『パトリシア・ハイスミスに恋して』本編映像解禁!各界著名人からのコメントも到着

パトリシア・ハイスミスに恋して

アメリカの作家パトリシア・ハイスミスの知られざる素顔に迫るドキュメンタリー『パトリシア・ハイスミスに恋して』(11月3日(金・祝)公開)より、本編映像と各界著名人からのコメントが解禁された。

「太陽がいっぱい」「キャロル」「アメリカの友人」を生んだパトリシア・ハイスミスの、生誕100周年を経て発表された秘密の日記やノート、貴重な本人映像やインタビュー音声、元恋人たちや家族によるインタビュー映像を通して、彼女の謎に包まれた人生と著作に新たな光を当てる本作。

今回解禁されたのは、1950年代当時のレズビアンにとってバイブルであり、ハイスミスの自伝的要素のある名作「キャロル」(52/初版の題名は「The Price of Salt」)の誕生秘話を紐解く本編映像。ハイスミスの元恋人であり、レズビアン・パルプ・フィクションと呼ばれるジャンルを確立した小説家のマリジェーン・ミーカーが当時のレズビアン・カルチャーを解説。ハイスミス自身の貴重なアーカイブ音声を引用しながら、トッド・ヘインズによる映画化作品『キャロル』(15)の名シーンに、小説の一節を読み上げるグウェンドリン・クリスティー(「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズ)のナレーションが重ねられる。

パトリシア・ハイスミスに恋して

「キャロル」は1950年代で初めてハッピーエンドを迎えたレズビアン小説であったが、ハイスミスはクレア・モーガンという偽名で出版しなければならず、90年になって初めてハイスミス名義で再版された。2021年になってようやく発表されたハイスミスの膨大な日記やノートの引用や、元々ハイスミスのファンだったことから実現したというグウェンドリン・クリスティーによるナレーションも見どころだ。

なお今回、各界著名人から寄せられたコメントは以下の通り。

コメント一覧(順不同・敬称略)

砥がれたナイフのようなひとだと思っていた。スクリーンに映るのは、さまざまな笑顔を持つひとりの人間。強く愛を求め、たくさんの恋をしながらも、孤独でなくては書いて=生きていけない創作者の業に胸を抉られた。
王谷晶(小説家)

彼女は許されなかった人生の中で様々な人や場所と出合い、思い出を鞄に詰め込み旅を続けた。彼女が書き続けた生きたかった人生は、小説の中だけで終わることなく、この先の未来に確実に存在してほしい。
小谷実由(モデル)

愛する者に自分だけを見つめてほしい、たとえそれが相手を殺すことになろうと。女たちは彼女の胸の中で結晶化し、声にならない叫びは文章となる。誰よりも激しく女たちを愛し、涙を作品に昇華させた作家。それがパトリシア・ハイスミス。
柿沼瑛子(翻訳家/パトリシア・ハイスミス「キャロル」)

彼女は窓のない、塀に囲まれた家を建て、静寂を求めながら孤独を恐れていた。
パトリシアが書いていたのは、クライム・ノベルではなく、罪の意識そのものだった。
この映画は『キャロル』が彼女自身の作品になるまでの物語でもある。
鴻巣友季子(翻訳家・文芸評論家)

「まるで前にもどこかで会ったことがあるかのような、今にも自分が何者であるのかを明かしてくれるのではないかという予感。そしてふたりは、ああ、そうだったのねと笑い合うだろう」
──これはわたしがずっと大切にしている、パトリシア・ハイスミスの『キャロル』の一節。
この映画を観て、さらに『キャロル』という物語のことを深く愛した。
児玉美月(映画文筆家)

『アメリカの友人』のリプリーがカウボーイハットをかぶっていたのは、ヴィム・ヴェンダース監督が何よりも原作の小説を書いた作家自身に最大の敬意を表してのことだったのだと、この貴重な映画を見て気づいた。
杉田協士(映画監督)

1970年代、西ベルリンのゲイ・クラブで、客として訪れたハイスミスの視線の先に、デヴィッド・ボウイがいた事実!素敵じゃないの。
滝本誠(評論家)

旅をし、居住地を変え、恋を頼りに。彼女は、いい物語は作家の感情からしか生まれないと言ったが、その端々やディティールには、親しかった人達の人生までもが香るように組み込まれているのだろう。そうでないと、恋に落ちた方も、落とされた方も、やり切れない。矛盾だらけの世界で小説の中だけが、彼女の永遠だったのかもしれない。
玉城ティナ(女優)

求め続け、得ることの叶わなかった母の愛。
社会に承認されぬアイデンティティー。
荊のように絡み付くそれらを
作品の中で解放し、
自分自身を救い、
読者を魅了するハイスミスは
夢のように素敵。
中村優子(女優)

愛を求め、自分の居場所を求めてヨーロッパを放浪するハイスミスはリプリーそのもの。
あらゆる世界に疎外感を感じる異邦人の眼差しがあの小説群を書かせたのだと知って、
改めて打ちのめされました。
山崎まどか(コラムニスト)

パトリシア・ハイスミス、私はあなたの切実な人生を何も知らなかった。生きているあいだ、あなたに小説があって本当によかった!『キャロル』を観て心が動いた人、その全員にこれを観てほしい。また心が動くはずだから。あと『アル中女の肖像』を観たことがある人、その全員にも観てほしい。素晴らしい意味でマジかよってなるから。
ゆっきゅん(DIVA)

パトリシア・ハイスミスに恋して
(C) CourtesyFamilyArchives

ストーリー
トルーマン・カポーティに才能を認められ、『太陽がいっぱい』『キャロル』『アメリカの友人』を生んだアメリカの人気作家、パトリシア・ハイスミス。生誕100周年を経て発表された秘密の日記やノート、貴重な本人映像やインタビュー音声、タベア・ブルーメンシャインをはじめとする元恋人たちや家族によるインタビュー映像を通して明かされる、多くの女性たちから愛された作家の素顔とは―。ヒッチコックやトッド・ヘインズ、ヴィム・ヴェンダースらによる映画化作品の抜粋映像を織り交ぜながら、彼女の謎に包まれた人生と著作に新たな光を当てるドキュメンタリー。

作品タイトル:『パトリシア・ハイスミスに恋して』
出演:マリジェーン・ミーカー、モニーク・ビュフェ、タベア・ブルーメンシャイン、ジュディ・コーツ、コートニー・コーツ、ダン・コーツ
ナレーション:グウェンドリン・クリスティー
監督・脚本:エヴァ・ヴィティヤ
音楽:ノエル・アクショテ
演奏:ビル・フリゼール、メアリー・ハルヴォーソン
2022年/スイス、ドイツ/英語、ドイツ語、フランス語/88分/カラー・モノクロ/1.78:1/5.1ch
原題:Loving Highsmith
字幕:大西公子
後援:在日スイス大使館、ドイツ連邦共和国大使館
配給:ミモザフィルムズ

公式サイト:https://mimosafilms.com/highsmith/
公式X:@highsmithfilm
コピーライト:(C) 2022 Ensemble Film / Lichtblick Film

11/3(金・祝)より新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

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