判決、ふたつの希望

2018-07-09
2017 TESSALIT PRODUCTIONS - ROUGE INTERNATIONAL - EZEKIEL FILMS - SCOPE PICTURES - DOURI FILMS
PHOTO TESSALIT PRODUCTIONS–ROUGE INTERNATIONAL

ふたりの男のささいな口論が国を揺るがす法廷争いに―。人間の尊厳をかけ、彼らが見つけた新たな一歩に世界が震えた感動作

レバノンの首都ベイルート。その一角で住宅の補修作業を行っていたパレスチナ人のヤーセルと、キリスト教徒のレバノン人男性トニーが、アパートのバルコニーからの水漏れをめぐって諍いを起こす。このとき両者の間に起きたある侮辱的な言動をきっかけに対立は法廷へ持ち込まれる。やがて両者の弁護士が激烈な論戦を繰り広げるなか、この裁判に飛びついたメディアが両陣営の衝突を大々的に報じたことから裁判は巨大な政治問題となり、“ささいな口論”から始まった小さな事件はレバノン全土を震撼させる騒乱へと発展していくのだった……。

第90回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート
第74回ベネチア国際映画祭最優秀男優賞受賞

クエンティン・タランティーノ監督のアシスタント・カメラマンという経歴を持つジアド・ドゥエイリ監督最新作。ふたりの男性の間に起きた些細な口論が、ある侮辱的な言動をきっかけに裁判沙汰となり、国家を揺るがす騒乱にまで発展する・・・。
監督自身の実体験をもとに作り上げた物語は、宗派や信条の違いを超えレバノン国内で爆発的な大ヒットを記録。さらに、第90回アカデミー賞ではレバノン史上初となる外国語映画賞ノミネートの快挙を成し遂げ、第74回ベネチア国際映画祭では、主演俳優のひとりが最優秀男優賞を受賞。中東の小国レバノンの映画でありながら米有名映画レビューサイトロッテン・トマトで満足度90%の高評価を獲得(※2018/6/14時点)するなど世界中の映画ファンから圧倒的な支持を集める話題の最新作。

8/31(金)、TOHOシネマズ シャンテ他全国順次公開
公式サイト

キャスト

アデル・カラム、カメル・エル=バシャ

スタッフ

監督・脚本:ジアド・ドゥエイリ
脚本:ジョエル・トゥーマ
2017年/レバノン・フランス/アラビア語/113分/シネマスコープ/カラー/5.1ch
英題:The Insult
日本語字幕:寺尾次郎
字幕監修:佐野光子
配給:ロングライド

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『判決、ふたつの希望』一般試写会にご招待!
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レビュー

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ちょっとした口ゲンカのはずが…

評価: ★★★★★ (5点) 投稿者:とえ2018-08-10

素晴らしい映画だった! 台風接近という悪天候に、正直、ちょっと面倒だなと思っていたのだけど、行って良かった! 観た甲斐があった映画だった 発端は、どこの国でもある口ゲンカだった しかし、それをきっかけに国を二分する論争へと発展してしまう 私たちが、目の前にいる人と口げんかをしている時、思わず口に出てしまう言葉がある 例えば、小学生だったら「お前の母ちゃんデベソ」のような幼稚な言葉 その言葉を言われた側は「俺の母ちゃん侮辱すんなよ!」と言って激怒する この映画は、その「侮辱」についての物語なのである 中東という地域のイスラエルに隣接しているレバノンという国だからこそ、「つい出てしまう一言」があって、後から冷静になって考えれば、それは相手を酷く侮辱している言葉だったと分かる しかし、そのことに気づいたときには後の祭りで、二人の口げんかは、さらに大きな話に発展してしまっていた 私たちが何気なく、特に意識もせず「お前の母ちゃんデベソ」と言ってしまった時、たいてい、その人のお母さんがどんなパーソナリティなのかを知らずに言ってしまう けれど、こちらも酷いことをされたんだから、それぐらいの侮辱は問題ないだろうと思ってしまう しかし、本当にその「侮辱」は問題がなかったのだろうか と、この映画は考えさせる 「侮辱」された側にもあがらえない人生があり 無意識に「侮辱」してしまった側にも、その理由がある そこで、この映画が訴えるのは「理解」と「対話」であり、その解決方法が素晴らしいと思った もしも、相手のお母さんを侮辱した時に、そのお母さんが寝たきりだったり、病気だったら その事実を知った瞬間に、相手を思う気持ちが大きく変わるはずだ 日頃、私たちは簡単に人を嫌いになったり、平気で悪口を言ってしまう しかし、その多くが、大抵、相手のことを知りもしないで言っているのだ そう思う前に、相手を知り、対話して誤解を解けば、その多くがケンカにならずに済むのに、人間はつい感情的になってしまうのだ そして、この二人の結末は、現在、世界中で起きている数々の紛争やテロを解決する希望にもなっている だから、この映画をたくさんの人が観て 「二人の間に何が起きたのか」 をよく考えて欲しいと思う