【レポート】『土を喰らう十二ヵ月』沢田研二と共演の松たか子、初日舞台挨拶で作品を「ながく愛して」とアピール

土を喰らう十二ヵ月

沢田研二主演『土を喰らう十二ヵ月』(公開中)の初日舞台挨拶に、沢田演じるツトムの年の離れた恋人で編集者の真知子を演じた松たか子、料理研究家の土井善晴、中江裕司監督が登壇した。ステージには、劇中に登場する「ツトムの台所」を再現した特大パネルが設置され、不在の沢田もパネルで参加する形となった。

『土を喰らう十二ヵ月』初日舞台挨拶 概要

日時:11月11日(金)13:05~13:35
登壇者(敬称略):松たか子、土井善晴(料理担当)、中江裕司監督 MC:伊藤さとり
会場:新宿ピカデリー シアター3

原案の水上勉の料理エッセイをもとに、中江監督が独自に物語を創作した本作で描かれるのは、長野の山荘で暮らす作家ツトムが、畑で自ら育てた野菜を料理し、季節の移ろいを感じながら原稿に向き合う日々。ツトム役の沢田、真知子役の松のほか、火野正平檀ふみ尾美としのり西田尚美瀧川鯉八奈良岡朋子と実力派キャストが集結、料理研究家の土井善晴が初めて映画の料理を担当したことでも話題となっている。

本編上映後の観客を前に、中江監督は「女性のお客様が沢山来られていますね。ツトムの身勝手さに呆れられたのでは…主演の沢田研二さんや、原案の水上さんへは苦情は入れないでください!すべて私の妄想です(笑)」とユーモアたっぷりに挨拶。

続けて、が「初日を迎えられてとても幸せな気持ちです」、土井が「なんで私がここにいるんですか?えらい所に連れて来られました。お料理は私が作ったのではなく大自然が作ったんですね。お料理をする人は地球という自然と人間界の間にいる人です。お料理する人がこういう場に来させてもらって大事な役割ゆうのがこの映画をみても感じてもらえると思います」と語りかけた。

脚本を書き始めたのは約4年前。四季を撮るために日本映画としては異例の1年半に及んだ撮影を経て、ついに観客の元へ届けられたことについて、中江監督は「夢のようです」と吐露。

真知子役は、原案から着想を得て物語を紡ぎ出し、中江監督が作り出したオリジナルのヒロイン。演じたは、出演のオファーに「中江監督、沢田さんとご一緒できるなんて光栄でした。さらに土井さんの美味しいお料理まで食べられる…。こんな素晴らしい仕事は近年ないぞ、と」振り返り、「撮影現場はこだわりはあるけれど、押し付けることはしない。大人の素敵な、贅沢な現場でした。美味しいものを美味しく頂くことしかしていなかったです(笑)五感がすべてが刺激されて、豊かな時間でした」と撮影の日々を振り返った。

土を喰らう十二ヵ月

劇中、沢田と共に料理をする松が「あいよ!」と相槌で応える掛け合いのシーンに話が及ぶと、中江監督は「亡くなったツトムの妻・八重子とこんな風に過ごしていたんじゃないかと思って演じていたと現場で松さんが仰っていて、まさかそこまで考えていたとは。そうかもしれないですよね」と水を向けると、は「そうでしたっけ…??でも『あいよ』の数がどんどん増えていきましたよね(笑)」と会場の笑いを誘っていた。

劇中には、ほうれん草の胡麻和え、たけのこの煮物、胡麻豆腐など、目も心も満たしてくれる旬の野菜で作る料理の数々が登場するが、初めて映画の料理監修として携わった土井は、料理だけでなく、器や所作に至るまで深く作品に携わった。

