【レポート】『アイスクリームフィーバー』スペシャルトークイベント開催!松本まりかが9月末で閉館の京都みなみ会館を訪問

映画『アイスクリームフィーバー』の世界観を再現したコンセプトルーム企画「UNTIL THE ICE CREAM MELTS」を開催中のHOTEL SHE,KYOTOにて、千原徹也監督松本まりか登壇のスペシャルトークイベントが行われ、間もなく幕を閉じるミニシアター「京都みなみ会館」を訪問した。

松本の衣装は、映画でコラボレーションをしたブランドCandy Stripperで全身を固めたポップなスタイル。映画の世界観と本作で演じた優のキャラクターを表現した装いに会場からは「かわいい」と歓声が上がった。

さっそく本作に出演した感想を尋ねる千原監督に対して松本は、「公開した後、六本木の映画館に一人で観にいったんですけど、なんかよくて。見た後の感想が『なんか(わかんないけど)いい』だったんですよ」と本作の言葉にできない魅力について語る。

本作は千原監督の「映画制作をデザインする」というコンセプトの元、制作方法や宣伝方法など、これまでにない実験的な手法によって作られた作品。観る人に解釈を委ねる余白のあるストーリーも特徴の一つである。松本は本作の手応えについて「今、こういう作品ってあまりないじゃないですか。誰が見てもひとつの答えに行き着くような分かりやすい作品が多い中で、それとは真逆をいく映画なので、今の人たちに面白がってもらえるだろうかという不安もありました。でも、みなさんの感想を見ると、想像以上に作品のことを理解してくださっていて、これは映画づくりに関わる人間として希望でしかないと思いました。分かりやすいものばかりを見ていると、答えのないものを楽しむ感性がなくなっていってしまうんじゃないかと思っていて、私は、言葉がなくてもみなさんと感じ合えるものを大切にしたいと思うんです。『分かるでしょ』『分かるよね』みたいな。何も言わなくても伝わる関係って素敵じゃないですか。そこにこそ真実があると思っています」と語った。

続いて話題は役作りに。千原監督は、カンヌ映画祭に視察旅行に行って世界中の様々な映画に触れた際「映画ってもっと自由でいいんだ」と感銘を受けたと語る。その着想が本作の制作に活かされていて、帰国後すぐに直観で優の役を松本にオファーをしようと思ったという。普段はハードな役に抜擢されることも多い松本、はじめは、いわば普通のOLである優の役をつかみきれずにいたが、髪型が決まったことで役に入り込めるようになったという。松本は「優は、はじめはもっと普通の髪型だったんですよ。でも、なんかしっくりこなくって、撮影の前日に美容師さんと夜中まで相談して、あの特徴的なぱっつんの髪型が生まれたんです。優は大きな会社で働いている大人のOLですが、普通の役だから普通の恰好をしなきゃいけないわけじゃない。肩書や年齢に関係なく、個性をだしてもいいんじゃないかって」と語った。

ブレイクから多忙を極める松本は、最近久々に休日を取ることができて、はじめて「何気ない日常の幸せ」を感じることができたと話し、そうした心境から演じた優にシンパシーを感じるという。千原監督は優のキャラクターについて「優は、いろいろなことに蓋をしている人なのかもしれません。毎日一生懸命仕事をして、銭湯に入る時間を唯一の楽しみにしている。でもたぶん、お姉ちゃん(安達祐実)や、イズミ(後藤淳平/ジャルジャル)のことなど、色々なことが置きっぱなしにしている。そんな優を演じた松本さんが、仕事に打ち込むことで日常の大切さに気付いた。今まで目を向けられなかったことに目を向けられるようになったというのはすごくいい話ですね」と語った。

終盤、会場からの質問で共演者との関係について聞かれた松本は、本作主演の吉岡里帆と遊園地に行って来たという話を披露。「里帆ちゃんとライブを見に行って、帰りに駅まで歩いていたら遊園地があったんです。「こんなの乗りたいよね~」「え、乗りたい!いこいこ!」という流れで行くことになって。もう夜の20時半くらいだったんですけど、2人で回数券を買って、遊園地なんて本当に久々だったので最高に楽しかったです」と語った。

