映画『俺ではない炎上』より、本編映像が公開された。

本作は、浅倉秋成の同名小説「俺ではない炎上」を、山田篤宏監督により実写映画化。“大手企業のごく普通の営業部長”である山縣泰介が、突如SNSで個人情報をさらされ、殺人犯として追われることになる逃亡劇が描かれる。
今回解禁されたのは、阿部寛演じる山縣泰介が、逃亡の果てに行き着いた崖から意を決して降りていくシーン。身に覚えのないSNS炎上で日本中から追われることとなった山縣は逃げ場を失い、崖から降りることに……。山縣は着ていた服を脱ぎ、繋ぎ合わせて木に括り付けると、それを命綱にして慎重に崖を降りはじめる。パンツ1枚、ほぼ裸の状況に「何やってんだ、俺…」と呆れ返るやいなや、服で繋いだ心もとない命綱はミシミシと音を立てはじめる。
このシーンの撮影を振り返った阿部は、「あれは心細かったですね…(笑)そういうシーンなのですが、パンツ一丁で気持ちも心細くなってしまって。崖から降りるのも初めてだったと思うので、“大丈夫かな”と思いながら挑みました。しかも寒くて体もガチガチだったので、“もし落ちたら大変だな”と震えながら、降りていました」と語り、「そんな追い込まれた人間が最後にする表現としては、非常に面白いな。と思って、真面目に演じました」と、役作りへのプロ意識を覗かせた。

そして、引き締まった肉体美について触れられると、「普段からジムには行っているんですが、撮影の日は寒すぎて硬直していた記憶があります。それで余計に引き締まって見えていたのかもしれませんね(笑)」と、謙虚にコメントを寄せた。
これまで数々の役柄を演じきってきた阿部だが、今作を通じて初挑戦だったことという質問に「(命綱が切れて)後ろから落ちていくシーンは初挑戦でしたが、一発OKだったかな。あとは、“誰だか分からない多数”に追われる・狙われること、どこから何が出てくるか分からない恐怖は初めてでした。泰介は死体を見る前に追われてしまうので、余計なことを考えずただ逃げることに徹することができた」と、明かした。

真剣に逃げ回っているのにどこかユーモアが感じられる山縣については、「笑わせようとしてはダメだと思うんです。お客さん自身がみて笑う・泣く、自分は真剣にただ演じるだけ」と、役作りへのこだわりを語った。
映画『俺ではない炎上』は、9月26日より全国公開。
ストーリー
大手ハウスメーカーに務める山縣泰介は、ある日突然、彼のものと思われるSNSアカウントから女子大生の遺体画像が拡散され、殺人犯に仕立て上げられる。家族も仕事も大切にしてきた彼にとって身に覚えのない事態に無実を訴えるも、瞬く間にネットは燃え上がり、“炎上”状態に。匿名の群衆がこぞって個人情報を特定し日本中から追いかけ回されることになる。そこに彼を追う謎の大学生・サクラ、大学生インフルエンサー・初羽馬、取引先企業の若手社員・青江、泰介の妻・芙由子といった様々な人物が絡み合い、事態は予測不能な展開に。無実を証明するため、そして真犯人を見つけるため、決死の逃亡劇が始まる―――。