『インスペクション ここで生きる』アニマル・コレクティヴの音楽がいかにして本作に起用されたのか…楽曲起用秘話公開!

インスペクション ここで生きる

A24の新作『インスペクション ここで生きる』(8月4日(金)公開)の音楽に、アニマル・コレクティヴがいかにして起用されたのか、オファーに至るまでの楽曲起用秘話が公開された。

イラク戦争が長期化する2005年・アメリカ。ゲイであることで母に捨てられ、社会からも除外され、生きるためにすがるような想いで海兵隊に志願した青年・フレンチ。しかし、彼を待ち受けていたのは、軍という閉鎖社会に吹き荒れる差別と憎悪の嵐だった。

海兵隊に在職中だった20代で初めてカメラを手にし、そこから映像記録担当としてキャリアを始めたエレガンス・ブラットン監督の長編デビューにして、彼の体験に基づく実話である本作。音楽は「21世紀の最重要バンド」と評されるアニマル・コレクティヴが担当。逆境に屈せず前を向く主人公フレンチの姿をエモーショナルに彩っている。

アニマル・コレクティヴは、1990年代半ばに友人同士で自然発生的に結成されると、アルバム毎にメンバーが違う独自の音楽性で、アンダーグラウンドシーンを中心に注目を集めた。後にイギリスのレーベルと世界契約を結ぶと、数々の年間ベストに選出される作品を数多く生み出し、更に映画では本作と同じA24制作の『WAVES/ウェイブス』にも楽曲提供をしており、8月25日(金)には限定12インチの発売も控えるなど、世界中で絶大な人気を誇る。

そんな彼らの音楽がいかにして本作に落とし込まれることとなったのか。鍵となったのは、本作のプロデューサーであり、ブラットン監督のパートナーでもあるチェスター氏のようだ。コロナ禍に、そのチェスター氏と共にニューヨークからアニマル・コレクティヴメンバーの出身地でもあるバルチモアに引っ越したという監督が制作当時を振り返る。「その頃、アニマル・コレクティヴのアルバム『Merriweather Post Pavilion』を週に2回は聴いていて、チェスターが“楽曲をお願いできないか連絡してみる?”と提案してきた。彼の言う通り、ダメ元でコンタクトしてみたら、イエスと言ってくれたのさ。何が起こるか分からないものだね」と語り、監督は当時の喜びを「アニマル・コレクティヴの5人目のメンバーになれた気分だった」と表現した。

一方でアニマル・コレクティヴのブライアン・ワイツ(ジオロジスト)は、今回のオファーを「まったく予想していなかった」と茶目っ気たっぷりに振り返っている。「僕たちの音楽はホラーやSFが向いていると思っていた。だからエレガンスから連絡があり、僕たちが経験したことのないような彼の人生について描くと知らされた時は、“君のストーリーを伝えるのに僕たちは本当に適している?”と思わず聞いてしまったよ」と、当時の想いを明かす。

オファーに対する驚きはありつつも、最終的に映画の世界観を更に魅力的にする仕上がりとなった今回の楽曲について、エイヴィー・テア「強さを保ちながらも繊細さも垣間見える曲にしたかった。社会や愛する人々に認めてもらいたい願望、それがいつか実現するという希望を抱かせるような曲に仕上がった」と自信を覗かせている。

楽曲については、主人公・フレンチが新しい“居場所”を探し求めるというコンセプトに基づいているという。監督によると、「僕はゴスペルやR&Bを聴いて育ってきた。ソウルフルでコール&レスポンス系の音楽だね。本作にはスピリチュアルな楽曲が多く用いられている。ボンゴやイスラム教の祈りやキリスト教のコーラスなども取り入れているんだ。これまで自分の居場所を見出すことが出来ていなかった主人公が、“自分自身を貫いていく”。そんな様子を表現できるサウンドを目指したんだ。楽曲の各要素は、スクリーン上の多様性にインスパイアされていて、変化をもたらす器となっている」と語っている。ブートキャンプの単調さや気が変になりそうな感覚と、フレンチが体験する変化を並べて配置することが狙いだったそうだ。

ただ美しいだけではない、感情の震えを増幅させるようなチャレンジングな劇伴に是非耳を傾けてほしい。

ストーリー
僕が僕のままで在るために、自分の意志でここに居る――。

ゲイであることで母に捨てられ、16歳から10年間ホームレス生活を送っていた青年・フレンチ(ジェレミー・ポープ)。どこにも居場所を許されず、自らの存在意義を追い求める彼は、生きるためのたったひとつの選択肢と信じて海兵隊への入隊を志願する。だが、訓練初日から教官の過酷なしごきに遭い、さらにゲイであることが周囲に知れ渡るや否や激しい差別にさらされてしまう……。理不尽な日々に幾度も心が折れそうになりながらもその都度自らを奮い立たせ、毅然と暴力と憎悪に立ち向かうフレンチ。孤立を恐れず、同時に決して他者を見限らない彼の信念は、徐々に周囲の意識を変えていく。

作品タイトル:『インスペクション ここで生きる』
出演:ジェレミー・ポープ、ガブリエル・ユニオン、ラウル・カスティーヨ、マコール・ロンバルディ、アーロン・ドミンゲス、ボキーム・ウッドバイン
監督・脚本:エレガンス・ブラットン(初長編監督作品)
2022年/アメリカ/カラー/シネマスコープ/5.1ch/95分/R15+/原題:THE INSPECTION/日本語字幕:松浦美奈
配給:ハピネットファントム・スタジオ

公式サイト:happinet-phantom.com/inspection/
公式Twitter:@inspection_jp
コピーライト:(C)2022 Oorah Productions LLC.All Rights Reserved.

8月4日(金)TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国公開

関連記事:
【レポート】『インスペクション ここで生きる』よしひろまさみち×奥浜レイラ対談!これまでにない異色のA24作品を絶賛
『インスペクション ここで生きる』公開記念!A24が手掛けた名作の特集上映が決定!『ムーンライト』など4作品
【応募終了】A24が贈る、ある新鋭監督の実話『インスペクション ここで生きる』トーク付き試写会10組20名様ご招待☆
『インスペクション ここで生きる』メイキング写真解禁!異色の経歴を持つエレガンス・ブラットン監督が込めた想いとは
A24の注目作『インスペクション ここで生きる』場面写真が解禁!俳優・歌手の“二刀流”ジェレミー・ポープに注目
A24が贈る心揺さぶる実話『インスペクション ここで生きる』8月4日(金)公開決定!予告編&ポスタービジュアル解禁

↑上に戻る