ワン・ビン監督最新作『青春』公開決定、名もなき若者たちを⾒つめた真⾻頂のドキュメンタリー

『鉄西区』『三姉妹 雲南の子』『死霊魂』などで知られる中国出身の世界的ドキュメンタリー監督ワン・ビンの最新作『青春』が4月20日から公開される。

舞台は長江デルタ地域。上海を中心に、大河・長江の下流一帯に広がり、中国の高度経済成長を支えた地域で、経済規模はここだけで日本のGDPをはるかに上回るという。しかし、映画が描くのは、⻑江デルタの大企業でも大工場でもない。織⾥という町の⼩さな⾐料品⼯場で働く10代後半から20代の若い世代の労働と⽇常だ。
世界は注⽬しないが、彼らのような若者も実は⻑江デルタの経済を⽀えている。⾃分がやるべき仕事は「世界から⾒えない⼈たちの⽣を記録すること」と語るワン・ビン監督の真⾻頂のドキュメンタリーだ。

ポスタービジュアルに使われたアメリカの映画誌フィルムメイカー・マガジンの「被写体の存在を惜しみなく肯定する行為として、彼らの経験を記録するワン・ビンの仕事は気高い」という言葉が、ワン・ビン監督の仕事がなぜ凄いのかを語っている。

同時に、ワン・ビン監督のドキュメンタリーで特筆される「映画としての興奮」にもまた圧倒される。本作の場合には、そのシークエンスごとに、アクション映画であり、恋愛映画であり、経済の映画であり、全体としては、この上なくみずみずしい青春映画であることが興味深い。

なお、東京のシアター・イメージフォーラムでは、同時期にワン・ビン監督の過去のドキュメンタリーの傑作『鉄西区』(1999-2003)、『鳳鳴―中国の記憶』(2007)、『収容病棟』(2013)、『苦い銭』(2016)、『死霊魂』(2018)の上映も予定されている。

監督プロフィール:ワン・ビン WANG BING(王兵)
1967年、中国陝⻄省⻄安⽣まれ。中古のデジタルカメラひとつで撮影をした『鉄⻄区』(1999-2003)で世界に衝撃を与える。反右派闘争を⽣き抜いた⼥性の証⾔を記録した『鳳鳴―中国の記憶』(2007)、初の⻑編劇映画『無⾔歌』(2010)、本作と同じ織⾥で働く⼤⼈の出稼ぎ労働者を撮影した『苦い銭』(2016)などを発表。近年は集⼤成となる8時間越えの⼤作『死霊魂』(2018)が世界中で絶賛された。カンヌを始めとする世界三⼤映画祭や⼭形ドキュメンタリー映画祭などで数多くの賞に輝く。

作品タイトル:『青春』
監督:ワン・ビン
原題:青春 春|英語題:YOUTH(SPRING)|2023年|フランス=ルクセンブルク=オランダ|215分|字幕:磯尚太郎
配給:ムヴィオラ

公式サイト:https://moviola.jp/seishun/
コピーライト:(C) 2023 Gladys Glover – House on Fire – CS Production – ARTE France Cinéma – Les Films Fauves – Volya Films – WANG bing

4月20日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

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