『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台』予告編&監督の特別インタビュー映像解禁!新たな場面写真も到着

アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台
(C)2020 – AGAT Films & Cie – Les Productions du Ch’timi / ReallyLikeFilms – Photo (C)Carole Bethuel

『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台』(7月29日(金)全国公開)より、予告編とエマニュエル・クールコル監督の特別インタビュー映像、さらに新場面写真が解禁された。

本作は、囚人たちに演技を教えることになった俳優の奮闘を描いた実話をもとにしたヒューマンドラマ。何をやってもうまくいかない、人生崖っ淵俳優エチエンヌは、塀の中の囚人たちにサミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」を演目と決め、訳あり、癖ありの囚人たちと向き合うこととなる。

エチエンヌの情熱は次第に囚人たち、刑務所の管理者たちの心を動かすこととなり、難関だった刑務所の外での公演にこぎつける。彼らの芝居は観客やメディアから予想外の高評価を受け、再演に次ぐ再演を重ね、遂にはあの大劇場、パリ・オデオン座から最終公演のオファーが届く。果たして彼らの最終公演は観衆の歓喜の拍手の中で、感動のフィナーレを迎えることができるのだろうか。

この度解禁された予告編は、40秒バージョンと2分バージョンの2種。映画『ホテルアイリス』(永瀬正敏主演)の予告編が100万回に迫る勢い再生回数を記録したことでも話題となった映像作家の遠山慎二がディレクションを手掛けた。

映像は刑務所を訪れた売れない俳優・エチエンヌの悪戦苦闘からスタート。エチエンヌは「負け犬たちが明るい未来を望む話だ」と、 サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」を演目に選び演技レッスンを始めるが、囚人たちは茶化すばかりまともに相手にせず、刑務所の管理者からも呆れられる始末。しかしエチエンヌの情熱が徐々に周囲に伝播していき、囚人たちも毒づきながらも稽古に奮闘、ついには大劇場での公演を迎えるまでがテンポよく描かれる。

一方で、刑務所側の反発や囚人たちの葛藤なども明らかに。終盤には大舞台での公演を迎える姿が映し出される。アプローズ(喝采)が鳴り響くなか、彼らは公演を成功させることはできるのか?エモーショナルなクライマックスへの期待が高まる予告編となっている。

あわせて、昨年開催されたフランス映画祭横浜で、上映会場限定で公開されたエマニュエル・クールコル監督のインタヴュー動画も特別に解禁された。

クールコル監督は、バイプレイヤーとして俳優の実績を積む傍ら、フィリップ・リオレ監督との共同脚本作品『マドモワゼル』や『灯台守の恋』などで、繊細な心理描写を巧みに描写する筆致が高い評価を得ている。

実話を元にした本作の製作のきっかけについて、「受刑者たちがベケットを演じるということ、そして結末に驚いた」と明かしたクールコル監督。また、実際に運営されている刑務所での撮影の苦労にも言及し、刑務所スタッフ全員と打ち合わせを重ねたほか、事前にキャストと刑務所を訪問したという。

最後には「私がつくりたいのは、人間や人間性を信じる映画。私たちの時代ははすでに気が滅入るものですから。それでも人々に何か明るいものを見せたい」と改めて本作に込めた思いを語った。

そして、ともに解禁された新場面写真には、囚人たちと共に笑顔を浮かべる主人公エチエンヌや演技指導の場面などが捉えられている。

アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台
(C)2020 – AGAT Films & Cie – Les Productions du Ch’timi / ReallyLikeFilms – Photo (C)Carole Bethuel
アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台
(C)2020 – AGAT Films & Cie – Les Productions du Ch’timi / ReallyLikeFilms – Photo (C)Carole Bethuel

エマニュエル・クールコル監督インタビュー全文

アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台

○どこでこの実話を知ったのですか?
プロデューサーか聞いたんです。数年前彼からDVDを渡されました。実話のドキュメンタリーです。80年代のスウェーデンでの話です。映画にすべきだと言われました。彼は正しかったですね。それでこの物語を使った今のフランスを語ろうと思いました。

○この話のどこに惹かれたのですか?
最初は単純にいい話だと思いました。刑務所の映画を作るつもりはなく国内の刑務所のことも知りませんでした。受刑者たちがベケットを演じるというのは少しとっぴですし驚きました。その結末にもです。それで映画にしたいと思いました。

○刑務所内の撮影で特別な問題はありましたか?
執筆活動から大変でしたよ。まずどのように演劇を映画に持ち込むのか。うまくいっている例は少ないですからね。だから悩みながらベケット作品の断片を選びリハのシーンを書きアドリブの余地も残しました。ただ練習して上演をするという線的な物語にとどまらなためです。

ドラマチックな動きを見つけて面白くて感動的なものにしたかった。刑務所での撮影は大変でしたよ。刑務所で撮影するというのは撮影のためにできていませんしまだ運用されている刑務所でしたから。最大限のリアリティを求めるには入念な準備が必要で刑務所ん管理部やや職員全員との大仕事になりました。うまくいきましたよ。

