映画『美しい夏』(8月1日公開)より、キャラクタービジュアル2種が解禁。さらに、各界著名人からのコメントも到着した。

ジーニア
本作は、ストレーガ賞を受賞した、イタリア文学界の巨匠チェーザレ・パヴェーゼの同名小説を映画化した青春ドラマ。舞台は1938年、戦争の影が忍び寄るイタリア・トリノ。16歳の少女ジーニアが、友情や恋、憧れと焦燥のなかで初めて味わう心の揺れが繊細に描かれる。
今回解禁されたのは、ふたりのヒロインの内面や生き方が浮かび上がるキャラクタービジュアル。静かなトリノの街を舞台に、それぞれの人生を模索するふたり。対照的でありながらも、どこか重なり合うその姿が切り取られている。
ひとつ目のビジュアルは、洋裁店で働く16歳の少女ジーニアにフィーチャーしたもの。自分の人生に何か楽しいことが起こらないかと甘い期待を抱きながら、電車の窓越しに街を見つめる表情や、制服に身を包み、お針子として任された仕事に真摯に向き合う健気な姿を切りとられている。「君もモデル?」「いいえ、洋服を作っているの」という台詞は、自らの手で道を切り拓こうとする彼女の誇りと芯の強さを物語っている。
そんなジーニアを演じるのは、イーレ・ヴィアネッロ。ブラジル生まれ、イタリア・トスカーナ地方のアペニン山脈にあるエコビレッジで育ち、自然に囲まれた自給自足の暮らしのなかで感性を磨いた。幼少期にアリーチェ・ロルヴァケル監督と出会い、2011年には監督の長編デビュー作『天空のからだ』で主演に抜擢。第64回カンヌ国際映画祭・監督週間で上映され、演技未経験ながら鮮烈なデビューを飾った。その後も話題作に出演し続けている。
もうひとつのビジュアルは、もう一人のヒロインのアメーリアにフィーチャーしたもの。ジーニアより3歳年上のアメーリアは、画家たちの絵のモデルとして生計を立てながら、アーティストたちの世界に出入りする自由奔放な女性だ。「絵のモデルよ。座ったり横たわったりして、ポーズをとるの」という台詞とともに切り取られたビジュアルには、彼女の自立した佇まいと、生き方への誇りが映し出されている。

『美しい夏』キャラクタービジュアル
アメーリア
アメーリアを演じたのは、ディーヴァ・カッセル。モニカ・ベルッチとヴァンサン・カッセルを両親に持ち、パリで育った。14歳でドルチェ&ガッバーナのキャンペーンモデルに起用され、その後もディオールのアンバサダー、「Vogue Italia」60周年号の表紙など、世界的トップブランドの顔として活躍。幼少期から演技レッスンを重ね、本作でスクリーンデビューを果たした。Netflixリミテッドシリーズ「山猫」ではクラウディア・カルディナーレが演じた名役を再演し、『オペラ座の怪人』のリメイク出演も発表されるなど、注目を集めている。
また、本作をひと足先に鑑賞した小説家の山内マリコ、コラムニストの山崎まどか、文筆家の水上文をはじめ、児玉美月(映画批評家)、和田忠彦(イタリア文学者/東京外国語大学名誉教授)、マッシ(ライター・エッセイスト)、緒形龍(俳優・モデル)らから寄せられたコメントは以下の通り。
コメント(敬称略・五十音順)
儚さと美しさが繊細に織り込まれた美しい一作でした。Yile Yara Vianelloの目に宿る切なさと好奇心、そしてDeva Casselの圧倒的な美しさと凛とした気高さ。この二人が醸し出すケミストリーに、心が静かに満たされました。
緒形龍(俳優・モデル)
「軽薄な男たちといるより、女同士の方がいい」と語り合う女たち。
本当は誰といたいのか、本当は誰に惹かれるのか――彼女たちは心の奥ではきっと知っている。
『美しい夏』は、華やかな刹那と黄昏の憂鬱で彩られていたあの季節の記憶を、ここに呼び起こしてゆく。
児玉美月(映画批評家)
自立した女性アメーリアに惹かれ、背伸びして大人の世界に飛び込んだジーニア。憧憬や羨望、憂いや戸惑い、恥じらいや不安といった揺れ動くやわらかな感情を映し出す彼女の澄んだ瞳とまっすぐな眼差しに、パヴェ―ゼが繊細な文章で紡いだ、二度と戻ることのない美しい夏の青春と傷痕がすべて凝縮されている。
関口英子(イタリア文学翻訳家)
パヴェーゼの名作小説の切なくも鮮やかなアダプテーション。
誰もが自分の「美しい夏」を持っている。
この夏、多くの観客に「あの夏」と出会って欲しい。
佐々木敦(批評家)
美しく、官能的で、そして強烈。人間の心の最も深い部分も表現していて、
最後まで視聴者の心を掴んで離さない。パヴェーゼの小説の古さを感じさせないほど、
現代を生きる僕たちの胸にも響いてくる。
マッシ(ライター・エッセイスト)
恋に落ちる二人の女性――ラウラ・ルケッティは、女性の身体を消費させず、異性愛規範によって掻き消されかねないクィアな感情を逃さない。だからこの映像美に浸ることが出来るのだ。レンズが捉えるすべての瞬間が忘れ難い。
水上文(文筆家)
憧憬のまなざしを向ける側、向けられる側。
彼女たちは異性ではなく同性こそ自分たちに必要なことを、最初から知っているみたいだ。
画面の隅々に青春のエッセンスがぎゅっと凝縮して、すべての瞬間がまばゆい。
山内マリコ(小説家)
二人の少女がお互いに寄せる想いが「美しい夏」そのもの。
ジーニアとアメーリアが自転車で走るシーンのときめきが、
彼女たちが一緒にいられる季節がずっと続きますようにと
祈るような気持ちだった。
残酷な男女の世界の現実や、戦争や、あらゆる悲しみに
この輝きがかき消されることがないように。
山崎まどか(コラムニスト)
「あのころはいつもお祭りだった」――ひるがえって今は、と問えば、失ったものの正体や在処に思いが向かい、あらためてその喪失の歳月がよみがえってくる。中編小説『美しい夏』をひらくこの一文を、ラウラ・ルケッティはどう読んだのか。その答えが、繊細にして容赦ない手捌きでわたしたち観客に手渡される。
和田忠彦(イタリア文学者/東京外国語大学名誉教授)
ストーリー
1938年、田舎からトリノに出て、お針子として洋裁店で働く16歳の少女ジーニアは、3つ年上の美しく自由なアメーリアと出会う。画家のモデルとして生計を立てる彼女によって芸術家たちが集う新たな世界への扉を開かれ、ジーニアは大人の階段を上り始める。思春期真っただ中のジーニアと、既に自立した女性としてたくましく生きるアメーリアの2人が、互いの姿に自分の未来/過去を映しながら、徐々に惹かれ合っていく――。
『美しい夏』
出演:イーレ・ヴィアネッロ、ディーヴァ・カッセル
監督・脚本:ラウラ・ルケッティ
原作:「美しい夏」チェーザレ・パヴェーゼ作 河島英昭訳(岩波書店)
2023/イタリア/イタリア語・フランス語/111分/カラー/2.39:1/5.1
原題:La Bella Estate 英題:The Beautiful Summer
字幕:増子操 字幕監修:関口英子
提供:日本イタリア映画社
後援:イタリア大使館
特別協力:イタリア文化会館
映倫区分:R15+
配給:ミモザフィルムズ
(C)2023 Kino Produzioni, 9.99 Films
https://mimosafilms.com/labellaestate/
2025年8月1日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
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