映画『タンゴの後で』(9月5日公開)より、本編映像が公開された。

1970年代最大の問題作といわれた『ラストタンゴ・イン・パリ』の撮影で一生消えないトラウマを負った女優マリア・シュナイダーの人生を描く本作。
俳優であった父親の影響で女優を目指す19歳のマリア・シュナイダーは端役で映画に出演した経験しかなかったが、若くしてイタリアの奇才と注目を集めていた映画監督ベルナルド・ベルトルッチの新作映画への出演のチャンスを得る。だが、その映画は、お互いの素性を知らないまま、激しい肉体関係に溺れていく男女の物語で、19歳の少女には大きなリスクを孕むものだった。
マリア・シュナイダーを演じるのは、10歳の時に『ヴィオレッタ』で女優デビューし、『あのこと』や『ミッキー17』等の話題作への出演が続くフランスの女優アナマリア・ヴァルトロメイ。そして、『アウトサイダー』や『ドラッグストア・カウボーイ』で青春スターとして人気を博したマット・ディロンが、大人のえん熟した色気を醸し出してマーロン・ブランド役を演じている。
今回解禁となった本編映像は、『ラストタンゴ・イン・パリ』の脚本を読んだマリア・シュナイダー(アナマリア・ヴァルトロメイ)が、ベルトルッチ監督(ジョゼッペ・マッジョ)とカフェで会うシーン。年齢を聞かれ、「19歳」と明かすマリアに「ヌードシーンが多いと気づいたはずだ。嫌かい?」と彼女を気遣うと、「状況によります。セックスのシーンはどうすれば?」と不安を見せるマリアに「実際と同じ」と返す監督。その返事に戸惑いを隠せないマリアに「冗談だよ。アーティスティックに撮る」、「本作のテーマは“激しい肉体関係”だ」とマリアを説得する。そして、「相手役はマーロン・ブランドだ。君は彼に次ぐ主役になる」と明かし、ハリウッドスターとの共演に目を輝かせるマリアに、「役者を選ぶのは僕だ」とマリアを力強く見つめ、彼女は映画への出演を決意する。
「この映画の最大の挑戦は主演女優のキャスティング」と語るジェシカ・パルー監督。「マリアというキャラクターは非常に複雑で、一人の中にいくつもの側面を持っています。彼女は少女であり、女優であり、ドラッグに溺れた人物であり、傷ついた女性でもある――まさに“複数の役を一つに内包した存在”です」と語っている。
アナマリア・ヴァルトロメイは、その監督の言葉を証明するように、映画監督と2人で話すシンプルなシーンの中で、少女が持つ恥ずかしげで純真な佇まいを見せながらも、挑戦したことのないヌードシーンへの不安を滲ませ、同時に大きな可能性に目を輝かせる表情でその時の心情を表現している。