広瀬アリス、木戸大聖、根岸季衣、矢崎仁司監督が登壇 映画『沖晴くんの涙を殺して』初日舞台挨拶

映画『沖晴くんの涙を殺して』の初日舞台挨拶が10月2日に東京・TOHOシネマズ 日比谷で行われ、広瀬アリス、木戸大聖、根岸季衣、矢崎仁司監督が登壇した。

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左から矢崎仁司監督、広瀬アリス、木戸大聖、根岸季衣

2015年に松本清張賞と小学館文庫小説賞をW受賞してデビューし、吹奏楽小説「風に恋う」やテレビドラマ原作の「転職の魔王様」シリーズが話題となった額賀澪が手がける長編小説「沖晴くんの涙を殺して」(双葉文庫)を実写映画化した本作。

末期の乳がんを患い余命1年を宣告され、治療しないことを選択し故郷に戻ってきた音楽教師の踊場京香(広瀬)は、母校の合唱部の指導をすることになり、そこでいつも笑顔を絶やさないのにクラスメイトから“死神”と呼ばれている不思議な高校生・志津川沖晴(木戸)と出会う。笑いながら津波で家族を亡くしたと話す沖晴に京香はなぜ笑うのか聞くと、津波に流されたときに死神と取引して喜び以外の感情「嫌悪・怒り・哀しみ・恐れ」を失うことで助かった、それゆえに何も感じないのだと答える。ところが、ある事件をきっかけに失われた感情の1つがうっすらと顔を出し始め、余命わずかな京香と、感情を失った沖晴の、感情を取り戻す不思議な日常が始まる。

髪をバッサリとカットした姿で登場して観客を驚かせた広瀬は「やっと初日を迎えることができました。本当に嬉しいです。めちゃめちゃ緊張しています」と吐露し、「(ロケ地となった)広島でも舞台挨拶をやらせていただいたんですけど、やっぱり初日というものは緊張しますね。とても手が震えているんですけれども、いろんなお話ができたらと思っております」と挨拶。木戸は「すごく大変な中、広島で撮影をしたので、こうやって全国上映という意味で初日を迎えられたこと、まずはすごくホッとしています」とにっこり。

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京香の祖母・踊場星子役を演じた根岸は「(撮影は)1年前だからね。丸1年経って、こうやってまたみんなで集まって話していると、戦友っていうか(笑)、すごく懐かしさもありますね」と喜び、矢崎監督は「今日は本当に来ていただき、ありがとうございます。本当に嬉しいなと思っています。みんな抱きしめたいです。本当にありがとうございます」と感謝した。

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改めて、広島での舞台挨拶について聞かれると、広瀬は「すごかったですよね。トークイベントとかも、めちゃめちゃ人が集まってくださって、パレードも私1人で参加させていただいたんですけど、予想以上の人が来てくださったので純粋に楽しかったです」と声を弾ませた。

美味しいものは食べられたか、という質問には「美味しいものをいただきました。撮影中は、余命1年の役ということで、減量ですね。食事制限をしていてモヤシとかブロッコリーとかばかりだったので(笑)、この前やっと広島の美味しいものをいただきましたね。有名なおむすびのお弁当だったりをいただきました」と笑顔で語った。

木戸は「自分たちの想像以上の人が集まってくださっていて、僕はパレードには参加していないんですけど、明らかに人だかりがすごくて、ありがたいなと思いました。撮影時から広島の方々がすごくあったかいなっていうのは感じていたんですけど、劇場でいろいろお話しさせてもらっているときもそれを感じたので、改めて広島で撮影をしてよかったなと思いました」としみじみと語り、SNSなどで感想も届いているそうで「皆さんの声で安心する部分もありました」と嬉しそうに話した。

そして、矢崎監督は「広島の撮影はすごく暑い夏だったんですけど、広島の呉、江田島の人たち皆さんがすごくあったかくて、映画作りにどんどん参加してくださっていたので、スタッフのような感じがしたり、広島に帰ってきたなっていう感じが最初にすごく強かったですね。先行上映と形でこう見せられることも、すごく嬉しかったです」と語った。

