【レポート】映画『LAMB/ラム』作家・平山夢明「“羊力”に負けた!」 アダの魅力にメロメロでパワーワード炸裂

『LAMB/ラム』(9月23日(金・祝)公開)の一般試写会が9月8日(木)に渋谷のユーロライブにて実施され、上映後には作家の平山夢明によるトークショーが行われた。

9月23日(金・祝)の劇場公開を目前に一足早く本作を鑑賞した観客の前に、ゲストの平山夢明が本作のアイコンである”羊から産まれた羊ではない存在=アダちゃん”を抱いて登場。拍手で迎えられた平山は客席を見渡し「皆さん呆然としている感じですよね(笑)」と衝撃の106分を体験し終えたばかりの観客に向けて笑いかけた。「今日話すにあたり色々調べたんですけど…」と3ページにも渡るメモを手に、自身の解釈も交えて本作の魅力を余すところなく語るトークショーがスタート。

先ずは本作の感想について「良い映画でしたね。アイスランドには行ったことがないですが現地の空気感が伝わってきたのと、台詞が少ないのが良いですね!没入できるし、演技と風景がじっくり見れるので。ただ、本作を観ての最初の感想は“諸星大二郎版 北の国から”みたいな感じでした!」と冒頭から平山節が炸裂。アイスランドの広大な大自然と神話的な描写や異形の存在によって日常の価値観や世界観が揺らぐような物語が織りなす衝撃作への秀逸な喩えが飛び出した。

本作の主演でありプロデューサーとしても参加しているノオミ・ラパスについては、「これまでも『プロメテウス』や『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』などで活躍されていて、強い女性役が多かったですよね。本作で演じたマリアにも意思の強さを感じました。産まれた羊を取り上げるのも、羊の耳に鑑札を付ける作業も、夫ではなく彼女がやっていましたよね」と述べた。これらのシーンは本物の羊での撮影を行っており、「本作は牧羊を生業としている家族の生活自体がきちんと描かれていますよね」と続けた。

本作の監督、ヴァルディミール・ヨハンソン自身も祖父母が営んでいた牧羊場で幼少期を過ごしたため羊に慣れ親しんでいたこともあり、「春には畑を耕して作物を育てたり、羊の餌やりで通路に干し草を撒いたり、そういった描写が出てくると観ているほうは安心しますね」と牧羊農家のリアルな描写についてのコメントも。

また、続いて本作が長編監督デビュー作となる監督についての話題になると、「これまで彼は『トランスフォーマー』『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの特殊効果で活躍してきた人だから、羊はおろか山や川などとはかけ離れたような事をずっとやっていたので、今回は自分の故郷ということもあり、勝手知ったる地で一気に勝負をかけようという気概を感じました」と語った。

そして、本作のアイコンとも言うべきアダというキャラクターについては「アダちゃん可愛いですよね!この映画で僕は”羊力”(ひつじりょく)に負けたね!今まで犬や猫は「可愛いな」と思っていたけれど、羊もなかなかですね!」とすっかりアダの虜となったようだ。監督が羊を熟知しているので、牧羊の目線や動きが繊細に捉えられており、「羊ってこんなに表情豊かなんだ」と感じたそう。

話はまだまだ尽きず、上映後のイベントということもあり、本作の重要なシーンについてネタバレを交え自身の解釈や考察を語る平山。最後に「映画を観たお友達で疑問がある方がいたら今日お話ししたことを是非、話してあげてください!」とメッセージでイベントは締めくくられた。

ストーリー
山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァルとマリア。ある日、二人が羊の出産に立ち会うと、羊ではない何かが産まれてくる。子供を亡くしていた二人は、”アダ”と名付けその存在を育てることにする。奇跡がもたらした”アダ”との家族生活は大きな幸せをもたらすのだが、やがて彼らを破滅へと導いていく—。

作品タイトル:『LAMB/ラム』
出演:ノオミ・ラパス、ヒルミル・スナイル・グズナソン、ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン
監督:ヴァルディミール・ヨハンソン
脚本:ショーン、ヴァルディミール・ヨハンソン
製作:フレン・クリスティンスドティア、サラ・ナシム
2021年/アイスランド・スウェーデン・ポーランド/カラー/シネスコ/アイスランド語/字幕翻訳:北村広子/原題:LAMB/106分/R15+
提供:クロックワークス オディティ・ピクチャーズ
配給:クロックワークス 宣伝:スキップ

公式サイト:https://klockworx-v.com/lamb/
公式Twitter:@LAMBMOVIE_JP
公式Instagram:@lambmovie_jp #LAMB
コピーライト:(C)2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON-JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON

9月23日(金・祝)新宿ピカデリーほか全国公開

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