【レポート】『遠いところ』ジャン・ユンカーマン監督、白石和彌監督ほか豪華ゲスト登壇!公開記念トークイベント実施

遠いところ
工藤将亮監督、花瀬琴音

映画『遠いところ』が、先行公開された沖縄に続いて全国劇場でも公開され、ミニシアターランキングで計5週トップ5にランクイン、7月23日(日)までに観客動員約24,000人を超え、興行収入約3300万円のスマッシュヒットを続けている。

沖縄のコザを舞台に、幼い息子を抱える17歳のアオイが社会の過酷な現実に直面する姿を描き、Variety誌が“貧困にあえぐ日本の性差別を、痛烈に告発する。溝口健二的な現代悲劇。”と称賛した本作は、貧困、格差社会、非正規雇用、若年出産、家庭内暴力など、世界が抱える社会的な問題を突きつける問題作。

この度、拡大公開となるアップリンク吉祥寺で7月21日(金)から27日(木)にかけて、1週間連続トークイベントが開催された。前半4日間は、本作に出演している花瀬琴音、佐久間祥朗、石田夢実、髙橋雄祐、カトウ シンスケがそれぞれ工藤将亮監督と撮影を振り返り、後半3日間は、ジャン・ユンカーマン監督、白石和彌監督、映像制作集団・空族の富田克也、相澤虎之助が登壇した。

映画『遠いところ』アップリンク吉祥寺公開記念トークイベント

日時:7月21日(金)~7月27日(木) 各日上映後
場所:アップリンク吉祥寺 スクリーン3
登壇者(敬称略):工藤将亮監督(全日)、花瀬琴音(21日)、佐久間祥朗(22日)、石田夢実(23日)、髙橋雄祐、カトウ シンスケ(24日)、ジャン・ユンカーマン監督(25日)、白石和彌監督(26日)、空族《富田克也・相澤虎之助》(27日)

初日となる21日は、主演の花瀬琴音と工藤将亮監督が和気あいあいとした雰囲気でオーディションや撮影を振り返り、途中でマサヤ役の佐久間祥朗が飛び入り参加、予定時間を大幅にオーバーする盛り上がりに。「プライベートで観に行った舞台の後ろの席に座っていたのがプロデューサーで、明後日オーディションがあるからと誘いを受けた」と、オーディションの経緯を花瀬が話し、工藤監督は「まだ事務所にも属してなかったので、まともな履歴書もなくて、写真もピースをしたいい加減なものだった」と当時を振り返った。

遠いところ
花瀬琴音

25日には、『沖縄 うりずんの雨』(15)など、日本社会をテーマにした作品をいくつも手掛け、アカデミー賞記録映画部門にノミネート実績もあるジャン・ユンカーマン監督と工藤監督が「現実」を描く作品の難しさや、内地の人間が沖縄の問題を描く責任について熱く語り合った。

本作の英題「A Far Shore」の名付け親であるユンカーマン監督は、「沖縄の暗い部分をここまで描くのは勇気があったと思う」と工藤監督の覚悟を称え、「沖縄は内地やアメリカから遠いところでもある。でも、いずれは届くところでもあるというニュアンスを込めて提案しました。その道筋が見えてくる映画でもある思います」と英題に託した意図を明かした。

遠いところ
工藤将亮監督、ジャン・ユンカーマン監督
遠いところ
工藤将亮監督、ジャン・ユンカーマン監督

翌26日は、『凶悪』(13)、『孤狼の血』(18)などで、日本アカデミー賞をはじめとした映画賞の常連である、白石和彌監督が登壇。かつて白石監督の下で助監督として務めたこともある工藤監督は、白石監督の登壇に恐縮し感動しながらも、本作は当時の教えや経験を胸に撮影をしたと話した。

2019年の終わりごろからひたすら取材を重ねて作り上げたという本作を、白石監督は「DVや貧困といったテーマを用いるときはただの筋立ての道具に見えてしまわないように取材をするが、なかなか実感が伴わないことが多い。でもこの映画は実感の伴い方が半端じゃないというのが最初に見たときの感想。工藤監督が足を使って現地で色々な人の話を聞いてという至極当然のことをやっていかに“自分ごと”にしていくか、それはなかなかできることじゃない。素晴らしい労作だと思う」と絶賛。

作品の感想に始まり、忖度なしで日本映画について語り合う濃厚なトークに発展、終わりには観客からの質問にも真摯に対応し、映画ファン大満足のトークイベントとなった。

遠いところ
白石和彌監督、工藤将亮監督

今を生きるすべての人に見つめてほしい次世代に残してはいけない問題を描く『遠いところ』は、全国劇場にて大ヒット上映中。

ストーリー
沖縄県・コザ。17歳のアオイは、夫のマサヤと幼い息子の健吾(ケンゴ)と3人暮らし。
おばぁに健吾を預け、生活のため友達の海音(ミオ)と朝までキャバクラで働くアオイだったが、建築現場で働いていた夫のマサヤは不満を漏らし仕事を辞め、アオイの収入だけの生活は益々苦しくなっていく。マサヤは新たな仕事を探そうともせず、いつしかアオイへ暴力を振るうようになっていた。そんな中、キャバクラにガサ入れが入り、アオイは店で働けなくなる。
悪いことは重なり、マサヤが僅かな貯金を持ち出し、姿を消してしまう。仕方なく義母の由紀恵(ユキエ)の家で暮らし始め、昼間の仕事を探すアオイだったがうまくいかず、さらにマサヤが暴力事件を起こし逮捕されたと連絡が入り、多額の被害者への示談金が必要になる。
切羽詰まったアオイは、キャバクラの店長からある仕事の誘いを受ける―

作品タイトル:『遠いところ』
出演:花瀬 琴音
石田夢実、佐久間祥朗、長谷川月起/松岡依都美
監督・脚本:工藤 将亮
エグゼクティブプロデューサー:古賀 俊輔
プロデューサー:キタガワ ユウキ
アソシエイトプロデューサー:仲宗根 久乃
キャスティング:五藤 一泰
撮影:杉村 高之
照明:野村 直樹
サウンドデザイン:木原広滋、伊藤 裕規
音楽:茂野 雅道
美術:小林 蘭
共同脚本:鈴木 茉美
主題歌:“Thanks” by 唾奇
製作:Allen、ザフール
配給:ラビットハウス

公式サイト:https://afarshore.jp
公式Twitter:https://twitter.com/afarshore_jp
コピーライト:(C)2022 「遠いところ」 フィルムパートナーズ

大ヒット上映中

関連記事:
これは“映画”ではなく、“現実”―『遠いところ』息子を失ってしまう17歳の母アオイの悲痛な叫びを描く本編映像解禁
映画『遠いところ』「キャバクラでもなんでも働いてちゃんと稼ぎなさい」17歳の娘を父が突き放す…本編映像解禁
【レポート】『遠いところ』沖縄での凱旋上映に花瀬琴音、石田夢実、佐久間祥朗、工藤将亮監督が登壇!公開日も発表

↑上に戻る