レビュー
監督の蒔いた仕掛けに食いつく気持ち良さ
ファーストシーンからド修羅場。 助走なしで、一気に映画の世界に引きずり込まれました。 いったい何事?どんな関係?何があったの?ってか、ここ何処よ? 表情、仕草、状況、少しでもヒントを読み取ろうと、視覚聴覚を研ぎ澄ましてポンコツの脳みそがフル稼働する、この感覚が大好きです(≧∀≦) セリフの端々から徐々に二人の状況が明かされる頃には、どっぷりハマっていました。 一度入ったスイッチはONのまま、シーンに散りばめられた違和感の“匂わせ”を嗅ぎ取ります。 「もしや同僚以上の思いを抱いてる?」 潜水服を脱がせる、なんとも言えない微妙な距離感と触れ方に、こっちまでドキドキしてしまうシーンがあったり 「もしや××している?」抱きつく位置の違和感から、明らかにそこを意識しているのがわかったり。 やがて訪れる、答え合わせの瞬間のカタルシス!「ですよね〜」「そうだと思った」 ようは、監督が蒔いた仕掛けに食いついて、まんまと釣られているだけなのですが。それがまた気持ち良い。(*´ω`*) 繊細な役者のパフォーマンスはもちろん、神経の行き届いた画面作りの賜物ですね。 シーンには描かれていないシーンが見えてくるような映画や、セリフではなく映像が語りかけてくるような映画に興奮するタチなので 私にとって『水を抱く女』は、かなりエキサイティングな映画でした! ヒロインを演じるパウラ・ベーアは、内面に渦巻く怒りや悲しみや絶望を、フラットな表情に閉じ込めるのが本当に上手い。 『婚約者の友人』もラストの表情が素晴らしかった。 ホラーかと思うほど恐ろしい彼女の表情を見るだけでも価値があります。 キーポイントとなる湖に向かう列車でも水の音が聞こえる気がしたのですが、水の精ウンディーネの激しくも切ない物語にどっぷり浸かりました。
ヨーロッパ映画らしい好きなタイプの作風
なんとも神秘的!怪談か?神話か?ミステリアスな作風がとても良かったです。国立近代美術館の「あやしい絵」展を見てきたばかりなので、相通じる芸術性を感じました。