○キャスティングについて教えてください
求めたのはフランスの刑務所の多様性を反映した、俳優ですそれがベースでした。次に強い個性を持つ俳優を探しました。基本的には映画の中では登場人物の過去は語られません。個々の事情は不明です。だから一目みて歩んできた人生を感じさせる人が必要でした。性格や話し方、体つき、気性からです。風景画を作るように長身の人、太い人、黒人、白人、若者に年寄り。複雑な個性を持つ人を配置していきました。

○テンポのいい映画です 何度もリハーサルを行いましたか?
撮影前の3日間ベケットのリハをしました。私が映画のために抜き出した箇所です。演技の練習をするのと私の要望をわかってもらうためです。大変だったのはプロの俳優たちと素人や新人たち受刑者たちが1つの作品で演じることです。彼らは無統制で自然体の受刑者を演じつつ、一方で演劇やリハーサルの演技もしました。

不器用で実直ながらも進歩を見せる演技です。こではプロの俳優には難しい。最初に演劇のシーンの準備をした後はリハはせず本読みをしました。自発的な要素を残しておきたかったからです。生きたものにしたかった。アドリブも入れられるようにしました。

○主演にカド・メラドを選んだのはなぜですか?
彼は大衆的なコメディ映画でよく知られた俳優です。でも彼は他のこともできる。そう知っていました。カナルプリュスで放送されたドラマ「バロン・ノワール」に彼が出演していて政治家の役を演じていました。その演技の中にエチエンヌを作る要素を感じたんです。非常に頑固で気分屋でエネルギーにあふれ気前のよい人物です。エチエンヌ役にぴったりでした。

○脚本を読んだカド・メラドの反応は?
脚本の読んですぐにOKしてくれました。役にもこの物語にもすごく興味を持ってくれました。それからは待ちました。この映画のテーマですよ。主演俳優の時間が空くのを待ちました。カドは他の仕事で忙しかったのです。撮影に入るまで1年待ちました。その間に先ほど話したドキュメンタリーを撮りました。それがいい準備になった。

○刑務所内での撮影は俳優たちに刺激を与えたと思いますか?
最初に彼らと一緒に刑務所を訪問しました。どんな場所がを見てもらい理解してもらいました。刑務所の雰囲気は非常に独特で強烈に訴えてくるものがあります。それから撮影を始めました。こういった条件の撮影現場はもちろん演技に影響します。

○刑務所を見た後で、脚本内容を変更しましたか?
実話に関しては演出家が演劇のワークショップに来るという大筋は変えていません。「ゴドーを待ちながら」を受刑者の教え成功し、地方でも公演するという大筋は守りました。私が作ったのは登場人物たちです。そこが架空を部分で受刑者たちやエチエンヌは実在の人物ではありません。実際は全員違います。スウェーデンの演出家ヤン・ヨンソンの演劇への情熱などの要素は多少残しましたが彼はもっと高齢です。娘の存在も架空のものです。私がつくったのは人気が下降気味の俳優で刑務所のプロジェクトの巻き返しを狙っている。これはフィクションです。でも最終的にはかなり実話に忠実になりました。ヨンソンも気に入ってくれました。映画を見て感動していました。

1週間前、スウェーデンでの上映で彼に再会し元受刑者にも会えたんです。実話に登場する元受刑者でエンドロールの最後の写真に写っています。彼も感動していました。これがこの映画の成功の証です。非常にフランスらしいファッションでフランスの現実に即した映画ですが同時に普遍的な要素があります。スウェーデンの演出家の心に響きましたし観客たちの心にも響くと思います。この映画は世界中で公開が決まっています。30から35カ国で購入されました。さまざまな映画祭に参加しどこでもいい評価を受けました。様々な文化の人々に気に入ってもらえました。

○参考になった映画はありますか?
刑務所の映画を観ましたが”作りたくないもの”の参考になりました。脱獄や刑務所の日常なんでテーマは映画でもテレビでもありふれています。だからすでに作られたものから距離を置くために映画を観たんです。私が目指したのはそういう映画ではなく演出するエチエンヌや演劇的な視点から離れない映画であり受刑者たちがテキストや演劇、演出家と向き合う姿のみを見せる映画です。

○現実主義的なアプローチは重要でしたか?
ええ、実話と現実に忠実を描くためです。フランスでは先ほど話したようにドキュメンタリーも撮りましたが多くの刑務所が演劇のアトリエを実施してます。もちろん外部の劇場で上演することは限りません。でもこの文化活動は行政にも認められていて非常に重要なものだと思います。この現実から離れず忠実でいたかったし”こういう活動があるんだ”と人々に知らせたかった。刑務所の職員に話を聞いたり刑務所の文化活動の携わる人々に話を聞くと皆言いますよ”このとおりです”と。

○映画において楽観性は大事ですか?
私はそう思いますよ。単純な映画でなくても高い要求を保ちつつ希望のある映画は作れます。絶望的な映画はたくさんありますが、その分野では競争しません。いろんな映画がありますが私が作りたいのは何というか人間や人間性を信じる映画です。私たちの社会、は私たちの時代はすでに気が滅入るものですから。
それでも人々に何か明るいものを見せたい。それは存在しますしそれに光を当てたい。だから登場人物のやる気を削いだりしません。

