寺尾聰の誕生日を祝して佐藤浩市もサプライズ登壇 『父と僕の終わらない歌』公開初日舞台挨拶レポート

映画『父と僕の終わらない歌』の公開初日舞台挨拶が5月23日、TOHOシネマズ 日比谷にて行われ、寺尾聰、松坂桃李をはじめ、佐藤栞里、副島淳、ディーン・フジオカ、松坂慶子、小泉徳宏監督が登壇。さらに、シークレットゲストとして佐藤浩市も登壇した。

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(左から)佐藤浩市、ディーン・フジオカ、松坂慶子、寺尾聰、
松坂桃李、佐藤栞里、副島淳、小泉徳宏監督

2016年、イギリス。YouTubeに投稿された1本の動画が、世界中を感動させた。ドライブの車中で楽しそうに歌う父と息子。助手席に座り、抜群の歌唱力で伸びやかに歌い上げる父のテッド・マクダーモットは、アルツハイマー型認知症を患っている。この動画は同じ境遇にある世界中の家族に感動と希望を与え、再生回数は6000万回以上を記録。さらにこれがきっかけとなり、父テッドは80歳にしてCDデビューを果たし、イギリス最高齢の新人歌手となった。

この実話をもとに、日本を舞台に横須賀に生きる父と息子に置き換え、それぞれの愛と葛藤、家族や友人たちに支えられながら、アルツハイマーの父が若き日に諦めたレコードデビューの夢を、再び叶えようとするまでの物語を描く。

そんな本作が公開初日を迎え、満員の客席の前に豪華キャスト陣と監督が登場。寺尾は、登壇してくる一人一人とハイタッチを交わすなど、チームワークを感じさせる一幕から舞台挨拶はスタートした。

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主人公・間宮哲太を演じた寺尾の「お楽しみいただけたでしょうか?この顔ぶれ見てください、最高でしょ!?」という客席への問いかけに、大きな拍手が沸き起こる中、寺尾はこの日に至るまでの宣伝活動を振り返り、「今まで何本か映画の主役をさせていただいた作品がありましたが、これくらい宣伝に“駆けまわった”作品はないです。足の届くところは全部行って、ポスターを貼りまくって来ました。行く先々で、映画の中身を話すわけにはいかないので、とにかく『この顔ぶれでやるんだ!』と伝えてきました」と、共に初日の舞台に立った共演者たちに胸を張った。

上映後の舞台挨拶ということで、客席には涙ぐむ人も多く見られる中、息子役を演じた松坂は「本当に温かな空気に包まれていますね。この作品を作ってよかったなと、心から思っています」と、本作のメッセージが観客に届いているのを実感した様子。

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続いて、佐藤は「実写の映画の初日舞台挨拶が生まれて初めてなので…」と切り出すと、客席に感動で涙を流している人を見つけ、「あ~…泣いてる人を見ると泣いちゃうんですよ…」と声を詰まらせ、「私もこの『父僕』のファンの一人でもあるので、沢山の方に届いているのがわかってすごく嬉しいです」と、次第に号泣。

すかさず、佐藤と夫婦役を演じた副島がハンカチを差し出す一幕もあり、「私が演技の経験が少ないのを知った寺尾さんが私の目をまっすぐ見て、『嘘が本当になる瞬間があるんだよ。そのセリフが本当になる日が来たらお芝居がもっともっと楽しくなるよ』と言ってくださった」と振り返りながらまた涙を流し、会場からも温かい拍手が寄せられた。

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副島は錚々たるキャストとの共演に初めは緊張していたと明かすが、「寺尾さんの優しさと面白さ、桃李さんの温かさ、慶子さんの包み込むような大らかな雰囲気であったり、この作品に携わる皆さんの絆が強くて、毎日『終わらないでくれ!』と思った、有意義な一日一日でした」と、自身にとってかけがえのない経験となったことを明かした。

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続いて、本作の舞台挨拶に初登壇したディーンは、鮮やかな金髪姿で登場し「今日素敵なメンバーと再会できることを楽しみにしていたら昨晩寝れなくなっちゃって。普段は2時間早く起きて髪の毛を黒く染めているのですが、今日染めてくるのを忘れちゃって。すみません!(笑)」と、ジョークを交えて会場を笑わせた。

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劇中で印象的な登場を果たすディーンだが、出演を決めた理由について「“オヤジ”(寺尾)から電話がかかってきて『出てくれ』と言われまして」と、“オヤジ”と慕う寺尾からのラブコールがあったことを明かし、「寺尾さんとは過去に親子の役をやらせていただて、いつかまた再会できたらいいなと思って日々精進してきた」と、念願叶っての共演となったことに改めて喜びを滲ませた。

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寺尾演じる主人公の妻を演じ、見事な“夫婦愛”をスクリーンで届けた松坂は「寺尾さんと一緒にシーンを進めていくと、自然と寺尾さんが引っ張ってくださって、(夫婦の関係は)自然と生まれてくるものでした。共演させていただき光栄です」と寺尾に伝え、それを受けた寺尾も「こちらこそ、光栄です」と、劇中の間宮夫婦さながらの雰囲気で、肩を組み合いながら想いを伝えあった。

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メガホンを取った小泉監督は、イギリスの実話をもとにした作品作りの苦労について「日本にそのまま置き換えられるわけではなく、文化の違いがある中で、日本の皆さんに馴染むように脚色したりする作業は大変でした」と回顧しつつ、「ただ、キャストの皆さんの絆が、どこか欧米感のある温かい現場で、本当に終わってほしくないなと思える現場でした」と、劇中の温かさそのままだったという現場の雰囲気を伝えた。

