8月10日に映画『国宝』特大ヒット記念舞台挨拶in大阪がTOHOシネマズ梅田にて実施され、主演の吉沢亮、李相日監督が登壇した。

当日は本作を観終えた約700名の観客からの大きな歓声と拍手に包まれて、吉沢と李監督が登壇。まずは主演の吉沢よりご来場の皆様へ「本作は関西での撮影も多かったので、ここ大阪で舞台挨拶ができ非常に嬉しく思っております」と挨拶をすると会場からは温かい拍手が送られた。
続いて李監督も「ほんまおおきに!!」と関西弁で挨拶をし、「関西を中心に撮影をしていたので、エキストラとして関西圏の方がたくさん参加されていたと思います。改めて、本当にご協力ありがとうございました」と礼を述べた。また、「ようやく大阪に来て、この感謝が述べられる機会をいただけてよかったです」「劇中では大阪弁で会話していますが、大阪の方にはどのように観ていただけたのかという緊張感もありながら、この場に立っております」とロケ地となった関西での公開後初の舞台挨拶ということに緊張感を持ちながら、思い出を交えて挨拶をした。

その後、観客からの質問に二人が答えるティーチインを開催。
大阪での撮影場所について聞かれると、李監督から「重要なポイントであるシーンについて、楽屋の廊下は別の場所ですが、奈落から上がるまでが大阪の国立文楽劇場です」と話し「なかなか奈落で撮影をできる場所がありませんでしたが、文楽劇場をお借りできました」「よく見ると喜久雄が歩く後ろに『道成寺』の釣鐘があります」と明かし、「文楽劇場のおかげで過去を遡って暗い道を歩いていく画を撮影することができました」と話した。

続いて、「実際に踊った中で好きな演目は?」と聞かれると吉沢は「『鷺娘』です」と答え、その理由として「精神的にも内面的にも一番体力も集中力も必要で一生懸命お稽古をしました。撮影では綺麗に踊るというよりは喜久雄の人生で積み重ねられたものを一気に解き放つ、一番最後の瞬間として踊ることができ、気持ちがよかったです」と役と向き合いながら稽古を重ねてきたことを伝えた。
李監督からは「傍から見ていてもそれが伝わり、喜久雄が見ている風景を疑似体験している瞬間でした」と答えた。

「歌舞伎役者と俳優はどちらのほうが大変か」という質問に吉沢は「歌舞伎役者さんです」と即答。「僕たち役者は普段はその職業の人間を演じるわけですが、そこには正解もないしそれぞれの見方によって、全然変わってきます。しかし、歌舞伎役者さんは、何百年と続いている芸には正解があるのだろうと思います。何度も演じられてきた演目を自分が演じるというその覚悟は、相当なものだろうと演じていて感じました」と語った。

最後の質問では観客からこの驚異的な大ヒットをどのように実感しているかと聞かれた李監督は「今までにないぐらいたくさんの方からお祝いのご連絡をいただきます」と明かした。
またこのヒットについて原作者の吉田修一も喜んでいると伝え、「『悪人』(2010年公開)のころ、吉田さんも僕も消費税に例えて“我々の感性は消費税だよね”話していました。8%の人に届けるぐらい掘り下げるものを撮りたいと思っていました。それはチャレンジでもあり、大作を作るうえで矛盾だなと思いながら、ただ一生懸命でした。それは、その後の『怒り』(2016年公開)や今回の『国宝』もその8%から50%を目指したかというと、そんなことはありません。同じ姿勢で、もちろん歌舞伎の内容的には、もう少しエンターテイメント的な要素は取り入れるという別の意識はありました。ただ、根底にあるものは、やはり、本当に伝えたい人にきちんと深く伝わる映画を作ろうという想いでやってきました。だから、この特大ヒットに僕が一番驚いています。凄いや美しいなどの感想を伝えてもらうことが多いですが、そう思ってくださる観客の皆さんの感性がすごいし、心が美しいなと思います。ありがとうございました」と改めて感謝の気持ちを伝えた。

最後の挨拶では、吉沢は「公開から2カ月以上経った今も、これだけたくさんの方に足を運んでいただいて、本当に多くの方に愛していただいている状況が続いていることを、非常にありがたく思っています。人の心に深く届く作品になればいいなということは、僕自身もずっと思っていたことなので、これだけたくさん人に届いていることに驚いていますし、とても嬉しいです。これからも、もっとこの作品が多くの方に愛していただけるように、共に盛り上げていただけたら幸いです。今日は本当にありがとうございました」と挨拶し、温かい雰囲気のなか舞台挨拶は終了した。
『国宝』
出演:吉沢亮 横浜流星/高畑充希 寺島しのぶ 森七菜 三浦貴大 見上愛 黒川想矢 越山敬達 永瀬正敏 嶋田久作 宮澤エマ 中村鴈治郎/田中泯 渡辺謙
原作:「国宝」吉田修一著(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
脚本:奥寺佐渡子
監督:李相日
製作幹事:アニプレックス/MYRIAGON STUDIO
制作プロダクション:クレデウス
配給:東宝
(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025 映画「国宝」製作委員会
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