○この映画を刑務所で上映しましたか?
はい、これからも上映しますよ。撮影した刑務所で1度見せました。新型コロナウイルスのせいでストップしてましたが、でも2週間後にまた上映します。2回上映して受刑者たちに見せます。それから来週は国立映画センターで上映します。法務大臣と文化大臣に見せるんです。これからも見られますよ。

エマニュエル・クールコル監督
幼少期と思春期をアンジェで過ごした。アンジェのダヴィッド・アンジェ高校を卒業後、法律を学ぶ。アンジェ音楽院で演劇に出会い、1981年にENSATT(Ecole de la RueBlanche)に入学。舞台俳優としてのキャリアは、ジャン=ルイ・タミン、ロジェ・プランション、ディディエ・ベザース、ロベール・オッセン、マリオン・ビエリーなどの監督の下で活動。2000年以降は徐々に脚本を書くようになり、フィリップ・リオレ監督の『マドモワゼル』や『灯台守の恋』などの佳作で高い評価を受けた。2012年に初の短編映画『Geraldine je t’aime』(グレゴリー・ガデボア、ジュリー=マリー・パルマンティエ出演)で監督業に進出。2015年にロマン・デュリス、グレゴリー・ガデボア、セリーヌ・サレットが出演する初の長編映画『アルゴンヌ戦の落としもの』を監督。本作はコロナ禍の中、2021年9月1日にフランス公開、初登場第2位のボックスオフィスを記録した。2010年にはフィリップ・リオレ監督作品『君を想って海をゆく』でセザール賞オリジナル脚本賞にノミネートされ、同年ジャック・プレヴェール脚本賞を受賞している。
2020年のカンヌ映画祭に選出された本作は、アングレーム・フランコフォン映画祭でヴァロワ・デュ・パブリック賞(演技賞)を受賞。第33回ヨーロッパ映画賞で最優秀コメディ賞他、多くの賞を受賞している。

ストーリー
囚人たちの為に演技のワークショップの講師として招かれたのは、決して順風満帆とは言えない人生を歩んできた役者のエチエンヌ。彼はサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』を演目と決め、訳あり、癖ありの囚人たちと向き合うこととなる。エチエンヌの情熱は次第に囚人たち、刑務所の管理者たちの心を動かすこととなり、難関だった刑務所の外での公演にこぎつける。しかし思いも寄らぬ行動を取る囚人たちとエチエンヌの関係は、微妙な緊張関係の中に成り立っており、いつ壊れてしまうかもしれない脆さを同時に孕んでいた。それは舞台上でもそのままに表出し、観客にもその緊張感がじわじわと伝染し始める。
ところが彼らの芝居は観客やメディアから予想外の高評価を受け、再演に次ぐ再演を重ね、遂にはあの大劇場、パリ・オデオン座から最終公演のオファーが届く!
果たして彼らの最終公演は観衆の歓喜の拍手の中で、感動のフィナーレを迎えることができるのだろうか?

■ 予告編Youtube(ショートver)

予告編Youtube(ロングver)

<受賞暦>
2020年カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション
2020年ヨーロッパ映画賞ヨーロピアンコメディ作品賞受賞
2021年アートフィルムフェスティバル最優秀観客賞受賞
2021年ラボール映画と映画音楽祭金のイビス(映画音楽)賞受賞
2021年カナダ・ヴィクトリア映画祭観客賞受賞
2021年フランス映画祭横浜オフィシャルセレクション

作品タイトル:『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台』
出演:カド・メラッド([コーラス][オーケストラ・クラス])
タヴィッド・アラヤ / ラミネ・シソコ / ソフィアン・カーム / ピエール・ロッタン / ワビレ・ナビエ / アレクサンドル・メドヴェージェフ / サイド・ベンシナファ / マリナ・ハンズ(世界にひとつの金メダル) / ロラン・ストッカー(セザンヌと過ごした時間)
製作:ダニー・ブーン(ぼくの大切なともだち・俳優)他
監督・脚本:エマニュエル・クールコル(アルゴンヌ戦の落としもの)
共同脚本:ティエリー・カルポニエ(パリ特捜刑事)
撮影:イアン・マリトー(アルゴンヌ戦の落としもの)
音楽:フレッド・アブリル(サウンド・オブ・ノイズ)
主題歌:“I Wish Knew How It Would Feel to Be Free” ニーナ・シモン
日本語字幕翻訳: 横井和子
宣伝デザイン:内田美由紀(NORA DESIGN)
予告編監督:遠山慎二(RESTA FILMS)
[2022年フランス映画 | 105分 | フランス語 | シネマスコープ 2.29:1 | 5.1ch | DCP・Blu-ray]
配給:リアリーライクフィルムズ

公式サイト:https://www.reallylikefilms.com/applause
コピーライト:(c)2020 – AGAT Films & Cie – Les Productions du Ch’timi / ReallyLikeFilms – Photo (c)Carole Bethuel
(c)2020 – AGAT Films & Cie – Les Productions du Ch’timi / ReallyLikeFilms

2022年7月29日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町/新宿ピカデリー 他にて全国縦断公開

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