【レポート】『丘の上の本屋さん』作家を夢見る子どもたちにエール!本が持つ無限の魅力を語り合う親子試写会トークイベント

丘の上の本屋さん

イタリア映画『丘の上の本屋さん』(3月3日(金)公開)の特別親子試写会が、2月28日(火)日比谷図書文化館 日比谷コンベンションホールにて開催され、上映後に、作家の鈴木るりか氏と英米文学翻訳家の三辺律子氏によるトークイベントが行われた。

親子を対象にした本イベントでは、作家として、翻訳家として、それぞれ異なる分野の文学界で活躍するお二人ならではの視点から、映画を通して描かれる、初めて触れる読書の喜びや本が持つ無限の魅力についてトークが繰り広げられた。

鈴木氏は「(古書店の店主)リベロがエシエンに語るセリフが深く考えさせられるものばかりで、どれも心に残りました。中でも「ゆっくり読んでごらん。すると中身が体にしみ込んでいく。そしてある日不意に現れるんだ。」というセリフに、これがまさに読書の効用だと思いました。」と語った。

三辺氏も「私が翻訳業をしているのは、多くの人に本を読んで欲しいから。リベロが羨ましい!こんなことをしてみたい。」と、エシエンだけでなく、本屋に集まる個性豊かな人々に本の魅力を伝えていくリベロに共感のコメントを寄せた。

また作家としての執筆活動について鈴木氏は、「小学4年生の頃に物語を書き始めたきっかけは、文学賞の副賞だった、10万円分の図書カードのためでした(笑)。」と語り、会場が笑いに包まれる一幕も。

さらに、子供たちが本に親しみを持ってもらえるためのアドバイスを求められると「本にも相性があるので、読み始めて「自分には合わないな」と思ったらそこでやめていいんですよ。その時は合わなくても、時間を置いて、数年たった後に手にとったら全然違う風に読めるようになった、ということもありますから。リベロも映画の中で「本は食べ物と同じ。食べてみなけりゃ好きか嫌いかわからない」と言っていて、それと同じように、とりあえず本を手に取って開いてみることが第一歩だと思います。その第一歩が、絵が多いとか、字が大きくて簡単に読めそう、とかでもいいと思うんです。」

丘の上の本屋さん

作家を夢見る子どもたちに対しては「作家に年齢制限はないので、いくつになっても挑戦することができます。小説を書くためには、たくさん本を読んで知識を蓄えることも大事ですが、いろんな経験を積むことも大事です。外に出ていろんなものを見て経験して吸収して、引き出しの数を増やしてください。」とエールを送った。

三辺氏は子どもたちに薦めたい本について、「現代の新しい本は、現代の子どもたちに合わせて書かれているので、古い本だけでなく新しい本も読んでいただいたら、読書をより面白く感じてもらえるんじゃないかなと思います。」と読書の楽しむためのヒントを伝えた。

イタリアの丘の上に佇む古書店を舞台に、年齢や国籍の違いを超え、“本” を通して老人と少年が交流する姿を描いた、ユニセフ・イタリア共同製作作品『丘の上の本屋さん』は、3月3日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。

丘の上の本屋さん

登壇ゲストプロフィール(敬称略)

鈴木るりか(すずき るりか)
作家。2003年、東京都生まれ。小学4年、5年、6年時に3年連続で、小学館主催の『12歳の文学賞』大賞を受賞。2017年10月、14歳の誕生日に『さよなら、田中さん』でデビュー。10万部を超えるベストセラーに。韓国や台湾でも翻訳される。2018年『14歳、明日の時間割』、2019年『太陽はひとりぼっち』、2020年『私を月に連れてって』、2022年『落花流水』を刊行、2023年秋に新刊『星に願いを』刊行予定。

三辺律子(さんべ りつこ)
英米文学翻訳家。訳書に『ジャングル・ブック』(岩波書店)、『パディントン、映画に出る』(WAVE出版)、『ルイスと不思議の時計』(静山社)、『エヴリデイ』(小峰書店)、『ダリウスは今日も生きづらい』(集英社)、『かわいい子ランキング』(ほるぷ出版)、『ルビーが詰まった脚』(東京創元社)ほか多数。共編著書に『BOOKMARK 翻訳者による海外文学ブックガイド』など。

ストーリー
イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上の小さな古書店。店主リベロは、ある日、店の外で本を眺める移民の少年エシエンに声を掛け、好奇心旺盛なエシエンを気に入ってコミックから長編大作まで次々と店の本を貸し与えていく。リベロが語る読書の素晴らしさに熱心に耳を傾けるエシエン。感想を語り合ううちに、いつしか2人は友情で結ばれていく…。

作品タイトル:『丘の上の本屋さん』
出演:レモ・ジローネ、コッラード・フォルトゥーナ、ディディー・ローレンツ・チュンブ、モーニ・オヴァディア
監督・脚本:クラウディオ・ロッシ・マッシミ
2021年/イタリア/イタリア語/84分/カラー/2.35 : 1/5.1ch
原題:II diritto alla felicità 字幕:山田香苗
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館
提供:シネマライズ、ミモザフィルムズ
配給:ミモザフィルムズ

公式サイト:http://mimosafilms.com/honya/
公式Twitter:@okanouenohonya
コピーライト:(C) 2021 ASSOCIAZIONE CULTURALE IMAGO IMAGO FILM VIDEOPRODUZIONI

2023年3月3日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

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