村田沙耶香のベストセラー小説を映画化した『消滅世界』の予告映像とメインビジュアルが完成した。

原作「消滅世界」は、超少子化の先-「性」が消えゆく世界で激動する「恋愛」「結婚」「家族」のあり方に翻弄される若者たちを描いた作品。「日本の未来を予言する小説」と各メディアで注目されたこの小説を、映像ディレクター・川村誠が脚本とともに映像化。本作が長編映画の監督デビュー作となる。
主人公の雨音役を蒔田彩珠、雨音の夫で朔役を栁俊太郎が演じる。さらに、雨音の良き理解者として学生時代から雨音と親交を深める親友・樹里役を恒松祐里が務め、雨音と同じ高校の同級生・水内には結木滉星。また、樹里の夫・水人役に富田健太郎、雨音の元夫・正信役に清水尚弥が、それぞれ雨音の感情を揺さぶり翻弄するキャラクターを体現している。
さらに、雨音の母・雫を霧島れいかが務め、朔の彼女である深雪を松浦りょう、実験都市エデンで生殖を司る医師を山中崇が演じ、さらにエデンの管理人を眞島秀和、謎の少年を岩田奏がそれぞれ務め、眞島と岩田はエデンという異世界の住人として独特な存在感を放ち、物語を更なる高みへと誘う。
予告編では、性が消えつつある日本の衝撃的未来が鮮烈なビジュアルで提示され、アニメーション作家Wabokuデザインによるストーリーを牽引するアニメキャラクターの造形や、D.A.N.による本作のために書き下ろされた主題歌「Perfect Blue」も公開されている。
人工授精で、子どもを産むことが定着した世界。そこでは、夫婦間の性行為はタブーとされ恋や性愛の対象は「家庭の外」の恋人か、二次元キャラというのが常識に。そんな世界で「両親が愛し合った末」に生まれた主人公・雨音は、母親に嫌悪を抱いていた。家庭に性愛を持ち込まない清潔な結婚生活を望み、夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音。だがその“正常”な日々は、夫と移住した実験都市・楽園(エデン)で一変する。
本予告にも登場する、主人公・雨音が恋をするアニメキャラクターの少年“ラピス”のキャラクターデザインを手掛けたのは、ずっと真夜中でいいのに。や、Eve、ポーター・ロビンソンなど数々のMVで知られるアニメーション作家のWaboku。
本作が描く映像世界と、Wabokuが描くキャラクターが高い親和性を示し、物語の中核のひとつとなる“二次元の恋”にリアリティを与えている。自身の作品について「共通するキーワードは“退廃”と“寂しさ”」と語るWabokuと、「その退廃的な世界観が本作に非常に合う気がした」と語る川村監督。二人の才能が、視覚的ケミストリーを結実させている。

今年作家活動10周年を迎え、記念個展『10-COUNT』が12月9日から開催されることでも注目を集めるWabokuは、ラピスの「デザインに取り掛かる前に、宙を見つめて小一時間思案していた」という。「普通のアニメキャラにはない奥行きが少しでも生まれ、誰かの心に届く事を願っています」とコメントを寄せた。
川村監督も「作品のコンセプト、物語に強く共感いただいて作画いただけたことが何よりの喜び」と語り、「次第に漂白されていく人間の世界とは裏腹に、色彩が失われた世界で色を取り戻していくラピスの造形は、主人公の葛藤と希望を象徴するものとなりました」と雨音が愛するラピスに息を吹き込んだWabokuへ賛辞を贈った。
Waboku(アニメーション作家) コメント全文
この世界のアニメキャラが持つ存在感は、言うまでもなく現実のアニメよりも大きいです。
空想の産物である彼らと、フィクション越しでしか関わる事ができない私たち。
その壁が取っ払われたとき、果たしてどんな関係性に変わるのか、お互いがどう見え始めるのか。
デザインに取り掛かる前に、宙を見つめて小一時間思案していた記憶があります。
『キャラひとり生み出すなら、本来それくらい考えなきゃダメ。』と諭されている気がして猛省もしました。
そんな気持ちで描き上げたラピス。
普通のアニメキャラにはない奥行きが少しでも生まれ、誰かの心に届く事を願っています。
Wabokuについて、川村誠監督からのコメント全文
Wabokuさんの退廃的で独特な作風・世界観に
「消滅世界」との親和性を感じ
主人公が愛するキャラクター・ラピスのデザインを
お願いしましたが、作品のコンセプト、
物語に強く共感いただいて
作画いただけたことが何よりの喜びです。
次第に漂白されていく人間の世界とは裏腹に
色彩が失われた世界で色を取り戻していくラピスの造形は、
主人公の葛藤と希望を象徴するものとなりました。
Wabokuさんによる劇中アニメイメージと
もう一人の主人公ラピスが
作品を牽引してくれているので
是非劇場の大スクリーンでご覧いただきたいです。
『消滅世界』
出演:蒔田彩珠 栁俊太郎 恒松祐里 結木滉星 富田健太郎 清水尚弥 松浦りょう 岩田奏 山中崇 眞島秀和 霧島れいか
監督・脚本:川村誠
原作:「消滅世界」(村田沙耶香著/河出文庫)
配給:NAKACHIKA PICTURES
(C)2025「消滅世界」製作委員会
https://shoumetsu-sekai.com/
11月28日(金)新宿シネマカリテ他全国公開
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