また、矢崎監督の演出で印象に残っていることを聞かれると、広瀬は「私だけではないんですけど、悲しい顔はすぐNGですからね。今回の作品は全体的に悲しい顔をちょっとでもしたらすぐNGなので、そこが本当に難しかったですね。作品的にも死というものに近い役で、死が近いシーンもとても多いので、どうしても悲しい顔になるんですけど、悲しい顔をするとNGになるので、本当に探り探りで監督と話し合いながら撮影をしていましたね」と回顧。

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そんな広瀬の様子を一番近くで見ていたという木戸は「京香に余命が近づいているというところがある中で、沖晴との関係性はどんどん深まっていって、それが広瀬さん演じる京香だからこそ、どんどん死に近づいていっているのに、生きる目標だったり目的みたいなことを見つけて掴んでいっている感じ、前を向いていっている感じが、沖晴を演じた自分としてはすごく刺激になるものもありました。客観的に見るとそれがすごく切なかったりする部分があったので、まさしくこの映画の大きなテーマとなっている“生と死”っていう部分を、広瀬さんが京香を演じたからこそ大きく描かれているなっていうのは、現場で感じていました」と絶賛。

そんな中、矢崎監督が撮影現場で泣いていたことが明かされると、広瀬は「誰よりも感情むき出しで(笑)。お話を聞いたとき、ずるいなって思いました(笑)」と笑い、矢崎監督は「本当に泣けるんですよ(笑)。微笑むだけで泣けるんです。すいません」と苦笑。これに根岸は「悲しみが前に出ているんじゃなくて、その裏側にしまい込んでいる部分を監督が察知しちゃうっていうことがあるんでしょうけどね」とフォローした。

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同じく、矢崎監督の演出について木戸は「演出的な部分は、監督は自分のやり方を信頼してくださって、僕が『もっと演出してもらって大丈夫ですよ』って言うくらいフリーにやらせてもらったんです。ただ、こちらからお願いしていたこととして、感情が喜びしかなかったり、悲しみなどを取り戻せてないところでのお芝居っていうのは、そう見えてはいけないので、『本当に見えた瞬間にカットをかけてください』っていうことはお願いをしてたので、一番のお客さんじゃないですけど、沖晴を客観的に見てもらうポジションとして監督にお願いしていました」と打ち明け、矢崎監督が「僕は特等席で見ているだけです」とコメントすると、広瀬は「特権乱用したお客さんだ(笑)」とにっこり。

矢崎監督が「僕だけだと不安だから、助監督に『木戸さんがもしこんな顔をしたら教えてよ』って頼んで、僕は泣いてました(笑)」と打ち明けると、木戸は「カットが遅いときがありましたもんね」と言い、矢崎監督は「カットなんかかけたくない(笑)。かけるのを忘れるくらい2人の芝居に見惚れていました」と語った。

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そんな木戸について、根岸は「沖晴くんの爽やかすぎる笑顔に慣れるまで、ちょっと時間かかったな(笑)。何、この底抜けな明るさはというか、爽やかすぎて」とその笑顔に揺さぶられていたという新事実が判明。広瀬は「感情が出てくるとか感情的なシーンは、大体ワンカットで一気に撮るので、私はカメラマンさんとどうやってぶつからないかっていうことだけに集中していました。打ち合わせなしで一気に撮るので、よくカメラマンさんとぶつかっていたんですけど、そんなバタバタしていてもずっと集中されているので、本当にすごいなって思いました。本当に尊敬する俳優さんです」と舌を巻いたという。

木戸が「嬉しいですね」と喜ぶと、広瀬は「今年30歳だもんね。ようこそ、ようこそ」とイジリ、木戸は「言わなくていいです(笑)。でも嬉しいです、本当に。30目前にしてね、この作品が無事に公開されて嬉しいです(笑)。撮影時は28ですけど、(高校生役の)沖晴という役をオファーしていただけることもないと思うので嬉しいです」と笑顔で語った。

