波紋

2023-04-11
(C)2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ

<筒井真理子主演>日本を代表する映画作家・荻上直子監督の最新作にして最高傑作に豪華俳優陣が集結した絶望エンタテインメント

須藤依子(筒井真理子)は、今朝も庭の手入れを欠かさない。“緑命会”という新興宗教を信仰し、日々祈りと勉強会に勤しみながら、ひとり穏やかに暮らしていた。ある日、長いこと失踪したままだった夫、修(光石研)が突然帰ってくるまでは―。
自分の父の介護を押し付けたまま失踪し、その上がん治療に必要な高額の費用を助けて欲しいとすがってくる夫。障害のある彼女を結婚相手として連れて帰省してきた息子・拓哉(磯村勇斗)。パート先では癇癪持ちの客に大声で怒鳴られる…。
自分ではどうにも出来ない辛苦が降りかかる。依子は湧き起こる黒い感情を、宗教にすがり、必死に理性で押さえつけようとする。
全てを押し殺した依子の感情が爆発する時、映画は絶望からエンターテインメントへと昇華する。

日本を代表する映画作家である荻上監督のオリジナル最新作にして、監督自身が歴代最高の脚本と自負する本作に、主演の筒井をはじめ、光石研、磯村勇斗、柄本明、キムラ緑子、木野花、安藤玉恵、江口のりこ、平岩紙ら実力派俳優陣が集結。愉快痛快!絶望エンタテインメントが誕生した。

2023年5月26日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
公式サイト

キャスト

筒井真理子 光石研 磯村勇斗 / 安藤玉恵 江口のりこ 平岩紙 津田絵理奈 花王おさむ 柄本明 / 木野花 キムラ緑子

スタッフ

監督・脚本:荻上直子
エグゼクティブプロデューサー:富田朋子 堤天心 小山洋平 高津英泰 久田晴喜 寺井禎浩
プロデューサー:杉田浩光 渡辺誠 企画・プロデューサー:米満一正
撮影:山本英夫 照明:小野晃 録音:清水雄一郎 美術:安宅紀史 衣装:宮本まさ江 衣裳(現場):村田野恵
ヘアメイク:須田理恵 音楽:井出博子 編集:普嶋信一 記録:天池芳美 VFX:大萩真司 佐伯真哉
音響効果:中村佳央 助監督:関谷崇 演技事務:竹村悠 制作担当:柴野淳 ラインプロデューサー:金森保
宣伝:FINOR
映画「波紋」フィルムパートナーズ(テレビマンユニオン U-NEXT 博報堂DYミュージック&ピクチャーズ 讀賣テレビ放送 イオンエンターテイメント ジャストプロ)
製作幹事・制作プロダクション:テレビマンユニオン 制作協力:キリシマ1945
配給:ショウゲート

レビュー

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自分の人生を取り戻す

評価: ★★★★★ (5点) 投稿者:Shiron!2023-05-19

主役級の名優たちの共演! それぞれ強烈なキャラクターだけど、みんなどこかしらユーモラスで憎めない。 人間味あふれる愛すべき人々に感じました。 表向きにはわからないけれど、みんなそれぞれ、いろんなものを抱えている。 ラストは圧巻です! クラップ音と水滴の音が印象的。 音は空気の振動だから、一度言葉に出すと波紋が生まれ、もう元には戻れない。 息子の恋人の設定も、まさに音と波紋。 穏やかな水面に波風が立たないよう、グッと言葉を呑み込む… 筒井真理子さんの絶妙な演技が笑えます。 怒りや呆れ、様々な感情が複雑にミックスされているのに、それが手に取るようにわかる。 自分が置かれた状況をグッと呑み込む精神的負担を軽減してくれたのが、宗教だと感じました。 見返りや対価を求めてくるような神様は厄介ですが、 当の本人も、自分の心の平安を保つ為に宗教を利用しているのだから仕方ない。 でも、ちょっとした言葉がきっかけで、勇気づけられたり、人との繋がりが生まれることもある。 幾重にも重なってぶつかりあった波紋は新たな紋様になって、いつしか一つに混ざり合う。 『愛しのアイリーン』もすごかったけど、本作でも木野花さんが素晴らしかった〜! なんだかんだで女の人生は忙しい。 わかりやすいところだと、結婚して子育てが一段落した途端に介護が始まる。 人生の節目節目で自分のなかの優先順位を変える必要にせまられがち。 それに、たとえ結婚/出産を選択しなかったとしても、自分自身の体の問題には直面するだろう。 そもそも女性は、自分ではハンドリングできない女性ホルモンと共に生きていて、望む望まないに関わらず、毎月生理がやってくる。 個人差はあれど、周期を把握して傾向を分析し対策を備える。生理から解放されたと思ったら更年期症状が始まり… 突発的な出来事に対応するスキル=危機管理のPDCAサイクルを少女の頃から養っているのだ。 そりゃ〜、自然と適応能力も高くなりますよ。 そりゃ〜、子育てだって介護だって無難に出来ちゃいますよ。 でも。だけど。それだからって。ワンオペで良い理由にはならないし、同じことをしていても「やってあげたい」と思うか「やらされている」と思うかでは大違いなのです。 とにかくラストが圧巻! トークショーで、なぜこれを選んだのか?の質問に監督は「天から降ってきた。」と回答されてました。 『川っぺりムコリッタ』の“塩辛”も本当に絶妙なチョイスでしたが、確かそれも同じようにおっしゃってました。 天才かよ! 今回も、枯山水、金魚、亀、プール、サウナ、などの象徴的なアイコンが実に良い! 筒井真理子さんの「監督は撮影中カメラを通さず直接肉眼で芝居を見て判断をしてくれて、自分の感覚と合っていた。」とのコメントに監督は「演出に自信がないので、撮影監督にお任せしている。」と答えてました。 映るものに関しては撮影監督に全面の信頼を寄せていて、ご本人はカメラの横で肉眼で観て、何か足りないと感じた時にもう一回お願いする。 「自分の感覚に正直に」を大事にしているとのことでした。 研ぎ澄まされた感覚で直感を疑わずに映画を撮ってらっしゃるのだなぁ。だからあのパッションに繋がるのか。と、なんだか腑に落ちました。

ハンドクラップ音!

評価: ★★★★★ (4点) 投稿者:ちゅうみぃ2023-05-16

フラメンコのパルマ(手拍子)が要所要所で使われ、そのたびにドキッとする印象を受けましたが、スローライフのイメージだった『かもめ食堂』とは真逆の見応えでした。 新興宗教や最も身近であるはずの家族、介護などの日常を通して見えてくる闇、そんななかに意味深なシーンとブラックなユーモアも盛り込み、そして意外なラスト! 当日は主役の筒井真理子さんの登壇もあり、撮影についてお話しくださり、監督からは本当に作りたい自分らしい作品ができたとおっしゃる嬉しい時間もあり貴重な体験ができました。

表現力!

評価: ★★★★★ (4点) 投稿者:tomoboop2023-05-12

素晴らしい表現力!人間関係を波紋に見立てた監督の演出も、俳優陣の演技力も。。「全員実力派」とあるだけに、どのキャラも印象的でした。主役の筒井真理子さんはもちろん、木野花さんが素晴らしかった! 決して愉快な話ではありませんが、一捻りある作品好きな人には刺さるかもしれません!