どのような指導をしたのかを問われると、「料理はその場が作るもの、浮かび上がってくるものなんです。ただそこに在るものをただ湯がくだけ、ただ焼くだけ。当たり前のことをしています。何もしないことを最善とするのが和食なので、映画の撮影でもきちんとそういうものを共有することができたんじゃないでしょうか」、「料理には流れがありますから、(手が届く)そこに匙や醤油があったり…滞りなくツトムが普通に利用しているように無理がない準備をしたつもりです」と笑顔で答えた。

土を喰らう十二ヵ月

気持ちのよい食べっぷりが印象的な、ツトムと真知子がたけのこを食すシーンについて、土井は「意識してできるものじゃないですね、生活感、反射的にでるものです」と演技か本気か分からないと絶賛。は「たけのこ、すごい熱かったんですよ」と笑いながら応える一幕も。中江監督は「土井さんは1回だけしか料理を作らないんです。沢田さんもほぼ1回。テイクはほとんど撮らないので、覚悟を決めてやりました」と衝撃の事実に会場からは驚きの声があがっていた。

土を喰らう十二ヵ月

そして、話は主演の沢田の話題へ。初めての沢田研二体験としてそれぞれの印象に残っているエピソードを尋ねた。

中江監督は「沢田さんは役を自分に引き寄せるタイプなんです。沢田さんなのか、ツトムなのか分からなくなりましたね。沢田さんを撮っていれば、おのずとツトムを撮っていることになるのでドキュメンタリーのようでもありました」さらに、ふと休憩時間に沢田の鼻歌を聞き、劇中に取り入れたというエピソードも告白。

一方、は「わたしの初めての沢田さんは、「8時だヨ!全員集合」のコントをされている姿で、こんなに格好良い人がこんな面白いことをしている…となんて人だと思いました。わたしの甥っ子(市川染五郎)も好きらしくて、この作品で共演できて自慢できます(笑)私は白馬でのツトムさんとしか会っていないので、わたしの妄想だったのかな…?沢田さんは面白いことをさりげなく見せられる、そんなテクニックのお芝居を近くでみさせて頂きました」。

そして土井は「撮影中はずっとツトムでしたね。ツトムしか会ってないなぁと。でも私が撮影現場を後にするときに追いかけて車のドアをたたいてる人がいて、『ありがとうございました』と深々と頭を下げて下さいました。その時、初めて沢田研二に会ったんだと思います」と各々に述懐した。

最後にが、「とてもユニークな映画だと思います。(劇中のように)山で生活をしている方は普段の暮らし、そうでない方々も当たり前のことは何かと観終わった後にジワジワくる、そんな映画だと思います。この作品をながく愛していただけると嬉しいです」と万感の思いを込めて舞台挨拶を締めくくった。

土を喰らう十二ヵ月

ストーリー
長野の山荘で暮らす作家のツトム。山の実やきのこを採り、畑で育てた野菜を自ら料理し、季節の移ろいを感じながら原稿に向き合う日々を送っている。時折、編集者で恋人の真知子が、東京から訪ねてくる。食いしん坊の真知子と旬のものを料理して一緒に食べるのは、楽しく格別な時間。悠々自適に暮らすツトムだが、13年前に亡くした妻の遺骨を墓に納められずにいる…。

作品タイトル:『土を喰らう十二ヵ月』
出演:沢田研二 松たか子 西田尚美 尾美としのり 瀧川鯉八 / 檀ふみ 火野正平 奈良岡朋子
監督・脚本:中江裕司
原案:水上勉『土を喰う日々 ―わが精進十二ヵ月―』(新潮文庫刊) 『土を喰ふ日々 わが精進十二ヶ月』(文化出版局刊)
料理:土井善晴
音楽:大友良英
製作:『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会
制作:オフィス・シロウズ
配給:日活

公式サイト:tsuchiwokurau12.jp
公式Twitter:@tsuchiwokurau12
公式Instagram:@tsuchiwokurau12
公式Facebook:@tsuchiwokurau12
コピーライト:(c)2022『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会

新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座他にて全国公開中

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