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『青いカフタンの仕立て屋』新ビジュアル&場面写真7点解禁!モロッコ刺繍の第一人者によるカフタン徹底解説も

青いカフタンの仕立て屋

『青いカフタンの仕立て屋』(6月16日(金)公開)の新ビジュアルと場面写真が解禁された。あわせて、モロッコ刺繍作家・アタマンチャック中山奈穂美さんによるカフタンについての解説も到着した。

『モロッコ、彼女たちの朝』(19)のマリヤム・トゥザニ監督が最新作となる本作で描いたのは、伝統衣装カフタンの仕立屋を営むある夫婦。母から娘へと受け継がれる大切なドレスをミシンを使わず、すべてを手仕事で仕上げる職人の夫ハリムは、伝統を守る仕事を愛しながら、自分自身は伝統からはじかれた存在と苦悩する。夫を誰よりも理解し支えてきた妻ミナは、病に侵され余命わずか。そこに若い職人のユーセフが現れ、3人は青いカフタン作りを通じて絆を深めていく。そして刻一刻とミナの最期の時が迫るなか、夫婦は“ある決断”をする―。

愛したい人を愛し自分らしく生きるー この美しい愛の物語は、2022年カンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞。さらに、米アカデミー賞(R)モロッコ代表として国際長編映画賞のショートリストにも選出され、高い評価を受けた。主演は『灼熱の魂』『モロッコ、彼女たちの朝』のルブナ・アザバル

解禁された新ビジュアルは、ハリムが一針ずつ繊細に施したペトロールブルーが鮮やかなカフタンが大きく配置され、シルクをより滑らかに美しく魅せる。ミナの笑顔と「あなたの人生は素晴らしい」のコピーとが、全体を優しく包み込み、ミナのボタニカル柄の服装と、カラフルな刺繍色が魅惑の国モロッコの仕立て屋の雰囲気をよりエキゾチックに表現するデザインとなっている。

また、新場面写真では、体力がなくなってきたミナが25年連れ添ったハリムと楽しい思い出を残そうと、ご馳走を作って一緒に食べたり、繊細なハリムの指先で髪を洗ってもらったり、大好きなタンジェリンの香りを嗅いだりと、何気ない幸せを噛みしめる姿が映し出されている。

青いカフタンの仕立て屋
青いカフタンの仕立て屋
青いカフタンの仕立て屋
青いカフタンの仕立て屋
青いカフタンの仕立て屋
青いカフタンの仕立て屋
青いカフタンの仕立て屋

また、モロッコで伝統的なフェズ刺繍を習得し、作家として活動するアタマンチャック中山奈穂美さんによる、カフタンの解説も到着。

モロッコの都市を訪れると、オートクチュールの色鮮やかで華やかなカフタンに目が留まる。カフタンはペルシャ起源で、イスラム社会で広く着用される前開きの長着。日本の着物のように捉えるとわかりやすい。モロッコでも古くから権威の象徴とされてきた。やがて人々の憧れにより、儀式的なものから普段着寄りのものまで広く着用されるが、20世紀になると社会習慣の西洋化が進む。20世紀後半から国民性の回帰が言われるようになると再びカフタンが見直されたが、徐々に現代の華やかでモダンな結婚式などで着るものに変わる。

当然、作り方も変わり、手縫いより時間が短縮できるミシンが多くなり、刺繍も機械や輸入品、市販のレースなどに変わり、腕のいい職人も少なくなってきている。映画の中で仕立て屋ハリムの妻・ミナが嘆いていたように、できたものを受け取ってしまえばお金はいつ払うかわからない人も多く、カフタンの作り手は、長い修行と工賃が労力に合わず安いため、人気職業とはとはいえないのが現状だ。

映画の中で、ハリムが新入りのユーセフに細かく指示しながら糸を撚る場面が何度も出てくるが、中山さん「糸の縒り方で刺繍の出来栄えが決まってしまうため、ハリムがこだわる気持ちが分かります。また糸を作る人と縫う人の感性がしっくり合わないと、均一な美しい糸の輝きが生かせません」と語っている。

さらに本作については、「伝統と現実の相反する苦悩が、衣擦れの音や刺繍の指先にまで細やかに表現されていて画面から目が離せませんでした」と絶賛している。

目次

中山さん提供写真、2007年~2011年撮影

写真1:モロッコではよく見かける結婚式用のカフタン
ブルー:見事な金の機械刺繍
白:オーガンジーに伝統的なフェズ刺繍が施されている

青いカフタンの仕立て屋

写真2:2枚重ねの下側の赤のサテンがカフタン
上のオーガンジーの刺繍を際立たせるためカフタンはシンプルなデザインだが、最近はウエストを絞った袖広がりの形が好まれる

青いカフタンの仕立て屋

写真3:織り込まれたように均一に細かな金糸刺繍がされたカフタン
年代は不詳だが刺繍の細かさとストレートなシルエットからかなり古いものと思われる

青いカフタンの仕立て屋

フェズ刺繍作家・アタマンチャック中山奈穂美さん コメント

画面をたゆとうペトロールブルーの絹の光沢は時に伝統の輝きとして美しく、
時に時代の翳りとしてもの哀しく描かれています。
愛惜だけでは説明できない執念にも似た人生と愛の深淵。
繊細な描写の全シーンに感動せずには見られませんでした。

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