レビュー
タヒチでのゴーギャン
パリでの画家ゴーギャン、文明を捨て家族を捨て、タヒチに行ったゴーギャン。美術の教科書でしか知らなかったゴーギャンが中年の危機を迎えリアルにもがいた男として生き生きと描かれる。 ヴァンサン・カッセルの演技に拍手。
フランス、パリで株式仲買人としての仕事を始めたゴーギャンは、趣味で絵を描くようになった。だが1882年、パリの株式市場が大暴落し、それまでの裕福な生活は一変する。それを契機に絵画を本業とすることを考えるようになったゴーギャンだが、生活は困窮。
最愛の妻と子供たちと別れてしまう。その後、わずかな資金を手にタヒチを訪れた彼は、その土地に魅了されてしまう。やがて現地の美しい娘であり、のちにゴーギャンのタヒチでの絵のモデルとなったテフラという娘と結婚するが、すぐに彼の資金は底をつき、彼女との楽園のような生活も貧窮を極めることに。やがてテフラの感情も、彼のもとを離れていってしまうのだった…
【introduction】
19世紀を代表する画家ポール・ゴーギャンのタヒチ時代の知られざる創作の秘密と愛の悲劇。
芸術華やかなりし19世紀フランスに誕生した画家たちのなかで、ポール・ゴーギャンは、ゴッホ、セザンヌらと並び“後期印象派”と総称される仲間の一人であり、特にゴッホとは1888年の一時期、共同生活をしながら創作に励んだことはよく知られている。この時代の天才たちの中でもひときわ野生を切望し、作品のモチーフにも異国情緒と神秘を持ち込んだ異才、ゴーギャンの、生誕170周年作品『ゴーギャン タヒチ、楽園への旅』がいよいよ日本でも公開になる。
本作は、1891年に念願のフランス領ポリネシアのタヒチ島へと出帆し、その後の人生に深い刻印を残し、作品スタイルをも決定づけたポール・ゴーギャンの異国情緒たっぷりなタヒチ滞在クロニクル。
その年代記のマイルストーンとして認められるのが、現在、フランス内外の美術館に所蔵されたゴーギャンのタヒチ時代の作品であり、妻子を捨てるようにして島に渡った彼が現地で出会う“原始のイヴ”をモデルとして、数々の作品を生み出していく“熱帯のアトリエ”における芸術家の愛と苦悩の日々が明かされる。
ヴァンサン・カッセル
監督:エドゥアルド・デルック
脚本:エドゥアルド・デルック、エチエンヌ・コマール、トマ・リルティ
撮影:ピエール・コットロー
音楽:ウォーレン・エリス
2017年/ フランス/ 102分/カラー/原題:Gauguin Voyage de Tahiti
後援:タヒチ観光局
配給:プレシディオ
パリでの画家ゴーギャン、文明を捨て家族を捨て、タヒチに行ったゴーギャン。美術の教科書でしか知らなかったゴーギャンが中年の危機を迎えリアルにもがいた男として生き生きと描かれる。 ヴァンサン・カッセルの演技に拍手。