それぞれが作品への強い愛を語る中、ここで、5月18日に78歳の誕生日を迎えたばかりの寺尾にサプライズゲストが。劇中で寺尾演じる哲太の主治医を演じ、寺尾と親交も深い佐藤が大きな花束を手に舞台袖に姿を見せ、予期せぬ展開に寺尾も思わず興奮の表情を見せながらも、舞台の中央でがっちりとハグを交わした。

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「言葉が出ないほど嬉しいです」と明かした寺尾は、「佐藤浩市さんは、ずーっと親の代からの付き合いで、血は繋がっていないけれど“弟”のような存在です。これまでの共演では、実際に向かい合って芝居をしたことがなかったけれど、この作品では向かい合って芝居ができて嬉しかったです。腰抜かすぐらい嬉しいです!」と、喜びを爆発させた。

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互いに“寺にい”、“こうちゃん”と、兄弟のような親しみを込めて呼び合う仲だという寺尾と佐藤。この日は本作で親子を演じた松坂、過去に息子役を演じたディーン、そして、弟のような存在という佐藤に囲まれ、「羨ましいでしょ?皆さん。こんな最高のいい男ばっかりが“兄弟”だったり“息子”だったりで!(笑)」と声を弾ませ、会場の笑いを誘った。

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その後も一人一人の共演者に対して、愛情深い言葉を投げかけた寺尾だが、小泉監督に対して「最後に出演しようと背中を押してくれたのは、小泉監督の『寺尾さんの代表作にします!』という言葉でした。実際に観ていただいて、代表作になったかどうか…」と客席に問いかけると、この日一番の拍手が起こり、その反応に寺尾と小泉監督も顔を合わせ、嬉しそうな様子を見せた。

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さらにこの日はもう一つ、寺尾へのサプライズのプレゼントが。劇中で見事な歌声を披露した寺尾だが、その楽曲が収められた、キャストのサイン入り“特製レコード”が贈られた。世界に一つしかない貴重なレコードに、「これをコピーして…(笑)」と冗談を飛ばしつつ、「いやー、これは嬉しいな!」と満面の笑みをこぼした。劇中で“レコードデビューを目指す父”を演じた寺尾だが、最高の形の“特製レコード”となって実現することとなった。

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音楽についての話題になると、撮影中に代表曲の一つ「ルビーの指環」を寺尾が生歌唱したというエピソードが明かされ、松坂が「贅沢でしたね。エキストラさんとか皆さんがいるテストの時に、『ルビーの指環』を歌われて…『え、歌ってくれる!!』となって。それはすっごい嬉しかったですね」とコメント。そんな松坂に対し、寺尾も「彼はあんまり歌が得意じゃないっていうんですけど、一緒に歌うシーンは本当に素晴らしくて。あんまり気持ちよかったので、飛び跳ねて歌っちゃいました」と、作品を象徴するようなドライブ中の親子の歌唱シーンを楽しそうに振り返った。

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劇中からそのまま飛び出してきたような温かな雰囲気で、笑いあり涙ありとなった舞台挨拶。最後に松坂は「ようやく皆様に届けることができて嬉しく思っております。本当に愛に包まれて、心を支えてくれるような、寄り添ってくれるような、そんな作品になればいいなと思います。是非沢山の方に広めていただければと思います!」と笑顔を見せた。

そして、寺尾は「映画というのは長い時間をかけて、よく『心を一つにして』というんですけど、なかなかうまくいかないものなんです。ただ、この映画は紛れもなく皆が一体となって、手を繋いで出来上がった作品です。文字通り“心を込めて”作った作品です。映画のテーマは悲しいテーマかもしれません、辛い部分もあるでしょう。でも愛に包まれた中で完結していく映画です。日本中の皆さん、是非、是非、是非、劇場に行って観てください」と、チーム一体となり愛情を込めた作品が封切られることへの喜びと、多くの観客へ届くことへの願いを込め、舞台挨拶を締めくくった。

ストーリー
かつてレコードデビューを夢見たものの、息子・雄太のためにその夢を諦めた父・哲太。横須賀で楽器店を営みながら、時折地元のステージで歌声を披露しては喝采を浴びてきたユーモアたっぷりで人気者の哲太は、ある日、アルツハイマー型認知症と診断されてしまう。全てを忘れゆく父を繋ぎ止めたのは、彼を信じ支え続けた息子、強く優しい母、強い絆で結ばれた仲間、そして父が愛した音楽だった――。大好きな歌を歌う時だけ、いつもの父さんが戻ってくる。父さんの夢は僕ら家族の、皆の夢となって再び動き出す―。

『父と僕の終わらない歌』
出演:寺尾 聰 松坂桃李 佐藤栞里 副島 淳 大島美幸(森三中) 齋藤飛鳥 / ディーン・フジオカ 三宅裕司 石倉三郎 / 佐藤浩市(友情出演) / 松坂慶子
原案:「父と僕の終わらない歌」サイモン・マクダーモット著 浅倉卓弥 訳(ハーパーコリンズ・ジャパン)
監督:小泉徳宏
脚本:三嶋龍朗 小泉徳宏
音楽:横山 克
製作幹事:日活 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
制作プロダクション:ROBOT
制作協力:EPISCOPE
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(C)2025「父と僕の終わらない歌」製作委員会

公式サイト:https://chichiboku.jp
公式X:https://x.com/chichiboku

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