ティルダ・スウィントンが主演を務めるミュージカル映画『The End』が、『THE END(ジ・エンド)』の邦題で12月12日より公開されることが決定。メインビジュアルが解禁された。

本作は、1960年代のインドネシアで行われた大量虐殺を加害者視点で描いた『アクト・オブ・キリング』(2014)で第86回アカデミー賞(R)長編ドキュメンタリー部門にノミネートされ、さらに同事件を被害者視点で描いた『ルック・オブ・サイレンス』(2015)で世界的に注目を集めたジョシュア・オッペンハイマー監督が、黙示録的なテーマをミュージカルとして作り上げた作品。
舞台は、環境破壊によって居住不可能となってから25年後の地球。ある日、豪華な地下シェルターで暮らす富裕層の家族のもとに、外の世界からひとりの若い女性が現れる。そのことをきっかけに、孤立しながらもルーティーンを守ってきた家族の脆い日常が静かに崩れはじめ、やがて、自らの過去と存在の真実と対峙することになる。
母親役を演じるのは、プロデューサーも務める主演のスウィントン。息子役にジョージ・マッケイ、そして父親役をマイケル・シャノンが演じるなど、実力派キャストが集結、それぞれが劇中で美しい歌声を披露する。
そして、今回解禁されたメインビジュアルには、母親が優雅に鎮座する周囲に、父親、息子、執事、医者―ともに暮らす“家族“の姿が捉えられており、地下シェルターらしからぬ豪奢でチグハグな衣装や調度品、交わらないそれぞれの視点の先が、彼らが暮らすいびつな世界を更に浮き立たせている。
初めての長編フィクション作品を、終末後の世界を舞台にしたミュージカルという奇想天外な舞台に設定したオッペンハイマー監督。元々は『アクト・オブ・キリング』『ルック・オブ・サイレンス』に続いて「虐殺を通じて権力を握り、富を築いた寡頭支配者たちについてインドネシアで三作目の映画」を撮りたいと思っていたという。
しかし、「『アクト・オブ・キリング』が公開された後、私は安全にインドネシアに戻ることはできませんでした。なので、同様の手法で富を蓄える他の地域の寡頭支配者たちについて調査を始めたのです」と語り、「私は中央アジアで、石油権益を得るために暴力を行使した石油王を見つけました。彼は家族のために防空壕を購入していたのです」と、奇妙な出会いを告白。石油王が家族と共に案内してくれたその場所で「どうやって脱出するのか?」「逃れるべき罪悪感や大惨事とどう向き合うのか?」「愛する者を置き去りにした後悔とどう向き合うのか?」「この場所で新たな世代を育てながら、自らの過去を白塗りするにはどうすればよいか?」「この場所で育てる新たな世代に、自らの歴史を書き換える手段として、どうやって自らの物語を語ればよいか?」など、さまざまな質問が頭をよぎったが、彼ら自身をよく知らないことに加え、防空壕という発想そのものが、現実逃避の象徴であり「彼自身答えられないだろう」と悟ったことを明かしている。
当初監督は、彼らが移り住んでから25年後を舞台にドキュメンタリーを撮ることを考えたが断念。帰路に観たジャック・ドゥミのミュージカル映画『シェルブールの雨傘』をきっかけに、25年後の地下シェルターで暮らすアメリカ人家族をミュージカル仕立てで描くことを考え、「アメリカ的本質を象徴する〈絶望的否認と希望〉を抱えた家族像を描こう」と決意したことを語っている。
『THE END(ジ・エンド)』
出演:ティルダ・スウィントン ジョージ・マッケイ モーゼス・イングラム ブロナー・ギャラガー ティム・マッキナリー レニー・ジェームズ マイケル・シャノン
監督:ジョシュア・オッペンハイマー
脚本:ジョシュア・オッペンハイマー ラスムス・ハイスターバーグ
原題:The End/2024年/デンマーク・ドイツ・アイルランド・イタリア・イギリス・スウェーデン・アメリカ合作/148分/シネマスコープ/カラー/デジタル/字幕翻訳:松浦美奈
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
(C)Felix Dickinson courtesy NEON (C)courtesy NEON
https://cinema.starcat.co.jp/theend/
2025年12月12日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開