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そして、タイトルに「涙」が入っていることにちなみ、最近の涙エピソードを聞かれると、矢崎監督は「撮影中もよく泣きましたし、編集をしているときも泣きましたけど、この映画の音楽を担当してくれた田中拓人さんという音楽家が、この夏に亡くなられてしまい、もう一緒に映画が作れないと思ったら、僕は10日くらい泣き続けていましたね。日本映画には欠かせない音楽家だったので、本当にショックでもう涙は枯れています」と悲しみつつ、「(本作は)彼の最後の仕事でした。音楽にも耳を傾けてください」と語った。

根岸は「本当は嬉し涙の話をしたいけど、最近、私も訃報が多くて、一番つらいのは自分より年下の人が亡くなると、そのお母さんとかがまさに私の役と同じですけど、先に逝かれることの切なさっていうのはね、親御さんなんかと会ったりすると厳しいですよね。声のかけようがなくなっちゃうっていうか。ちょうど自分のこの映画の立場と同じだなと思って…」と答えた。

同じ質問に、木戸は「感動の涙なんですけど、最近たまたまSNSを見ていたら、結婚式とかに役者さんが、実際にあった新郎新婦の方々の子どもの頃から今になるまでをお芝居で見せるっていうのがあるんですよね。その中のあるご夫婦のこれまでのストーリーをお芝居でやっているのを見たときに、親御さんがそれで涙を流されてることとか、そういうのを見るとすごく感動するし、改めてその役者さんのお芝居とかも見て、お芝居の力というものがあるんだなというのをすごく実感した動画で、それを見て泣いている自分がいました」と淡々と語り、広瀬は「かっこいい…、『泣いている自分がいました』。かっけー!やっぱ30歳になるとかっこいいっすね!」と再びイジって会場の笑いを誘った。

広瀬は「知っている方は知っているんですけど、私、めちゃめちゃ雨女なんですね。この前まで作品を撮っていたんですけど、私のシーンだけ毎回飛ぶんですよ、雨で。ずーっと飛ぶんです。結局、雨の中で撮ったんですね。しかも泣きのシーンでした(笑)」と明かし、「情けなくて泣きました(笑)。天気がよくても曇天みたいな(笑)。ちょっと運がよくないんですよね」と嘆き、本作の撮影では天気に恵まれたそうで、広瀬は「私に打ち勝つ晴れ男、晴れ女がいっぱいいたんだと思います」と振り返った。

最後に、木戸は「この作品は“生と死”がテーマになっていますが、2人が出会うことで、遠い未来よりも明日、明後日をどう生きるかを考え、前を向けるような作品になっていて、悲しい作品にはなっていませんので、ぜひ大切な方と一緒に劇場で観ていただけたら嬉しいです」とコメント。

広瀬は「この作品に出会ったときに“喜び以外の感情がないって最高じゃない?”って思ったんですけど、ネガティブな感情があるからこそ、ポジティブな感情でより幸せを感じられるんだと、撮影を通して思いましたし、(完成作を)見て強く思ったので、そういうものを感じていただけたらなと思っています。この作品はまっすぐ生きていくために大切な言葉がたくさん散りばめられています。ぜひこの世界観に浸っていただければと思います」と呼びかけた。

『沖晴くんの涙を殺して』
出演:広瀬アリス、木戸大聖、満島真之介、北乃きい、戸田菜穂、根岸季衣
監督:矢崎仁司
原作:額賀澪「沖晴くんの涙を殺して」(双葉文庫)
主題歌:TOMORROW X TOGETHER「Silence」(ⓟ 2026 BIGHIT MUSIC)
劇中曲:詩・谷川俊太郎 作曲:尾崎世界観(クリープハイプ)「生きる」
脚本:朝西真砂
音楽:田中拓人
製作:「沖晴くんの涙を殺して」製作委員会
2026年/日本/カラー/ビスタ/DCP/5.1ch/123分/映倫:G
配給:彩プロ
©2026 額賀澪/双葉社「沖晴くんの涙を殺して」製作委員会
https://okiharu-movie.jp/

9月18日(金)より広島先行公開
10月2日(金)より全国公開

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