さらに、今回の会場となった京都の魅力について「日本全国の中で一番好きな街なんです」と京都愛を熱弁した。「京都って長い歴史や文化を守ってきた街じゃないですか。だから、私の中でずっと憧れがあるんです。京都には、長い時間をかけて脈々と受け継がれてきた文化がたくさんあると思うので、そういうほんものを知って、体験して、伝えていくということにすごく興味があります。もっと、たくさん学びたいなと思っているので、みなさん教えてください」と、千原監督、吉岡も共に京都出身ということで、京都ツアーをしようという話で盛り上がった。

最後に、9月12日に誕生日を迎える松本は「日常の一瞬一瞬を大切に、今日楽しかったなと思って生きていきたいと思います」という言葉でイベントを締めくくった。

そしてイベント後には、千原監督と松本の二人は京都みなみ会館を訪問。1964年の開館から60年にわたり、作家性のある監督作品やアート系、インデペンデント系の良質な作品を多く上映しており、映画ファンに愛されてきた老舗のミニシアターのひとつ。学生時代に90年代のミニシアターブームを経験してきた千原監督は、自身の初監督作となる本作にも、ファッションや音楽など様々なカルチャー要素を色濃く取り入れており、松本と共に9月30日で幕を閉じる劇場を訪れ、思いを馳せた。

ストーリー
甘く、柔く、儚い、あこがれにも似た“想い”――。
「好き」と気軽に口にできないほど微かで淡く、でも抗えない“衝動”――。
切なくも爽やかな余韻を残す 至極のアイスクリームのような恋物語。

美大を卒業してデザイン会社に就職するもうまくいかず、いまはアイスクリーム店「SHIBUYA MILLION ICE CREAM」のバイト長として日々を送る常田菜摘(吉岡里帆)。ある日、店にやってきた作家・橋本佐保(モトーラ世理奈)に運命的なものを感じ、佐保の存在が頭から離れなくなっていく。一方、バイト仲間で後輩の桑島貴子(詩羽)は、変わりゆく菜摘をどこか複雑な想いで見つめていて…。
アイスクリーム店のご近所さんの高嶋優(松本まりか)は、疎遠になっていた姉の高嶋愛(安達祐実)の娘・美和(南琴奈)が、何年も前に出ていった父親を捜すため、突然訪問してきて戸惑っていた。いきなり始まった共同生活。優の内心を占める不安は、それだけではなかった……。
熱(フィーバー)に似た、心を捉えて離さない衝動。それぞれの色を纏った4人の想いは交錯し、切なくも確かに疾走していく――。

作品タイトル:『アイスクリームフィーバー』
出演:吉岡里帆
モトーラ世理奈 詩羽(水曜日のカンパネラ)
安達祐実 南琴奈 後藤淳平(ジャルジャル) はっとり(マカロニえんぴつ) コムアイ
新井郁 もも(チャラン・ポ・ランタン) 藤原麻里菜 ナツ・サマー
MEGUMI 片桐はいり / 松本まりか
監督:千原徹也 
原案:川上未映子「アイスクリーム熱」(『愛の夢とか』講談社文庫) 
主題歌:吉澤嘉代子「氷菓子」 
脚本:清水匡 音楽:田中知之
製作:千原徹也 山本正典 川村岬 與田尚志 岩尾智明 長谷川康 大塚朝之 
エグゼクティブプロデューサー:千原徹也 山本正典 木滝和幸 
プロデューサー:勝俣円 塚原元彦 撮影:今城純 
スタイリスト:飯嶋久美子 ヘアメイク:奈良裕也 
照明:古久保亮介 録音:久保琢也 音響効果:田中俊 整音:久保田貫幹
美術:内藤愛 助監督・編集:奥田啓太 制作担当:長川由万
アシスタントプロデューサー:鶴田紫央里 田中朋子
宣伝プロデューサー:小口心平
協賛:両備システムズ アダストリア ウンナナクール グランマーブル 猿田彦珈琲 ボディファンタジー 春華堂 SFW 白竹堂 KISS,TOKYO 宮崎氷菓店 
制作プロダクション:れもんらいふ
制作協力:DASH doors ぶんちん
2023『アイスクリームフィーバー』製作委員会:れもんらいふ グランマーブル ねこじゃらし 東映ビデオ FM802 マグネタイズ 猿田彦珈琲
2023年|日本|104分|カラー|4:3|5.1ch|DCP
配給:パルコ 

公式サイト:icecreamfever-movie.com
公式SNS:@icecreamfever_m
コピーライト:(c)2023「アイスクリームフィーバー」製作委員会

TOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイント他にて大ヒット上映中

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