映画『俺ではない炎上』の完成披露試写会が8月24日に都内映画館で行われ、主演を務める阿部寛、共演の芦田愛菜、藤原大祐、板倉俊之、夏川結衣、監督の山田篤宏が登壇した。

第36回山本周五郎賞候補にもなった浅倉秋成の小説「俺ではない炎上」を実写映画化。ある日突然SNS上で炎上し、殺人事件の犯人に仕立て上げられた男・山縣泰介を演じた阿部は「脚本を読んだ時にはこれが現実に起きたら本当に怖いなと思いました。そして山縣泰介という役を楽しんで演じさせていただきました」と挨拶。

SNSでの炎上を題材にした現代的なストーリーだが「僕自身はSNSをやっていないので、リツイートの意味やその重大性がわからなかった。ですよね、夏川さん。知っていましたか?」と年齢の近い夏川に同意を求めつつ「携帯メールを打つのも遅いし、今でもネット社会にはついていけていない。そういう意味では僕にぴったりの役でした」とネットの渦に巻き込まれる役どころに共感を寄せていた。

“タフガイ”のイメージの強い阿部だが、劇中ではパンツ一丁の半裸姿で危機一髪を迎える。「12月の寒い時期の撮影で裸になって。あらわな姿でやったのは大変でした」という阿部に、山田監督が「本当にパンイチになってくれるのかな?と思ったけれど、体もバッチリと仕上がっていた」と役者魂に舌を巻くと、阿部は「冬場にパンイチは正直キツイかなと思いましたが、現場入ったらプロ意識で」と手応えを口にしていた。


殺害された大学生の友人で泰介を追う謎の大学生・サクラ役の芦田は、阿部との初共演に「阿部さんとはシリアスなシーンが多くてお話をする機会がなかったので、次はお話が出来るような作品で御一緒したいです」と次回にも期待。これに阿部は「小さい頃から映像で見ていますから、大人になったなあと思いました」と目を細めて、司会者からSNSの交換を提案されると「SNS?LINEならば出来ますよ…」と笑わせた。

泰介の妻・芙由子役の夏川とは、自身が6歳の頃に共演したという芦田は「今回は短い時間での共演でしたが、控室で一緒にご飯を食べさせて頂いたり、久々にお会い出来て嬉しかったです」とニッコリ。これに再会を楽しみにしていたという夏川も「相変わらず可愛くて、お芝居もしっかりしていて頼もしかったです」と太鼓判を押していた。

最初に事件の投稿を拡散した大学生インフルエンサー・藤原も阿部とは初共演。「そこまで言葉を交わす役ではなかったけれど、阿部さんは目の奥から伝えてくれるエネルギーがあって、お芝居をしながら感動しました」というと、阿部は「目の奥ね…。嬉しいですね」と喜びをにじませた。

泰介の同僚で大帝ハウスの営業部に勤める野井大輔役の板倉は、初共演の阿部に「本当に会えるのかよ!と思った。阿部さんを助手席に乗せて車で走る場面では、大スターの命を預かっているわけですから、教習所の卒検よりも緊張しました」とジョーク交じりで笑いを誘った。

一方、夫婦役を演じた阿部と夏川は、これで4度目の夫婦役だという。夏川は「阿部さんは目力が強い」というと、阿部もすかさず「いや、そちらの方が強いと思いますよ」とニヤリ。

夏川が「阿部さんとのお仕事は毎回新鮮な気持ちで御一緒することが出来る」と信頼を口にすると、阿部も「気心知れた女優さんで、毎回的確な演技をしてくれる」と相思相愛で「今回も相変わらず面白いし、撮影の合間に聞かせてもらった映画の感想も的確で毒舌もあり、その作品を観た気になった」と仲の良さを伺わせるエピソードを明かしていた。

映画の内容にちなんで、誰が真実を話していて誰が嘘をついているのかを当てるクイズ企画を実施。「これまでに誤解を招いて大騒動になったorなりかけたエピソード」をそれぞれが発表し、その中に紛れた嘘エピソードを発表した人物を観客たちが推理して突き止めるというもの。
板倉は「飛行機内でクシャミをして鼻フィルターが前の座席まで飛んでしまった」、夏川は「未婚なのに結婚していると言われ続けた」、藤原は「下の名前の読み方がややこしくて、海外のホテルでTAIYUと予約されていてチェックインできなかった」、芦田は「大学の期末テストで試験会場の教室を間違えた。危うく単位を落とすところだった」、阿部は「車の運転中に職質された際、ボンネットに両手をつくというアメリカ映画でよく見るような体勢を取ってしまった」と照れ笑いで明かした。

この中の一人が虚偽エピソードを発表したわけだが、観客たちは板倉が怪しいと推理。一方、山田監督は「話がまとまり過ぎている」と芦田を疑った。その推理の通り、嘘の話をしていたのは芦田だった。芦田は「ちょっと作り過ぎてしまったかも…」と反省していた。

舞台挨拶終盤には主題歌『おっかない』を書き下ろしたWANIMAから「この後の上映で本編と共に主題歌も初披露となりますので、ぜひエンドロールまで楽しんで頂けたらと思います」というコメント動画が届いた。楽曲について阿部は「テンポがあって、まさに本作の内容とピッタリの曲を作ってもらえた。楽しく聴かせてもらっています」とお気に入りだと述べていた。
最後に山田監督は「炎上ではなく、良い感想でSNSを溢れさせてもらえたら嬉しいです」と初お披露目に期待。
阿部は「最近は強い役が多かったので、こうして追い込まれていく男も楽しいと思いました。人間は追い込まれて本気で何かをやっていると、それだけでクスっと笑えるので、エンターテインメントとしてぜひ最後までお楽しみください」と呼び掛けていた。盛大な拍手に包まれ、登壇者が降壇し、イベントは終了した。
WANIMA テキストコメント
今回『俺ではない炎上』の映画のお話を聞いて、自分たちにしか書けないと思い、集中して思いを込めてこの曲を作り上げました。かなり攻めた曲になっていると思います。ここまで言って良いのかなと思うくらい炎上についての思いをぶつけた曲です。
聞いていただいたら、スカッとする気持ちになれると思います。むしゃくしゃする気持ちになった時には是非この曲を聴いて気持ちを吐き出して欲しいです。
『俺ではない炎上』は、9月26日より全国公開。