『ジュリアン』長編デビューで第74回ヴェネチア国際映画祭監督賞受賞!フランス映画界の新星、グザヴィエ・ルグランに注目

ジュリアン

昨今の日本でも問題視されている親子の在り方を問う、家族の関係を描いた繊細な人間ドラマでありながら、張り詰めた緊張感が観る者を襲う傑作サスペンス『ジュリアン』が1月25日(金)より公開される。

離婚した父親アントワーヌと母親ミリアムの間で振り回される11歳の息子ジュリアンの葛藤を描いた本作は、『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)が金獅子賞を受賞した《第74回ヴェネチア国際映画祭》にて最優秀監督賞にあたる銀獅子賞を受賞。本国フランスでは40万人動員のロングランヒットを記録し、アメリカの映画批評サイトRotten Tomatoesでは94点の高評価を得ている今冬一番の注目作である。

監督を務めたのは新鋭グザヴィエ・ルグラン。彼は、フィリップ・ガレルやブリジット・シーなどの作品に出演し、様々な演出家のもとでチェーホフやシェイクスピア、ピンターなどの舞台に立つなど役者としても活躍している。

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狂気的な父親の嫉妬が描かれる場面でも「彼は怒っているのではなく苦しんでいるんだ」と演出し、父親役のドゥニ・メノーシェ(『イングロリアス・バスターズ』(09))から絶妙な表情を引き出すなど、その俳優としての経験を活かした演出力の高さが評価され、《ヴェネチア国際映画祭》のほか《サンセバスチャン国際映画祭》や《トロント国際映画祭》など、数々の映画祭で喝采を受けている。また、俳優への演出だけでなく、構図や効果音、暗闇のシーンなど映像へのこだわりも強く、感性の豊かさも称賛されているポイントだ。

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一聴するとグザヴィエ・ドランと間違われそうな名前だが、センスあふれる美しき俳優兼監督という点でドラン監督とルグラン監督は共通している。俳優兼監督が手がけた作品は近年多く誕生しており、グザヴィエ・ドランのほかにも、『アリー スター誕生』(18)のブラッドリー・クーパー、『レディ・バード』(18)のグレタ・ガーウィグなどの若手から、『15時17分、パリ行き』(18)のクリント・イーストウッドや『サバービコン 仮面を被った街』(18)のジョージ・クルーニーなどベテランまで名前を挙げればきりがないが、その作品の多くが監督の思い入れが非常に深い秀作であることに注目したい。

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『ジュリアン』は、アカデミー賞短編部門にもノミネートされた短編『すべてを失う前に』(12)を自ら同キャストで長編化した渾身の一作。その思い入れの深さ、こだわりを感じ、グザヴィエ・ルグラン監督にご注目いただきたい。

ストーリー
両親が離婚したため、母ミリアム、姉と暮らすことになった11歳の少年ジュリアン。離婚調整の取り決めで親権は共同となり、彼は隔週の週末ごとに別れた父アントワーヌと過ごさねばならなくなった。母ミリアムはかたくなに父アントワーヌに会おうとせず、電話番号さえも教えない。アントワーヌは共同親権を盾にジュリアンを通じて母の連絡先を突き止めようとする。ジュリアンは母を守るために必死で父に嘘をつき続けるが、それゆえに父アントワーヌの不満は徐々に溜まっていく。家族の関係に緊張が走る中、想像を超える衝撃の展開が待っていた。

作品タイトル:『ジュリアン』
出演:レア・ドリュッケール ドゥニ・メノーシェ トーマス・ジオリア マティルド・オネヴ
監督・脚本:グザヴィエ・ルグラン
製作:アレクサンドル・ガヴラス
撮影:ナタリー・デュラン
2017年/フランス/93分/原題:Jusqu’a la garde/カラー/5.1ch/2.39:1/日本語字幕:小路真由子
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
配給:アンプラグド

公式サイト:Julien-movie.com
コピーライト:(c)2016 – KG Productions – France 3 Cinéma

2019年1月25日(金)よりシネマカリテ・ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次公開

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