身近なものが奪われてゆく。それでもなお、毎日を築くすずの営みは終わらない。そして、昭和20(1945)年の夏がやってきた――。

戦時中の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向いて生きていく女性・すずの日々を描いた物語になり、こうの史代の同名漫画に惚れ込み、約6年の歳月をかけ徹底的な時代考証・現地考証を重ねた片渕須直監督が、丁寧にダイナミックに描き出しました。
主人公・すずを演じるのはアニメ声優初主演の女優のん。柔らかく、どこか懐かしい親しみを感じさせる声で、すずさんに生命を吹き込みました。
時に優しく、時に強い映画を包み込む音楽を担当するのは、コトリンゴ。クラウドファンディングに始まり日本中の想いが結集して、100年先にも届けたい、珠玉のアニメーション映画が完成致しました。

11月12日(土)テアトル新宿、ユーロスペースほか全国ロードショー
公式サイト
配給:東京テアトル

キャスト

声の出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 / 澁谷天外

スタッフ

監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)

レビュー

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大勢のすずさん

評価: ★★★★★ (4点) 投稿者:TAIYAMA2017-04-15

今更だけど観ました。 胸が痛いです。学校で習って、同じ時を題材にした作品を幾つも観てきて、すずさんと同世代の祖父母に多少はあの時代の話を聞いた記憶が、観ているうちにどんどんストーリーと重なって思い出されました。 観るのは辛いけど、これからもこういう作品は作り続けなければならないと強く思いました。大勢のすずさんがいたことを忘れちゃいけない。

ほんわか

評価: ★★★★★ (5点) 投稿者:しろいるか2017-03-13

内容はけっこうシビアなのに、主役さんの声で温まりました。 声優さんではなくて正解だったと思います。

人々の助け合い

評価: ★★★★★ (4点) 投稿者:ecru2017-03-05

戦争映画なので不幸が続くが、 今の時代に無いのんびりさと人々の助け合いが懐かしく感じられた。 画風は好き嫌いありそうだな。

原作のファンです ネタばれ

評価: ★★★★★ (5点) 投稿者:autumn0032016-11-05

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試写会で観てきました。 原作のファンだったので、あの味のある原作をどう映画にできるんだろう・・・と思っていましたが、予想以上の出来栄えでした。 資金面からクラウドファウンディングを募ったりしたためか、製作サイドの本気具合がすごく伝わってきました。 全体的に絵の具のような、懐かしくなる「昭和」テイストの出ている色調も、作品内に出てくる古い生活の用具・様式も、その時代に生きていなくても見ているだけで懐かしくなるような感じがしました。 主人公のすずは、間の抜けている反面、それが時代に負けぬ柔軟性にも繋がっていています。 ぼんやりとしたまま夫の家に嫁ぎ、色々な日々の起伏をこまごま乗り越えていく姿は、辛い時代の中でもなんだかコミカルに見えます。 もちろん、戦争のせいで終盤とても辛い展開になるのですが、終戦のやるせなさに直面し、それを超えて行こうとするラストに、試写会に来ていた人の中でも泣かされた人は多かったようです。 個人的には、原作と少し違う部分もありましたが、終盤の「映画の最後の最後」の部分から、製作サイドの心意気を感じました。エンドロールも含め、最後まで本当にいいものを観せていただきました。