日本のコンビニをゾンビが襲う英日合作映画『KONBINI ZOMBIES(原題)』が東京ロケハンを経て本格始動、キャスティングも進行中だ。

本作はA24製作・配給の話題作『終わりの鳥(Tuesday)』のプロデューサーが手がける国際共同製作作品。『ショーン・オブ・ザ・デッド』のような軽妙なテンポとユーモアに、日本的なキャラクター造形と社会感覚を掛け合わせた、新感覚のゾンビ・エンターテイメントだ。
舞台は東京の24時間営業コンビニ「ハッピーマート」。浪人生のマユミは、毒舌な帰国子女アマンダ、K-POPアイドルを目指すイケメン店員ジンウー、ホストとコンビニを掛け持ちするヴィーガン男子ケン、そして熱血な店長らと共に、突如発生したゾンビ襲来に巻き込まれ、コンビニに立てこもることに。コンビニという“日常の象徴”を舞台に、笑いと恐怖、カラフルなキャラクターたちとポップなビジュアル、そして誰もが抱える不安と自己肯定感の欠如を、ネオンに包まれた日本らしい風景の中で描き出す。
監督・脚本を手掛けるのはイギリス出身のモラヨ・アカンデ。BAFTAおよびBIFAにノミネートされ、デビュー作の短編映画『1745』は、BAFTAおよびアカデミー賞公認の映画祭で上映。脚本賞をはじめ多数の賞を受賞するという実力派の女性監督であり、実は5年以上日本に暮らしている。
本作の製作について「この作品には、日本での生活経験や、店のカウンター越しに見えた人々の物語が色濃く反映されています。また、私の原点であるイギリスの控えめでドライなユーモアも織り交ぜ、他にはない独自のトーンに仕上がっています」と意気込みをコメントしており、監督でしか製作できないオリジナリティが垣間見える。

エグゼクティブ・プロデューサーには、監督の実の姉であるモヨ・アカンデが参画。製作と並行して俳優業との両分野で国際的に活躍しており、短編『A.V. Van』では共同プロデュースと主演を務め、アカデミー賞公認のReel Sisters Film Festival(NY)で最優秀コメディ賞を受賞。近年ではウェストエンドでもデビューし活躍する舞台俳優だ。また、コミカルな作風づくりでは世界が認める実力の持ち主であり、妹との製作作業について「モラヨの脚本を初めて読んだとき、その世界観に一気に引き込まれ、ページをめくる手が止まりませんでした。『Konbini Zombies』は、これまでにない新鮮で大胆なアプローチで、ゾンビジャンルにユニークな風を吹き込んでいます」と明かした。
プロデューサーを務めるのは、映画『終わりの鳥(Tuesday)』を手掛けたヘレン・グラッダーズ。同作はテルライド映画祭でのワールドプレミア後、ロンドン映画祭「First Features」部門にも選出された、注目のプロデューサーだ。本作にも強い想いを馳せており、「この映画を日本で撮影できることをとても楽しみにしています。そして、世界中の観客とコンビニ文化の魅力を共有できる、エンターテイメントに富んだ“ラブレター”のような作品になると信じています」と並々ならぬ愛情を注いで製作に取り組んでいる。
共同プロデューサーとして、日本の製作・配給会社フラッグの小田寛子も名を連ねる。カナダ・バンクーバーで映画制作を学んだ後、日本の映画配給会社を経て、現在では国際共同製作や買付・配給などに従事。他のスタッフと同じくグローバルな感覚を持つ小田は「ジョージ・A・ロメロがゾンビというジャンルを使って社会風刺を行ったように、この作品もユーモアとエンターテインメントの中に、時代を映す視点をしっかりと持っています。互いの感性やバックグラウンドを尊重し合えるチームの一員として、この挑戦的でユニークな作品に携われることを心から嬉しく思います」とコメントを寄せている。
そんな本作は、公益財団法人 東京観光財団(TCVB)から助成金の支援を受け、今年の初めに東京でロケハンを実施。TCVBは都内唯一の広域観光団体として、東京都、東京商工会議所、民間企業、地域観光団体と連携し更なる観光振興を図るため様々な事業を推進する団体で、「東京ロケーションボックス」の名称で映画・テレビドラマ等の円滑な制作をサポートするフィルムコミッション事業も運営している。また今回、ロケハンの様子をとらえたメイキング写真も解禁。本作が単なるパニック映画ではないことを予感させる。
現代のゾンビの原型を作った、巨匠ジョージ・A・ロメロ監督の代表作『ゾンビ』(1979)では、主人公一行がショッピングモールに籠城し、大衆消費社会に対する皮肉が描かれた。本作では日本の「消費社会」「空っぽの世の中」「すべてあるようで無機質な空間」を象徴とした「コンビニ」を舞台に、主人公が自分探しの旅をし、成長していくという皮肉が効いており、ゾンビの根源的テーマをリスペクトする愛に溢れている。現在進行中のキャスティングも含め、令和にどのようなゾンビ映画が完成するのか、注目だ。
ストーリー
東京の24時間営業コンビニ「ハッピーマート」に突如ゾンビが襲来!浪人生マユミは、K-POP系イケメン店員ジンウー、毒舌な帰国子女アマンダ、元ホストのヴィーガン男子ケン、熱血マネージャーらと立てこもり、生き延びようと奮闘する。笑いとサバイバルの中で、マユミは自分自身と向き合い、隠された力を発見していく。
『KONBINI ZOMBIES(原題)』
監督・脚本:モラヨ・アカンデ
エグゼクティブ・プロデューサー:モヨ・アカンデ
プロデューサー:ヘレン・グラッダーズ
共同プロデューサー:小田寛子(Hiroko Oda)