映画『本当にあった話(の話)』公開記念舞台挨拶 水上恒司「笑っていいんです。コメディだと思っている」

映画『本当にあった話(の話)』の公開記念舞台挨拶が10月3日に東京・TOHOシネマズ 日比谷にて開催され、水上恒司、黒木華、小池栄子、大東駿介、武井佑吏監督が登壇した。

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(左から)武井佑吏監督、小池栄子、水上恒司、黒木華、大東駿介

物語は、世間を震撼させた〈配偶者入れ替え連続殺人事件〉から数十年経った「今」から始まる。事件を元にした禁断の舞台が作られることになり、演技経験のない夛田(ただ)が主演を射止める。だが役柄に自分の経験を重ね、深くのめり込んでいった夛田は、やがて虚構と現実の境界を見失い、ついに演じる人物と一体化してしまう。彼の凄まじい執着、執念は、やがて相手役となった米良、舞台の脚本家・垣内、舞台演出家の加藤らを次々と掌握し、戦慄と興奮のクライマックスへと突入していく。水上が主人公の夛田役、黒木が女優の米良役、小池が脚本家・垣内役を演じた。

これまで、完成披露上映会などで舞台挨拶に登壇してきた水上、黒木、小池に加え、この日は、初めて大東も出席。大東は、劇中に登場する劇団の看板俳優の役を演じてはいるものの、出演は1シーンのみ。大東は「皆さん『大東、どこで出とったんや?』と思っていると思いますが(笑)、1シーンだけ出ていました!1シーンだけに出て、僕はいま、ここに立っています(笑)」と語り、客席の笑いを誘った。

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初めての商業映画がついに公開を迎えた武井監督は「僕は昨日から、ずっとうっすら気持ち悪くてですね…(苦笑)。公開の重圧に潰されそうになっています。今日は舞台挨拶があるから、こんなにたくさんの人がいるっていうのは、もちろん、わかっているんですけれども、この広い映画館に皆さんがびっしりといらして、とても励まされます。ありがとうございます」と感激した面持ちで満員の客席を見ていた。

前日の10月2日に公開を迎え、夛田という不思議で不気味な役柄を演じての感想を問われた水上は、「楽しかったです。皆さん、観ていただいてホヤホヤですので、おわかりかと思いますが、あの“ラスト”があるからこそ、そこに至るまでの夛田をつくり上げることができたので、非常に楽しかったです」と満面の笑みを浮かべる。ポスターなどのイメージから、「怖い映画」と思っている人々もいるようだが、水上は「笑っていいんです。僕はコメディだと思っているので!」と呼びかけた。

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女優の米良役を演じた黒木は、夛田に振り回され、佐々木蔵之介が演じる演出家からのハラスメントに苦しめられるシーンも。黒木は「(演じていて)楽しかったですね。なかなか、あんなに気持ちの悪い蔵之介さんをこんな近い距離で見ることってないので(笑)」と語り「夛田という、なんかよくわからない男に“負けないぞ!”という気持ちで臨めたので楽しかったです」と振り返った。

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脚本家の垣内を演じた小池は自身の役柄について「一番、普通の感覚、皆様(=観客)に近い感覚なんだろうなと思って演じていたんですけど、とにかくこの2人(水上&黒木)の圧がすごくて…。お芝居していて、(劇中の人間関係の)パワーバランスがこうも変わっていくのか!?というのがつらかったです(苦笑)。だって、脚本家と演出家で作品をつくり上げていくものなのに、彼らに委ねたら、気づいたら自分の手元を離れて、好きにやられていて『無力だなぁ…』と思いながら、最後のシーンを迎えてちょっと泣きそうになりました」と心情を明かした。

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大東は、「ワンシーン、ワンシーンがどう展開していくのかわからない!作品の中で『この人は、こういう人だよ』と説明するようなセリフはひとつもなく、その人たちが、誰かの影響を受けて、自分の正しさを持ってうごめいている」と語り、本作への最高の褒め言葉として「気持ち悪かったですねぇ…(笑)」としみじみと感想を漏らした。

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さらに、大東は客観的な視点で、夛田、米良、垣内らメインの登場人物たちの中で「誰が一番まともなのか?」という質問に対し「この映画を観た教訓として、『この人がまともだ』とか思っちゃいけない(笑)。『この人が一番まともなんだな』って思うことが一番危険なことだと思いました。自分も含めて、正しさとか信念もあるんですけど、時代とか年齢とともに曲げずにいってしまうと、それが狂気に変わってしまう。いろんな人と出会って、自分も変化していくこと――『変わっていくこと』と『変わらずにいること』というのは大事なんだなということを狂気とともに感じましたね」と語り、会場は拍手に包まれた。

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舞台挨拶の最後に、大東は「昨今、サブスクで、家で映画を観られるありがたい時代ではありますけど、劇場で映画を観る意味っていうのを僕もすごく考えるんですね。この映画を観た時に、劇場という逃げ場のない、始まったら出られない空間で浴びるのに相応しい映画じゃないかと思いました。皆さん、ぜひ何度も体感していただいて、口コミでこの熱量で届けていただければと思います」と呼びかけた。

小池は「楽しい、つまんない、わかんないとか、いろんな意見があると思うんですけど、確実に『この作品と出会えてよかったな』と思える作品だと私は思います。これを通過するか通過しないかが、役に立つかどうかは別にして、この映画を“体験”したということが、私は宝物を見つけたような気持ちになったし、そんな作品に出させてもらったのは本当に嬉しかったです。皆さんが“発見”した武井監督が次回、どんなものを撮るのか?とても楽しみな監督です」と監督の期待を口にした。

黒木は「答えが書いてある映画ではないので、そのわからなさの気持ち悪さだったり、爽快さだったりを体験できる映画になっていると思います。ぜひ、自分なりのポイントを見つけて楽しんでいただけたらなと思います」と語りかけた。

そして、水上は「こういった作品もあっていいんじゃないか?というふうに思いますし、こういった映画がつくりたいと思う人、演じたいと思う役者、面白いと思う人が、この世からいなくならないでほしいなと本当に心から思えた作品でした」と改めて本作への強い思いを熱く語った。

武井監督は「『面白い』とたくさん言っていただいたんですけど、必ずしもそんなことはなく(苦笑)、僕がネットで見ている評判だと(5段階評価の)3ぐらいだと思うんですよね…」と自虐発言で会場をわかせつつ「でも、本当に面白いと思ってくださった方はSNSなどお言葉を頂けるととてもありがたいです。僕、本当に『いいね!』つけるのはメチャ早いんで(笑)、よろしくお願いします」と語り、笑いと温かい拍手の中、舞台挨拶は幕を閉じた。

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『本当にあった話(の話)』
出演:水上恒司、黒木華、山下美月、大東駿介、山本浩司、小池栄子、佐々木蔵之介
監督・脚本・編集:武井佑吏
音楽:Maika Loubté
原作:鴻池留衣「本当にあった話(の話)」(文藝春秋)
配給:東京テアトル/murmur
©鴻池留衣/文藝春秋/2026「本当にあった話(の話)」製作委員会
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