芦田愛菜、岡田将生、細田守監督が舞台挨拶に登壇 『果てしなきスカーレット』果てしなき全国キャンペーンin大阪

映画『果てしなきスカーレット』果てしなき全国キャンペーンin大阪が11月16日に実施され、声優を務めた芦田愛菜、岡田将生、そして細田守監督が登壇した。

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本作は、『時をかける少女』(06)、『サマーウォーズ』(09)、『おおかみこどもの雨と雪』(12)、『バケモノの子』(15)、『未来のミライ』(18)、そして『竜とそばかすの姫』(21)などを手掛けてきた細田監督の最新作。「人は何のために生きるのかを問う、骨太な力強い映画を目指したい。今、この大きなテーマを、観客と一緒に考えたい」という細田監督の想いから始まった本作は、主人公の王女・スカーレットが父の復讐に失敗するも、《死者の国》で再び宿敵に復讐を果たそうとする、今までの細田作品と一線を画す物語だ。

大阪では、この日が初披露となった本作。特別上映の前に実施された舞台挨拶で、主人公・スカーレットを演じた芦田が「今日は来てくれてほんまにありがとー!楽しんでいってやー」と関西弁で挨拶すると、その可愛らしさに歓声が沸いた。

スカーレットと共に旅をする現代の日本人看護師・聖(ひじり)役の岡田も「大阪に来られてめっちゃ嬉しいわ~!どうぞよろしくお願いします」と続けた。

そして細田監督も「皆さん初めまして。監督の細田守と申します。よろしゅうお願いしますわ~」と関西弁を披露し、会場を沸かせた。

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今回は果てしなき全国キャンペーンということで、芦田は「作品を観てくださる皆様と一緒に交流できたり、いつも温かく受けとめてくださってすごく嬉しいです。昨日の福岡での舞台挨拶でも、みなさん優しかったですし、大阪の皆さんも活気あふれる拍手や笑いをくださって」とコメント。岡田は「大阪の方々はいつも熱量高く迎え入れてくださるので、毎回来るのが楽しみです」と語り、細田監督は「前の作品で大阪キャンペーンに来て、それから4年ぶりです。前回はコロナ渦でも歓迎してくださって、今回は制約なしで皆さんに観てもらえてすごく嬉しいです」と笑顔を見せた。

また、兵庫県出身の芦田は「祖父母が住んでいるのでよく大阪には来ます。たこせんがすごく好きで、東京だとあまり見かけないので大阪に来ると絶対食べたいなと思います」とコメント。

岡田は大阪の思い出や印象を聞かれると「『ハムレット』という舞台の大阪公演で、気分転換でチームの皆さんと一緒にUSJに行ったのが楽しい思い出です」と振り返った。

細田監督は「もし大阪を舞台に映画を作るとすれば、どういう風に大阪を表現するだろうと考えていました。例えば、大阪城を映画の中に取り込めないかなとか、いつも考えたりしていました。街中も、古い大正時代の大きな建物と、現代の建物が一緒になっているところがすごく魅力的だなと思ったり、そんなことばかり考えながら大阪の風景を見させてもらってます」と語った。

続いて、どんな思いで役に向き合ったかを聞かれた芦田は「すごく深く、悩み苦しんでいるキャラクターだったので、それをどうやって表現しようかなと、私自身も悩み、体当たりで演じさせていただきました。叫ぶシーンも、悲しみの叫びだったり、あるいは、怒りなのか奮え立たせる叫びなのか、いろいろな種類があって、なかなか出すことのない声なので、どんな風に表現したらいいんだろうと、迷いや戸惑いが最初はありましたが、実際にやってみて、とにかくやってみて、なんとかスカーレットに近づいていけました」と告白。

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その姿を見ていた細田監督からは「芦田さんの後ろ姿を見ながら収録していました。お会いすると、すごく可愛らしくて利発な方ですが、このスカーレットという役は、王女様だけど地面を這えずり回って、泥だらけになりながら頑張っているような人で、最初はイメージが全然違った。なのに、収録をしていくと、だんだん芦田さんの後ろ姿がスカーレットに見えてくる。 いつも、堂々と背筋をピンと伸ばして、スカーレットと向き合って、お芝居をしてくださった姿が、素晴しかったなと思い出します」とアフレコの思い出を語った。

また今回、長編アニメーション映画の声優に初挑戦した岡田は「毎日収録に行くのが本当に楽しみでした。一つ一つのセリフが終わると、監督がブースに来てくださって、『いいですね』と毎回声をかけてくださるのが本当に嬉しくて、監督の人柄が作品にも出ていますし、アフレコの最中でも、温かく監督が包み込んでくれるような空間だったので、とてもやりやすい環境だったなと思います」と振り返った。

さらに、細田守監督作品ファンでもある岡田は「とても複雑なんですが、ファンとして何も知らないでスクリーンで観たかったです。でも、今回は内側に入れたことで、より監督の作品の素晴らしさを知ることができました」と続けた。

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二人の想いを聞き、細田監督は「聖という役は、岡田さんとすごく近いと最初から思っていました。もともとこの映画は『ハムレット』というシェイクスピアの作品がベースになっていて、岡田さんも『ハムレット』の主演を務めた数少ない俳優のおひとりなので、理解も深いし、人間性や気持ちの優しさも、聖と非常に近く、聖本人だと思いながら収録をしていました」と明かした。

