映画『俺ではない炎上』(9月26日公開)より、新たな本編映像と場面写真が公開された。

本作は、浅倉秋成の同名小説「俺ではない炎上」を、山田篤宏監督により実写映画化。“大手企業のごく普通の営業部長”である山縣泰介が、突如SNSで個人情報をさらされ、殺人犯として追われることになる逃亡劇が描かれる。
今回解禁となった本編映像は、主人公・泰介(阿部寛)がSNSの炎上で逃亡を余儀なくされ、行き場のない怒りをぶつけるシーンと、謎の大学生・サクラ(芦田愛菜)が泰介を追う車中で見せた不穏な場面。
SNSの炎上がきっかけで逃亡犯となってしまった泰介は、人気のない釣り具店の駐車場に車を止めていた。状況の整理がつかず、癇癪を起こし、声を荒らげる泰介。なぜか助手席に置いてあったネギを持ち、思い切りハンドルに叩きつける。怒りに任せて殴るように何度も叩くと、次第にネギはボロボロになっていく。車体は激しく揺れ、「くそっ!」という声と共に徐々に息も上がっていく。
このシーンについて阿部は、「台本に書いてあって、『何だろうこのネギ?』って不思議に思ってたんですよ!でも現場に行って、『このネギに八つ当たりするのか、大の大人が滑稽だな』と理解して(笑)」と語り、ネギがすぐバラバラになるため、何度かTAKEを重ねたことを明かした。
メイキング映像では、車の外から阿部を見守っていたスタッフの笑い声が入り、阿部が真剣に役に向き合ったからこそ生まれたシーンに、制作陣も大満足の様子だ。
このシーンを見た芦田も、「ネギがグチャグチャになるぐらいの怒りや訳が分からないという感情を表現されていて、逆に見入ってしまいました」とした上で、「警察が来た後に映るネギ(単体)がちょっと笑いを誘うんだなと、それがなんかいいなと思いました。よく考えたら可笑しいよなと思って(笑)」とポイントを解説。

続いて、初羽馬が運転する車の車内のシーン。山縣泰介を追うサクラは、大学生インフルエンサーの初羽馬に協力をお願いしていた。初羽馬は「許せないね、犯人」と声をかける。サクラも強い信念を持った表情で「はい」と返事をすると、初羽馬はサクラに協力する意思を固める。
そんな中、目の前に道路を横断するおばあさんが現れ、車は急停止。その勢いで、サクラのカバンから持ち物が飛び出したのだったが、そこにはタオルに包まれた包丁が。初羽馬の視線を感じ、急いで包丁をカバンに戻すサクラは、さっきの様子とは打って変わって、「護身用です」と冷たく言い放つ。
さらに、本編映像後のスポット映像では、山縣泰介と事件を追っていたサクラが、目を潤ませながら、眉を顰めてこちらを睨みつけている。意を決して、目の前に立つ人物に向けて、「あんたが諸悪の根源だからだろうが!」と言い放つ。風がなびく静かな夜道に、サクラの怒号が鳴り響く。

芦田はこのシーンについて、「サクラが気持ちを一番ぶつけるシーンだったので、どんな風に憤りや怒りをぶつけるかはすごく考えました」と振り返る。監督からは、「自由にやって」というオーダーがあったといい、その結果、「伸び伸びと思い切り演じられた」と、語っている。阿部も「今まで怒鳴っているところを見たことがなかったので、新しい愛菜ちゃんでした。演技の迫力が見事で、すごいなと思いました」と称賛している。
ストーリー
大手ハウスメーカーに務める山縣泰介は、ある日突然、彼のものと思われるSNSアカウントから女子大生の遺体画像が拡散され、殺人犯に仕立て上げられる。家族も仕事も大切にしてきた彼にとって身に覚えのない事態に無実を訴えるも、瞬く間にネットは燃え上がり、“炎上”状態に。匿名の群衆がこぞって個人情報を特定し日本中から追いかけ回されることになる。そこに彼を追う謎の大学生・サクラ、大学生インフルエンサー・初羽馬、取引先企業の若手社員・青江、泰介の妻・芙由子といった様々な人物が絡み合い、事態は予測不能な展開に。無実を証明するため、そして真犯人を見つけるため、決死の逃亡劇が始まる―――。