レビュー
人種が融合するイベント
伝説のベジャールの『第九』が再演される過程を追った、濃厚なドキュメンタリー。 スイス・ローザンヌのモーリス・ベジャールバレエ団と東京バレエ団のコラボ、加えて生オーケストラを演奏するのはイスラエル・フィルハーモニー。 国境・人種を越えたメンバーにより大イベントが実現される様子と、一人ひとりの人間が持つドラマが交互に垣間見える、そんな構成になっています。 ベジャールが第九に込めたメッセージが伝わってきました。
スイス、ローザンヌ。『第九交響曲』出演のために過酷な練習に取り組むモーリス・ベジャール・バレエ団のダンサーたち。
第二幕のメインをジル・ロマンから任せられた才能豊かなソリスト、カテリーナは踊る喜びに満ち溢れていた。ある日、カテリーナは妊娠が発覚しメインを下ろされてしまう。一方で、お腹の子の父となるオスカーは生まれてくる子のために良き父親になろうとしていた。キャリアが中断されることへの不安と産まれてくる子供への愛情のあいだで揺れ動くカテリーナ。
様々な想いを抱えながらダンサーたちは、東京での第九のステージに挑む。
【introduction】
総勢350人!空前絶後の「踊る第九」。
天才振付家モーリス・ベジャール没後10周年にあたる今年、ベジャールの代表作のひとつ「第九交響曲」の舞台裏を捉えた感動のドキュメンタリー。
故モーリス・ベジャールによって振り付けられた伝説のダンス『第九交響曲』。1964年にブリュッセルのシルク・ロワイヤルにて初演され、20世紀バレエ史上に残る傑作と謳われながらも、総数80人余のダンサーにオーケストラとソロ歌手、合唱団を加え、総勢350人に及ぶアーティストの力を結集した他に類をみない大規模なスケールゆえ、2007年のベジャール亡き後、再演は不可能とされてきた。
しかしながら2014年に、東京バレエ団創立50周年記念シリーズ第7弾として、東京バレエ団とモーリス・ベジャール・バレエ団の共同制作として空前絶後の一大プロジェクトが実現する―。
本作は、21世紀のバレエ史上最高傑作と呼ばれた総合芸術のステージが出来上がるまでの度重なるリハーサルの様子や、ベジャールの後継者ジル・ロマン芸術監督のもと新たに踏み出したベジャール・バレエ団の様々な文化的背景を持つダンサーたちが織りなす人間ドラマに密着した感動のドキュメンタリー。大貫真幹など世界で活躍するダンサーの過酷な練習、メインダンサーの突然の妊娠など、多種多様なバックボーンを持つ350人のアーティストが、数々のアクシデントを乗り越え、様々な思いを抱えながらも伝説のステージ「第九交響曲」に挑む。
監督は、『ベジャール、そしてバレエはつづく』(09)のアランチャ・アギーレ。ペドロ・アルモドバル、カルロス・サウラといった錚々たる映画監督のもとで助監督として経験を積み、いまスペインで最も期待されている女性監督の一人で、10代の時にモーリス・ベジャール・バレエ団のスクールに入学したという異例の経歴を持つ。
ベジャール・バレエ団と東京バレエ団、そしてズービン・メータ率いるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団ほか、総勢350人が生み出した一大スペクタクル“踊る第九”。
バレエ団を間近でみつめてきた監督だからこそ捉えることができた、伝説のステージのすべてがここに!
マリヤ・ロマン/モーリス・ベジャール・バレエ団:エリザベット・ロス、ジュリアン・ファヴロー、カテリーナ・シャルキナ、那須野圭右、オスカー・シャコン、大貫真幹/東京バレエ団:上野水香、柄本弾、吉岡美佳/クリスティン・ルイス、藤村実穂子、福井敬、アレクサンダー・ヴィノグラードフ、栗友会合唱団 ジル・ロマン(モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督)、ズービン・メータ(イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督)
振付:モーリス・ベジャール
監督:アランチャ・アギーレ
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲『交響曲第9番 ニ短調 作品125』
宣伝:ブリッジヘッド
協力:東京バレエ団
後援:スイス大使館
2016/原題:BEETHOVEN PAR BEJART/83分/スイス、スペイン/フランス語、英語、日本語、スペイン語、ロシア語/カラー/1:1.78/ドルビー・デジタル5.1ch/字幕:村上伸子、字幕監修:岡見さえ
配給:シンカ
伝説のベジャールの『第九』が再演される過程を追った、濃厚なドキュメンタリー。 スイス・ローザンヌのモーリス・ベジャールバレエ団と東京バレエ団のコラボ、加えて生オーケストラを演奏するのはイスラエル・フィルハーモニー。 国境・人種を越えたメンバーにより大イベントが実現される様子と、一人ひとりの人間が持つドラマが交互に垣間見える、そんな構成になっています。 ベジャールが第九に込めたメッセージが伝わってきました。