さらに細田監督は「今回は生と死という大きなテーマを掲げた作品です。それだけに今までにないスケールの大きな作品になった。いつもだったら、3年に一回のペースで作るところが、それだと全然間に合わなくて、もう1年となり、それでもさらに間に合わなくて、4年半かけてようやくできました。そのぐらい密度のある作品になり、皆さんに自信を持って観てもらえる作品になったと思います」と、本作への熱い想いを語った。

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そんな本作で久々の共演を果たした芦田と岡田。芦田は「アフレコ現場でご一緒させていただいて、前回の共演の時は…」と言いかけると、岡田が「(前の共演の時は)嫌な役だったよね(笑)。でも今回はすごい、いいやつだったよね(笑)」と答え、二人が思わず笑う一幕も。
岡田が「聖は本当にいいやつなんです。前回と真逆で本当に良かったです」と続けると、芦田も「いい思い出ができました!聖はすごくいい人です!!」と満面の笑顔を見せた。

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そんな二人に、細田監督は「アクションも非常に激しい部分があるので、プレスコとアフレコの両方でお二人の声を録らせてもらいました。特にスカーレットの声には、非常に迫力と凄みがあり、芦田さんの体からそんな凄みがどこから出るんだろうっていうぐらい、力のこもった声が、アクションシーンを盛り上げてくれていると思います」とコメント。

さらに細田監督は、復讐に燃え、戦うことでしか生きられないスカーレットと、戦うことを望まない聖という真逆のキャラクターを演じた二人の様子を「お二人がブースに入って、一緒にお芝居している後ろ姿から、最初は対極なふたりが旅を通してだんだん近づく様子が、お二人のお芝居や立た佇いからも、伝わってきました。それが映画の中に、力を与えてくださっているなと、ぐっと来るものが何度もありました」と明かした。

本作を観て号泣したという岡田も「自分が関わっていると、自分の至らない部分を見てしまったりするのですが、今回は没入してこの世界観に入らせてもらいました。スカーレットの悲しみや、苦しみ、そして希望が見えた瞬間を、聖を演じていたからこそ、より彼女の感情に共感できました。(号泣したのは)嬉し涙と言うか、スカーレットをずっと最後まで見届けたいなという気持ちでした。(観客の皆さんは)これから観てくださると思うんですけど、本当にスカーレットの瞳に注目してほしいと思います。映画で彼女の瞳が少しずつ変わっていくんです。その変わっていく様が、こちらの感情を沸々と湧き起こしてくれる。なので魅力は瞳なんじゃないかなと思います」とコメント。

その瞳の魅力について問われた芦田も、「一番最初は絵がまだ絵コンテの状態で声を入れて、その後もう少し絵が出来上がってから声を入れさせていただいたのですが、セリフはないけど、瞳がちょっと揺れるだけで気持ちが伝わってくるようなシーンがどんどん完成するにつれて増えていって、それが私も印象的だなと思っていたので、ぜひ注目していただきたいです」と語った。

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カンヌ、ベルリン、ヴェネチア国際映画祭、先日11月5日に行われたジャパンプレミア、11月12日の直前イベントを経て、いよいよ11月21日に公開を迎える本作。

今の率直な気持ちを聞かれた芦田は「声を入れたのが1年半前くらいで、まだまだ公開は先だなと思っていたのですが、あっという間に皆さんにお届けできる日が近づいていて、少し緊張もありますが、早くたくさんの方に観ていただきたい気持ちでいっぱいです」とコメント。岡田は「とにかく早く観ていただきたいと思いますし、できれば劇場で大きいスクリーンで、この作品の素晴らしさを観ていただけたら、本当に嬉しいなと思っております」と語り、細田監督は「完成するまで非常に長かったのですが、ようやく皆さんの元まで届けられるなという感じです。ここまで来られたのは、優秀なスタッフたちが試行錯誤して、この作品に取り組んでくれたことや、たくさんの素晴らしいキャストの皆さんがこの映画に魂を吹き込んでくれたからこそ、できたことです。それが今、非常に誇らしいです」と語った。

最後に、芦田は「この映画は生きることや、愛についてのメッセージがたくさん詰まっている作品ですが、誰かを愛する、何かを愛する、そして自分自身を愛するということはすごく大事なことなんじゃないかなと、思わせてくれる作品だと思います。ぜひ皆さんも生きることや、愛とはなんだろうと、考えながら観ていただけると嬉しいです」と語り、最後は関西弁で「大阪の皆さん、今日はありがとう」と明るい笑顔で締めくくった。

その後のフォトセッションでは、大阪らしく、たこ焼きのうちわを持った観客と記念撮影。アツアツのたこ焼きと、3人の作品に対する想いの熱の余韻を残しながら、舞台挨拶は拍手に包まれ幕を閉じた。

『果てしなきスカーレット』
キャスト:芦田愛菜
岡田将生
山路和弘 柄本時生 青木崇高 染谷将太 白山乃愛 / 白石加代子
吉田鋼太郎 / 斉藤由貴 / 松重豊
市村正親
役所広司
監督・脚本・原作:細田守
企画・制作:スタジオ地図
配給:東宝 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
(C)2025 スタジオ地図
https://scarlet-movie.jp/

2025年11月21日(金)公開

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