水を抱く女

2021-03-02
(C) SCHRAMM FILM / LES FILMS DU LOSANGE / ZDF / ARTE / ARTE France Cinéma 2020

<第70回ベルリン国際映画祭W受賞>名匠クリスティアン・ペッツォルト監督が“水の精”の神話を大胆に現代に置き換えて映画化

ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネ。彼女はアレクサンダー広場に隣接する小さなアパートで暮らし、博物館でガイドとして働いている。恋人のヨハネスが別の女性に心移りし、悲嘆にくれていたウンディーネの前に、愛情深い潜水作業員のクリストフが現れる。数奇な運命に導かれるように、惹かれ合うふたりだったが、次第にクリストフはウンディーネが何かから逃れようとしているような違和感を覚え始める。そのとき、彼女は自らの宿命に直面しなければならなかった…。官能的なバッハの旋律にのせて、繊細に描写されるミステリアスな愛の叙事詩。

社会派として知られ、ドイツの激動の歴史を描き続けてきたペッツォルト監督が、「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して水に戻る」という宿命を背負った美しき“水の精・ウンディーネ(オンディーヌ)”の神話を現代都市ベルリンに幻想的に蘇らせた最新作。第70回ベルリン国際映画祭・銀熊賞(最優秀女優賞)と国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)をW受賞した。

3月26日(金)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
公式サイト

キャスト

パウラ・ベーア、フランツ・ロゴフスキ、マリアム・ザリー、ヤコブ・マッチェンツ

スタッフ

監督・脚本:クリスティアン・ペッツォルト
2020年/ドイツ・フランス/ドイツ語/90分/アメリカンビスタ/5.1ch
原題:Undine
日本語字幕:吉川美奈子
配給:彩プロ

レビュー

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監督の蒔いた仕掛けに食いつく気持ち良さ

評価: ★★★★★ (5点) 投稿者:Shiron!2021-04-01

ファーストシーンからド修羅場。 助走なしで、一気に映画の世界に引きずり込まれました。 いったい何事?どんな関係?何があったの?ってか、ここ何処よ? 表情、仕草、状況、少しでもヒントを読み取ろうと、視覚聴覚を研ぎ澄ましてポンコツの脳みそがフル稼働する、この感覚が大好きです(≧∀≦) セリフの端々から徐々に二人の状況が明かされる頃には、どっぷりハマっていました。 一度入ったスイッチはONのまま、シーンに散りばめられた違和感の“匂わせ”を嗅ぎ取ります。 「もしや同僚以上の思いを抱いてる?」 潜水服を脱がせる、なんとも言えない微妙な距離感と触れ方に、こっちまでドキドキしてしまうシーンがあったり 「もしや××している?」抱きつく位置の違和感から、明らかにそこを意識しているのがわかったり。 やがて訪れる、答え合わせの瞬間のカタルシス!「ですよね〜」「そうだと思った」 ようは、監督が蒔いた仕掛けに食いついて、まんまと釣られているだけなのですが。それがまた気持ち良い。(*´ω`*) 繊細な役者のパフォーマンスはもちろん、神経の行き届いた画面作りの賜物ですね。 シーンには描かれていないシーンが見えてくるような映画や、セリフではなく映像が語りかけてくるような映画に興奮するタチなので 私にとって『水を抱く女』は、かなりエキサイティングな映画でした! ヒロインを演じるパウラ・ベーアは、内面に渦巻く怒りや悲しみや絶望を、フラットな表情に閉じ込めるのが本当に上手い。 『婚約者の友人』もラストの表情が素晴らしかった。 ホラーかと思うほど恐ろしい彼女の表情を見るだけでも価値があります。 キーポイントとなる湖に向かう列車でも水の音が聞こえる気がしたのですが、水の精ウンディーネの激しくも切ない物語にどっぷり浸かりました。

ヨーロッパ映画らしい好きなタイプの作風

評価: ★★★★★ (3点) 投稿者:tomoboop2021-03-23

なんとも神秘的!怪談か?神話か?ミステリアスな作風がとても良かったです。国立近代美術館の「あやしい絵」展を見てきたばかりなので、相通じる芸術性を感じました。